望月 鏡翠
2026-04-16 21:42:45
1116文字
Public 日課
 

#2050 THE MEME! その17

#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!


 観覧車の前で立ち尽くしていても邪魔になるだけだ。三人は施設内を歩いた。
 配信をみれば¡.am?はとっくに別の場所に移動して、呑気に雑談配信をしている。能力の強化とかいう気になることを口にしているが、そのあたりは捕まえてから聴取されるのだろう。
 こんな規模で事件を起こすことができる愉快犯的なダーリンが、初犯とは考えにくい。今までその能力がなかったのだと思えば、納得できる。
 由々しき自体ではあるが、攻撃的なダーリンではないから職員の温度もそのようになっていた。むしろことを荒立てて市民に混乱を引き起こさないように、園内ではなるべく利用客に馴染むようにと言われている。
 二人のラダは、相談をすると言いながら少し前を歩いて二人でじっとこちらを見つめてくる。やりにくいことこの上ない。
 少し歩いたところで根負けした。
「まあ、お前たちが誠意を見せてお願いするなら、聞いてやらんこともないぞ」
 イライジャはあえて幼稚な言い方をした。
 真面目に考えるのも馬鹿らしいからだ。
「ありがとうございます。イライジャに納得してもらえる条件あるいは枷となるようなものを考えます」
 二人のラダは互いの顔を見合わせる。
「条件とか交渉とかじゃなくて、ただもうしないと約束してくれればいいんだよ。俺を騙すな。まず一度、駄目元でいいから聞いてみろ」
 ラダは驚いたように足を止めた。どちらもだ。
 だから俺も、それに合わせて歩くのを止めた。
「ダーリンであるところの、俺の約束は信ぴょう性を持ちますか。それはイライジャにとって価値を持つと?」
「持ってもらえるように努力してくれ。今一度裏切ったからマイナススタートだぞ」
 ダーリンとファタールの関係だから、絶対に死ぬような目に遭わされる心配はない。だがそれは信頼関係や相棒関係ではない。あくまで契約した二人であるという話でしかないのだ。
 ラダは何かを言いかけて口を閉じた。そうして、おそらくは複製体の方を退け、本体らしき方がイライジャの正面に立った。
「真摯に謝罪します。俺の行動は問題でした」
「問題だったが、仕方ないだろ。大事なやつを前にしたらルールを破りたくもなる。人間としては普通の対応だ」
「普通」
 どこに引っ掛かる要素があったのか知らないが、ラダはその言葉を噛み締めるように口にして頷いた。
「イライジャは俺の行動を、普通だと」
「普通というか、いやまたやられたら困るけどな。ありふれた動機だよ」
 家族を守りたい。そのためにルールを守りたくない。仕事を投げ出したい。大事なやつだけのために行動したい。
 それは褒められた行為ではないが、人の世では珍しくないことだ。