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さとうみず
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【シャアム】ccaif お節介
文章書けなくなってリハビリ中です。
アクシズ・ショック後、どこかでひっそりふたりで生きている。世話を焼きたい兄。
「お節介って言うんだよ、そういうのは」
脳がストップをかける前に、思ったことが口をついて出てしまった。少し気になるかな程度の不快感。量にしてはわずかだが、今まで積み重なってきた圧力には勝てなかった。
耳が痛い程の静寂の後に、唾を飲み込む音。
そして「すまなかった」の声が虚しくフローリングに落ち、扉が閉まった。
アムロはシャアの顔を見られず、ずっと自分の左足の親指の爪を見ていた。悪いことをしてしまった、とバツが悪かった。自分の感情が抑えられずシャアにぶつけてしまった。自己嫌悪で満ちた溜息を吐いてようやく顔を上げると、部屋から去ったはずのシャアが部屋に戻ってくるところと目が合った。パーカーを持ってアムロに近づいてくる。
「お節介でも君には必要だ。体調を崩されて世話をするのは敵わない」
「
……
泣いたかと思った」
素直にパーカーを受け取り、タンクトップの上に羽織った。あたたかい。季節は春だとは言え気温が低い日が多い。
「お節介、だなんて初めて言われたよ」
喉で笑うシャアに、アムロは特に興味なさそうに鼻で笑った。嫌味だ。
「ああ
……
あなたは人気者だからな。気にかけてもらえて喜んでいるんじゃないのか」
「君は喜んでくれないのか?」
何を馬鹿なことを。
電子回路からシャアに身体を向けて「嬉しそうに見えるか?」と両手を広げた。右手にはハンダゴテ。シャアは頭を振って否定しアムロに近づいていく。
「何かに没頭している君の集中力は尊敬に値するが、身体のメンテナンスが疎かになるのが我慢ができない。アドバイスとして素直に受け取ってほしいのだが」
シャアは困った顔をしたが、アムロにはブラフだとわかる。この男は自分の善行を褒めてもらいたいだけなのだ。かわいい年下の従兄弟のような情緒でアムロに甘える五才年上の男。
「俺に折れろって?」
「いや、自分の身体にも気を配れと言いたいだけだ。他意はない」
ハンダゴテの電源を切って立ち上がる。次の展開も想像がつく。シャアはアムロの手を引いてリビングに向かった。
「食事は規則正しく食べないといけない。特に朝は」
テーブルの上にはトースト、サラダボウル、炒った玉子と牛乳が揃えてあった。ふたり分。
「
……
もしかして朝飯、誘われてんの?」
「見て分からんのか?」
「作ったの? 朝飯」
「? ああ。それくらいはできる」
シャアの周りくどさには目眩がする。「朝飯、一緒に食おう」で済む話だろう。なんで風邪を引くとか、導入にそういう迂回を使うのだろう。
アムロはパーカーに袖を通して、リビングの椅子に腰掛けた。あからさまに安心したシャアはアムロの向かいに座った。そわそわしている。
「世話焼きなの? あなた」
焼きたてのトーストにバターを塗りながら、シャアを見上げると、右斜め上を見ながら「そう、かもしれない」の後に小声で「放っておけないんだ、君は特に」と耳を真っ赤にした。
「なんで照れるんだよ」
「私が五つ年上だからだろうか。年長者の何か
……
そういう感情が、あるんだろう」
シャアはいちごジャムを塗ったトーストに齧りついた。このおじさんは甘党なのだ。
「年長者だったらもっとお手本になることをやってほしいものだが」
シャアは少し考えてコーヒーを飲んだ。
「君にはやさしいつもりだよ」
コーヒーにクリームと砂糖を入れてかき混ぜた。羊羹の色からピーナツバター色になった。
「知っていると思うが、私には妹がいてね。君はその弟のようなものだと思っている」
長男のように温かく頼りがいがある雰囲気を一瞬感じたが、シャアのエミュである。アムロはカチンと頭にきてブラックコーヒーを飲み干してテーブルにカップを叩きつけた。
「俺が弟? 弟には手を出したら駄目だろオニイチャン」
シャアと会話をしていると無性にイライラして喧嘩をふっかけてしまう。それがアムロに取ってストレスだった。
「血の繋がりはないことを確認済みだし、君はそこまで嫌がっていなかったようだが」
顔の上半分が熱に染まった。そういう問題ではない。熱い。しかし言い得ている。
己の表情は肯定していると看板を出しているようだ。その通り、シャアに触れられるのは嫌いではない。でも共鳴はしたくない。自分が丸裸にされてしまうからだ。
シャアは美しい所作で朝食を食べている。薄い唇にパンくずがついているのを見つけたアムロは最後に残ったヨーグルトをかきこみ、席を立った。
「これで満足か」
「ああ
……
後で部屋に行く」
「来なくて良い」
指についたヨーグルトを舐め取るシャアの舌先が赤く、アムロは目を逸らして扉を開けて出ていった。
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