三毛田
2026-04-15 11:30:57
1059文字
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28 【28/あの日と同じ空の下】

28日目
変わらない人たち

「んひ〜! 冷たい空気が灰に染み渡る〜」
「お前はまた……
 ヤリーロⅥの、あの日初めて俺が降り立った場所。
 両手を広げ深呼吸すると、相変わらず空気は冷たく。肺を一瞬にして冷たくさせる。
 そして、少し後ろから愛しい人の呆れた声。
 雪と氷に覆われた世界の、あの日と同じ空の下。あの日と違うのは、立場とか関係性。
 何年も経つので、俺には後輩ができて指導する側になった。そして、呆れたように俺を見る丹恒の手に光る指輪。俺の指にもデザインが違うモノがつけられていて。
「手ずから招待状を渡したいって言ったのは、お前だろう」
「わかってるよ。連絡はついてるから、すぐ行政区に行きますって」
 アンカーで跳んで、花屋に立ち寄って花束を作ってもらってから城のブローニャの執務室へ。
「ブローニャ。久しぶり!」「穹。それに丹恒も。あら。二人だけ?」 書類を揃えていたブローニャは、俺たちの姿を認めると少し気を抜いた表情に。「久しぶりだな。三月は準備が忙しくて、共にこれなかった」
「そうなのね」
「ブローニャ。誕生日が近いだろ? 当日は俺たち別の星にいるだろうから、今日持ってきた。俺からは花束!」
「三月からプレゼントを預かっている。そして俺からは、他の星の統治に関する資料だ」
「二人ともありがとう」
 花束と、プレゼントの入った袋を受け取り嬉しそうに笑う。
「それと、これ」
「何かしら」
 招待状を差し出すと、髪を揺らしながら首を傾げて。
「日時は決めてないんだけど、噴水前の広場を使わせてもらいたいなあっていう嘆願書? に近いかも」
「あなたたちなら、いつでも歓迎だけど。ちょっと待って」
 花束を置き、予定を確認しようとしたのか机の上のスケジュールを手にして。
「ブローニャ。穹たちは……もう来てたのね」
 ノックの後、ゼーレが入ってくる。
「ゼーレ。久しぶり」
「久しぶり。あら? アンダたち、それ」
「流石だな」
 何かに気づいたらしく、彼女の視線は俺たちの左手薬指に。
「え?」
 ブローニャは気づいてなかったようで、目を丸くして。せっかくなので、見やすいように軽く手を挙げる。
「俺たち、結婚しました!」
「おめでとう。って。ブローニャ?」
 まさか俺たちが結婚するとは思わなかったのか、それともわざわざ自分たちに報告するとは考えてもみなかったのか。
 びっくりした表情のまま固まっている。
「ワタシたちだけに報告に?」
「ううん。ベロブルグの皆にも報告したくて許可をもらいに」
「そういうこと」