アカ
2026-04-11 01:29:19
1798文字
Public 軌跡
 

小さな誓い

キーアがヴァンに依頼するお話。

「何しているの?」
事務所の屋上で空を眺めていたら、髪色が緑な
ツンテールの少女にそう声をかけられた。
「ただ空を眺めていただけだ。」
「何か悩んでいたら話した方がスッキリするって
思う。キーアでよければ話を聞くよ。」
そう言ってキーアと名乗る少女はヴァンを見て
笑った。アニエスが去って色々なことがあった。
その際、特務支援課と名乗る者達と出会い、
協力することになった。今日はアニエスを
救い出す日の前日。ヴァンはアニエスに対する
想いを募らせ、空を眺めていたのだが
キーアに悩んでいることを悟られてしまった。
自分より年下に悩みを話すのは少し恥ずかしかったが、ヴァンは真剣にこっちを見てくるキーアを見て
折れた。特務支援課が溺愛しているのも少し
わかるな。そんなことを思いながらヴァンは
小さく呟いた。
アニエスを救うことって正しいって
思うか?」
「どうしてそう思うの?」
「どうしてってそりゃあ
ヴァンは気持ちを言うのは恥ずかしいが
目の前の少女は笑わないだろうと思い、
心の中をぶちまけることにした。
俺のエゴだからな。」
「エゴ?」
キーアは首を傾げながら聞いてきたので、
ヴァンは頷きながら口を開いた。
「アニエスはアニエスなりの覚悟を持って
去っていったんだろう。それを俺がアニエスを救いたいって想いだけで救うのはとんでもないエゴに
思えてな。アイツは迎えに来て欲しくないのかも知れない。それを俺のエゴで壊すのは正しいのか
分からなくてな。」
キーアは暫く黙ったあとに口を開いた。
いいって思うよ。あのねキーアの
昔話に付き合ってくれる?」
ヴァンは頷くと、キーアは懐かしそうな
顔をして語ってくれた。
キーアね。昔、みんなを悲しめる選択を
しちゃったんだ。」
「あまり想像が付かないが。」
少なくとも目の前の少女は天真爛漫で
誰かを傷付けるような選択をしないように
見える。
みんなを助けたくて。だから自分の気持ちを
押し殺して世界を救うって選択をしたんだ。」
データ上でしかキーアにまつわることを
知らなかったヴァンは驚いた。キーアも
アニエスと同じような選択をしたことに。
だからキーア、アニエスって人の気持ちが
わかるんだ。どうしようもない選択肢が
目の前にあってそれを選んじゃう気持ちが。
みんなを守りたいから。」
そうか。」
ヴァンはキーアの気持ちを聞き、アニエスも
そんな気持ちでいたのだろうか?とふと
思った。
「だからねキーアから依頼していいかな?」
「4spgとして依頼をするってことか?」
ヴァンはそう聞くとキーアは頷いた。
「アニエスって人を助けてあげて。
その子は昔のキーアだから。」
ヴァンはすぐに返事は出来なかった。
アニエスは望んでないかも知れない。
そう答えたらキーアは笑って首を振った。
そんなことないよ。迎えに行ったら
拒否すると思うんだ。けど、諦めないで
手を差し出して欲しいんだ。」
ヴァンは苦笑いした。
中々難易度が高い依頼だな。」
「えへへキーアもそう思う。でも、
アニエスって人はきっと待っているはずだから。」
そう答えるキーアは迷いない瞳をしていた。
どうしてアニエスが待っているって
思うんだ?」
「肯定と否定は一緒なんだよ。」
ヴァンは言っている意味がよく分からなくて
首を傾げた。
「『一緒にずっといたい』、『一緒にずっと
いられない』、『迎えに来て欲しい』、『迎えに
来て欲しくない』ー。この2つの気持ちがあるんだ。だからアニエスって人が『迎えに来ないで
欲しい』って気持ちの裏には『迎えに来て
欲しい』って気持ちがあるんだよ。
キーアがそうだったから。」
この子はどれだけの孤独を抱えていたの
だろう。ヴァンはそう思い、頭を優しく
撫でた。キーアは不思議そうな顔をして
いたのでヴァンは苦笑いしながら話した。
ありがとうな、話してくれて。」
もしキーアとアニエスが同じ気持ちなら、
やっぱり放って置けない。それにアニエスは
ずっと悲しそうに笑っていた。彼女には
あんな顔は似合わない。なら、気持ちは
一つだ。
その4spg、引き受けるぜ。」
ー待っててくれ、アニエス。お前を絶対迎えに
行ってやる。そして今度こそ本当の気持ちを
聞かせてくれ。