だみん
2026-04-11 18:57:21
853文字
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現パロ原ぐだ本進捗

書き下ろし

家に着いてコートを脱いだ。お邪魔しますは言い慣れているから口の中はむず痒くない。おかえりとただいまは慣れないけれど。定位置となりつつある場所に立香は鞄を置いてお湯を沸かす原田を追った。整えられたキッチンに立つ彼の邪魔にならない様に色違いのマグカップを取り出す。
「座ってて良いですよ」
「見てたい。ダメ?」
慣れた手付きで珈琲を淹れる手元を見ていたかった。
「駄目って俺が言うとでも」
「言うかもしれないでしょ」
「立香の中の俺は冷たい奴っすね」
「冷たくないよ」
「優しい俺は駄目なんて口が裂けても言いませんから」
お互い手元から目を離さずに会話を続ける。流石に寄り掛かろうとは思えなくて香りの良い珈琲が注がれた明るい色のカップの中に落とされる砂糖が溶ける様子をただ眺めた。
「ああでも」
「うん」
「体調が悪いことを隠したまま隣に居たら駄目だって注意してベッドに連れ込みます」
立香がカップから目を離して隣の原田を見上げる。視線だけは立香に向けられていた。
「元気だよ。すっごく」
体調は悪くない。寒暖差の激しい毎日だが早寝早起きを心掛けているし食事だってしっかりと摂っているから滅多なことが無ければ風邪も引かない。
「電車の中ではそう見えなかったんで」
……ちょっと人酔いしたのかも」
分かりやすい嘘を半分ほど吐く。体調が悪かったわけではないから半分だ。嫉妬をしていただけですと開き直るのも変な話だから濁した。
「へぇ」
「体調は悪くないからね、本当に!」
「分かりました。一応それで受け取っておきます」
「信頼されてない気がする」
ミルクを注がれた珈琲のカップを受け取る。リビングに向かいソファーではなくラグの上に座ると原田もまた立香の隣に腰を下ろした。
「信頼はしてますよ。俺は純粋に大切な彼女の心配をしてるんです」
「ぅ……
「なんすか」
真っ直ぐに伝えられる好意が立香を貫く。座っていなければ崩れ落ちていたかもしれない。そんな破壊力。
「ドキドキしました」
「それは良かったです」