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kgsg_hirg
2026-04-18 22:11:08
962文字
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もう少し(覗き見・そよ風)
ワンドロワンライ4/18分
そっと相手の方を見て口を思わずもごもごさせてしまう。
穏やかな風が彼の前髪を揺らし、その瞳が見え隠れする。いつも見られると緊張するが、俺から見るのも結構緊張してしまう。
「何」
ああ、バレた。
髪の間から俺を見る瞳が飽きてたと言っているようだ。
「こっそり見とるのに」
「バレバレや」
二人の距離は一歩横にズレてしまえばピッタリと引っ付くぐらい。縮まりそうで縮まらない距離。詰めたらあえて避けられてしまうので動かないのが正解。
だから覗き見るだけ。そうしているのにいつも怒られる。
「お前その顔やめろ」
「顔」
「美味そうって顔」
吐き出したため息は恐らくちょっぴり諦めも含まれている。
別にいいじゃないか、あなた以外にバレなければ。
「あかん?」
「
……
外ではあかん」
少しだけ照れた様子で俺から目を逸らした。そんな様子の彼を外でしか見られないのを知っている。
だからこうして、わざと困らせるのだ。
「なんであかんのです?」
「
……
わかっとって言うてるやろ」
「え~? 言うてくれんとわかりませんよ」
大根芝居に彼の瞳がジロリと俺を睨む。やがて小さく口を開いて俺に弱々しいパンチを繰り出した。
「お前のその顔、他の奴らに見せたない」
日焼けのない、白い肌に朱色が浮かぶ。俺は再び口をもごもごさせた。「今変な顔になっとるな」なんて言われなくともわかっている。
「もう、ええやろ」
彼の視線が下を向く。普段上ばかりを見ているのに、なんて冗談を頭に浮かべながら少し詰め寄る。
「!」
彼が気づいた時にはもう音は俺の中に吸い込まれていた。粘着質のある水音が少しだけ二人の間に響く。
は、と吐き出された彼の息が俺にかかった。
そよ風が俺たちの間を抜けていく。
一拍おいて彼が一歩引こうとしたのを引き留めて、文句を言われる前にもう一度踏み込んで塞ぐ。
「もう少し」
そんなおねだりを彼が無下にしないのも知っている。
伏せられた目、風が揺らす綺麗な髪、柔らかな唇。これを独り占めできるのは彼と約束された僅かな時間だけ。
(
……
卒業したら、大人になったらもう少し独占できるんやろか)
俺の方が背は高いのに、いつも俺が背伸びしている。でも、そんな俺を含めて好きで居てくれている、らしい。
この一歩が精いっぱい、今の俺に詰められる距離。
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