三毛田
2026-04-12 14:27:12
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25 【25/足して引いたら±0】

25日目
意外と単純な理論

 計算を覚えている人間ならば簡単にわかるのだが、単純に見えるけれど、これはなかなかに奥が深く同時に難しいものだ。
「足せばプラス。でも減らすとゼロ」
 皿に飴を乗せ、すぐにそこからどかす。単純な動作だが、まあ、間違いない。
「何の話だ」
「おやつ」
「お前は……また考えすぎているな?」
「あーっ!」
 俺の隣にあった、〝一つ上の計算問題集〟を手に取り、パラパラとめくり。
「お前が突拍子もないことを始めたときは、何かに悩んでいる。これは、俺が渡した問題集ではないな」
「適当に買ったら入ってた」
 覚えておいて損はないかな? なんて軽く考えて始めたのが、運の尽き。
 初めて見る問題ばかりで、一問解いただけでお手上げ。
 だからちょっと休憩しようかなってところに、彼が来たのだ。
「そうだな……これには、こっちの数式をあてはめると解きやすくなる」
「えっ。見ただけでわかるの!?」
「この問題は、俺も前に解いたことがある。趣味の範囲だ」
「趣味……
 俺みたいに、世間一般の常識を学ぶ延長でやってるとかじゃなく、趣味。
 初めて、丹恒という任毛がよくわからないと思ってしまった。
「俺だけじゃんく、姫子さんやヴェルトさんに訊ねても教えてくれるだろう。後で教えてもらうといい」
「あー……
 嬉々として教えてくれる姿が、簡単に想像できる。でも、俺は丹恒に教えてもらいたい。
 彼と過ごす時間が好きだから。
「なんだ」
「丹恒の手が空いてる時に、教えてもらえたら嬉しいなぁって」
「教えること自体は構わないが、その代わり俺の手伝いをしてくれ」
「いいよ!」
 ニコニコしながら頷くと、どうしてか呆れたような表情。
「まあ、いい。お前が休憩だというのなら、俺も休憩しよう」
「何でラウンジに来たんだ?」
「飲み物を取りに行こうとしたんだ」
「じゃあ、ちょうどいいな」
「そうだな。待っていてくれ」
「はーい」
 丹恒が戻って来るのを待っていると、パムが客室車両から戻って来る。
「穹。丹恒がどこにおるか知らんか?」
「今飲み物取りに行ってるから、待っていればここに来るよ」
「そうか。今日のおやつは、牡丹餅じゃ。粒あんとこしあんと、緑の豆で作ったあんこのがある」
「甘い?」
「あんこという食材が甘いからな。中身は米じゃ」
「美味しいのかな……
 皿に乗せられているのは、紫の塊。種類鉄に一つずつお皿に乗せられていて、初めて見るものだからちょっと躊躇う。
「おお、丹恒」
「それが牡丹餅か」
「そうじゃ! 美味いぞ」