三毛田
2026-04-18 23:15:30
1065文字
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31 【31/青い空と風船】

31日目
空へと跳ぶ君

 青い空をふわりふわりと飛んでいる紐の先を掴み、軽やかに着地して。
「輪っかを作るから、手首に通してしっかり掴むように。次は、俺は助けてやれないからな」
「う、うんっ」
 さっきまで泣いていたその子は、丹恒の言葉に元気よく頷いて。
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「どういたしまして」
 淡々と返していることも気にせず、目を爛々と輝かせ彼を見ている。
 本音を言わせてもらえば、非常に気に食わない。でも、小さい子のために動ける丹恒だからこそ、好きなんだ。
「なの。こういうのを、初恋キラーっていうんだっけ?」
「そうそう。ああやって女の子の淡い初恋を弄ぶの。って、アンタもだっけ」
 頬杖をつきながら、俺を見上げてきて。
「そうだよ。俺の初恋はずっと弄ばれてるんだ」
 老若男女問わず誰も彼も魅了する冷徹な蒼龍ちゃんは、俺の心を掴んで離さない。
「人聞きが悪い」
「もういいのか?」
「これ以上は俺が関与する必要はないからな」
 と言いながら、俺の膝に乗ってきて。
 なので、バックハグをする。
 隣の奈乃香さんから冷たい視線を感じるが、無視だ無視。
「あ」
 俺たちを睨んでいたなのは、小さく声を上げて。
 誰かが手を離したのか、カラフルな風船がまた青空を泳いでいく。
「あーあ。可哀想に」
「丹恒先生、質問」
「なんだ」
「ああやって空に浮かんでいく風船って、中の空気がなくなったらどうなるんだ?」
「環境下によっては、凍ったりすることもある。浮力がなくなると落下するが、破裂してから落下することもある」
「なるほど。ああやって浮く風船って、何が入ってるんだ?」
「空気よりも軽いガスだな」
「だから、手を離すと飛んで行っちゃうんだ」
 なのが空を見上げているので俺も見上げてみようとしたけれど、丹恒が膝に座っているため上手く見れない。
 今日は甘えてきてくれるので、何も言わないでおこう。
「そろそろ列車に戻ろう」
「えー。買い物まだ終わってない」
 拗ねたように唇を曲げるなの。
「丹恒先生、デートしようよ~」
 ぎゅっと抱きしめながら、首に頬ずりする。そしたら、太腿の側面をつままれた。痛い。
「またそうやってウチをのけ者にする~」
「じゃあ、三人でデートだ」
「お前たち、俺の意見は無視か」
 無視というより、丹恒の意見は意見じゃないし。
「分かった。わかったかから、穹は俺を離せ」
「丹恒が勝手に俺の膝に乗ったんじゃないか~」
 あまり言うと拗ねるのでほどほどにして離す。
 耳が真っ赤で可愛い。照れてるじゃん。