望月 鏡翠
2026-04-11 00:20:12
985文字
Public 日課
 

#2046 THE MEME! その14

#毎日最低800文字のSSを書く

「怪物」「観覧車」「何もない、何もかもがある」
 ¡.am?がどこにいるのかのヒントは、彼の配信動画の中にある。 リアルタイムで園内を移動し、犯行予告じみた動画をアップしたあとも、今だに動画配信を続けていた。
 その中で、日が暮れたら観覧車にいくというようなことを口にしていたのだ。陽動の可能性もあるが、短絡的あるいは京楽的とも捉えられる犯行を見ていると、本当に気が向いただけで現場に現れる可能性もあった。
 であれば、確認をしにいかないわけにはいかなかった。
 とはいえ、人相がわからない。相手が姿を自在に変える存在だ。
 そんな便利な異能を持っているのなら、隠れてじっとしていれば見つからないというのに、彼ないし彼女は配信をやめない。
 これらの動画は、捕まえた後にその異能の性質を解き明かし、生前の罪や本人の人となり、ランデヴー現象を解き明かすためのヒントになるだろうか。
 どこそこにいると聞いて、職員達がその場所に向かうと、その場所には幸せそうな利用客達が至る所にいる。一人一人聞き込みをしている間に、犯人は別の場所で雑談を開始している。
 他の利用客を警戒させないように、一般客を装う ためになんとなく買い物をして、施設を利用したりしながら巡回する。楽しんではいないことを除けば、施設の中をそこそこ堪能した。ラダは特にショッピングモールに長居し、互いを着せ替え人形にして楽しんでいて夕方になる頃には、すっかりデートの服になっていた。
 こいつ、田舎で狩りをしながら暮らしていたくせに、意外と女の服を選ぶセンスがあるんだよな。
 一般人から見れば、仲のいい双子に見えただろうし、職員が見たら、meme_@を連れたまま動き回っているおかしなダーリンに見えただろう。
 イライジャは何度か上に報告済みだというジェスチャーを仲間に向けて行った。
 怪物を連れて歩いているというのに、心は思ったよりも中間管理職の気分だ。
 観覧車までやってきて、配信を確認しながら三人で観覧車に乗る。
 円をゆっくりと登っていく。スナイパー的には乗りたくないアトラクションナンバーワンだ。景色がよく見えるようになっていく。
「この街には俺が愛したものが何もないのに、何もかもがありますね」
 流れる景色を見ながら、ラダかその偽物か、どちらかよくわからない彼女が、ポツリと呟いた。