三毛田
2026-04-14 22:27:47
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27 【27/五寸釘を用意して】

27日目
人を呪う理由は俺にはない

 決められた時間、決められた衣装。そして、相手を呪うための道具。
「これは?」
「民俗学の授業で見せてもらった写真。を、更にカメラに収めたもの。お祓いは済んでるから、大丈夫だってさ」
 授業のレポートのために、教授が見せてくれた資料と写真をテーブルに広げていたら、丹恒が興味津々に聞いてきて。
「実際に、丑の刻参りをしたものが見つかるのか……
「みたいだ。あれって、何日も通う必要があるのか?」
「連夜行う必要があるみたいだな」
 俺が広げた資料の中から、それに関する記述を見つけて頷く。
「こういう儀式は、他者に見られたら呪い返しにあうものらしいな」
「そこまで人が憎いとかあるんだな」
……愛情を向けていた相手に、ひどく傷つけられれば憎しみにも変わるだろう。愛情と憎悪とは、表裏一体だとよく言われている」
「確かに」
 ネットで見かけた記事でも、そういうものがよくあった。
「それでも、人を愛することをやめられないのは……性ってやつ?」
「かもしれないな」
「でも、五寸釘を樹に打ち付けるって気力がいるよな」
「それでも、憎くて仕方ないのだろう」
「なるほど」
 抱き寄せてキスをしようとしたら、手で止められた。丹恒の、意地悪。
「脈絡がない」
「俺の中ではちゃんとあります!」
「それよりも、レポートを仕上げろ。早く終わらなかったら、俺は帰るからな」
「今すぐ仕上げます」
 せっかく来てもらったんだ。丹恒と少しでも長く一緒に居たい。
 とりあえず、下書きを急いで終わらせ。
「終わりました!!」
 十数分して、そう声を上げると待ち時間中読書をしていた丹恒は顔を上げ。
「それなら、夕飯にしよう」
「まだ食べていなかったのか?」
 二人でリビングに移動し、彼が作ってくれた食事を口へ運ぶ。
「いただきます! 今日も美味しいです」
 大盛りのチキンライスに、ふわっふわ半熟の玉子の乗ったオムライス。ケチャップで描いてくれたのは、パム。コンソメスープも美味しい。
「それならよかった」
「俺の通い妻が可愛くて胸が苦しい」
「誰が通い妻だ」
「いてっ」
 テーブルの下で蹴られた。蹴るなんて酷いだろ。
「ご馳走様でした」
「お粗末様です」
「丹恒は、何でこうやって世話してくれるんだ?」
「教えた方がいいか?」
「好きだから。って思っていいのか?」
「そうだ」
 そうやって、あっさりと認めてしまう男前なところが好きなんだよなぁ。
「なんだ」
「ううん。丹恒のことが好きだなって」
「いつものことだな」
 優しく笑う。