2026-04-17 21:54:44
1042文字
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巡る命の恋と願い

現パロ転生女体化(受けのみ)ジャミカリ♀。初デート編になるはずのカリムちゃん視点の導入部です。

 少女は五歳の誕生日に、自分が「カリム・アルアジーム」だということを思い出した。
 自宅の庭で走り回っていたときだ。突如晴れた空から降り出した大粒の雨を見上げた少女の脳内に、落雷が落ちたかのような衝撃がはしった。愛しい、愛しい彼。彼のあたたかな腕に抱かれて絶命したことを、その彼を好いていたことを、彼に命令して抱いてもらったことを、死ぬ前と死んだ後の愛おしい日々を――転生前の記憶の何もかもを、思い出した。
 洪水のように押し寄せた記憶と感情を幼い心で処理しきれず半狂乱になった娘を、両親は急いで寝室へ運び、ベッドに寝かせ、温かいミルクを飲ませてくれた。優しく頭を撫でてくれる両親に感謝しながら、少女はありのままを打ち明けた。
 自分はおそらく別世界――魔法のある世界、ツイステッドワンダーランドで生まれて死んだ男、カリム・アルアジームとしての記憶がある、と。
 両親は驚いたが、その海のような寛容さをもって前世の記憶を話す娘の言葉を受け入れた。そしてその日から、少女は戸籍上の名とは別にカリムという名を得た。
 カリムはすくすく育った。資産家の両親は優しく、きょうだいには恵まれなかったが今生は命を狙われることなく過ごし、エスカレーター式の学校に入学して大学生になった。
 幼い頃から、不思議と人に恵まれた。女でありながら男としての記憶を持ち、大人びた言動を取るカリムは周囲から浮いてしまうこともあったが、いつでも仲の良い友人たちに支えられていた。その中には、かつての弟妹を彷彿とさせる者たちがいた。
 幸せに暮らすカリムだが、一つだけ気がかりなことがあった。幼なじみ兼従者であったジャミルのことである。前世のカリムの命によって男であるカリムを抱いたあと、彼が女が抱けなくなったことを、死後幽霊になりジャミルの死の間際まで彼に取り憑いていたカリムは知っていた。
 ジャミルの行方を調べようにも、同じ世界に転生しているか怪しく、また転生していたとしてもカリムと同様、別の名になっているだろうことから捜索は難しいと判断し、カリムはジャミルを探さなかった。
 ジャミルに会いたいという気持ちを、カリムは心の奥にしまい込んだ。それでも縁があればいつか会えるだろうと、わずかな希望を捨てられなかった。だから。
「カリム」
「ジャミル……?」
 髪は短くなっていた。腕は少し細いかもしれない。前世ほど鍛えていないのだろう。それでも、見慣れた顔に、愛しい瞳の色に、美しい声に、喉が震えた。