ゆべし
2026-04-12 20:53:27
1594文字
Public 銀色の夢
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夕暮れの寂しさ

gntk夢
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さくらさくらさくらさくら この家の騒がしさも、誰かがいる日常も、全部ずっとあるワケじゃない。そんなことは百も承知でいるはずなのに、人間ってのは簡単に都合よく思い込んじまう。
 今日はなんでもない日だ。神楽は女子会だっつって、そよ姫んとこに泊まりだし、新八はお妙の仕事が休みだから早めに帰っただけのこと。誰もいない。夕暮れの橙が差し込む薄暗い居間でどうしてか立ち尽くしてしまう。
「寂しいなんざ、思ってねーよ」
「銀さん?」
……さくら
「電気も付けずにどうしたんですか?」
「オメーこそ、どうしたんだよ。来る日じゃねェだろ」
「そうなんですけど
 なんだか、銀さんが泣いているような気がして来ちゃいました。そう言いながら入ってきたのは、馴染みの甘味屋で出会った女。今やこの万事屋に無くてはならない存在になっている。家事全般、料理も美味い、おまけに度胸もある。何より、心の底から好いてる女だ。
 電気も付けずにどうしたのかと聞いたくせに、そのまま台所へ向かっていく。お茶でも淹れますね、夕日に照らされて眩しい横顔がどこかへ消えちまう気がした。声をかけるよりも先に体が動いて、抱きしめた柔らかさと体温がじんわり伝わってきた。
「あったけェ
「ねぇ、銀さん」
……なんだよ」
「夕暮れを見て、もの悲しくなるなんて特別なことじゃないです」
……
「一日の終わりを感じて、もう終わっちゃうのかって……私だって思います」
「そういう、もんか」
「そういうもんですよ。あと、今日は万事屋に行けなかったなぁとか、銀さんに……
さくら?」
 言葉が急に途切れた。名前を呼んでみても返事がない。顔を覗き込むようにして体を傾ける。さっきと同じく夕日に照らされているはずだが、橙よりも赤みを帯びた頬に面食らってしまった。
さくらさん?」
「あの、えっと
「銀さんに?」
「銀さんに、会えなかったなぁとか思ってしまいます。今日も、本当はそう思って」
 来ちゃいました。ふわりと微笑めば、どこからともなく甘い匂いがして内心むず痒い。こっちも堪えきれなくて、後ろから抱きしめた肩口に顔を埋める。天パが首を撫でるから、くすぐったそうに身を揺らした。なんなら、目の前にある美味そうな首筋に齧り付きたい。でも、そんなことをした日には数日後の朝日が拝めない可能性がある。
 でも、本人の同意があれば問題ない。ぎゅっと抱きしめる腕に力を込めて、そっと耳元で囁いた。
さくらさァ
「ッ、なん、ですか?」
「今晩、万事屋は銀さんひとりなんですよ」
「そ、なんですね」
「だからさ、夕暮れにも寂しさとか? 感じちゃったワケ」
……奇遇ですね」
「ん?」
「私、明日お休みなんです」
……へぇ~」
 そりゃあ、奇遇だ。平静を装いながら、ガッツポーズを決める心の中の俺。とりあえずは一日働いてエネルギーゲージが激減している体に夕飯という名のパワーをチャージする。そのあとのことは、ゆっくり過ごせばいい話だ。今夜はまだまだ長い。




「銀さん、お風呂いただきました」
「おー」
「一応、晩酌用に色々買ってきましたけど」
「今夜はいいさ。最高の逸品があるからな」
「何言ってんですか!」
「なぁ、ちょっとこっちきて」
……イヤです」
「別にいいけど?」
「わっ、ちょ、危ない!」
「やっぱいい匂いだよなァ~」
「嗅がないでください!」
「ちょっぴりおセンチだった銀さんのこと慰めてくれるんだろ」
「そんなに落ち込んでなかったじゃないですか」
「いーの! 今夜はそういうことで」
「いいですよ、好きにしてもらって」
……言ったな?」
「は、激しいのだけは勘弁してくださいね」
「一旦それは置いといて~ いっぱい触らせてもらいます。今、銀さんはメチャクチャ人肌恋しいので」
「はいはい」