yossy
2026-04-10 11:45:55
4040文字
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本の虫の君へ

恭悦結の高校時代の話。
K課通過後の話のため、K課未通過は非推奨。
R-15程度の描写あり。

「ははっ、本当に咥えてやんの」
「流石にこの人数じゃ抵抗できないもんな」

高2の6月末、夕方。
テスト前の部活が無い時期。
知らない3年の男らに無理やり体育館倉庫に連れられ、リンチからの輪姦。
シチュエーションは良けれど、殴られたところは痛いし乱暴でガサツで楽しくないセックスで萎える。
今日の夜は何食べようか、早く終わらないかなとか、そんな事をぼんやりと考える。

「っ……そろそろイキそう」
「おら、奥までしゃぶれよ」

盛大なオナニーに巻き込まれてるのを、遠い視点で見ながらこなしておく。

突然、倉庫の扉の開く音がした。
皆が一斉に扉の方を見た。

「っ、こ、こんなところで何やってるんだ!生徒指導の先生に言いつけてやる!」

呆気に取られた暴漢たちは慌ててズボンを履き直し、バタバタと散っていった。
そこに立っていたのは眼鏡をかけた素朴な男だった。彼は一息してから近づき、
「大丈夫?」
と手を差し伸べてきた。
「大丈夫ではないかも」

そこら辺に散らばった制服を着直し、体育館を後にする。
怪我が心配だからと、手を引かれ保健室へと連れられる。
人の少ない薄暗い廊下を歩く中、ふと口が動いた。
「なんで、オレなんかを助けたの?」
前を先導していた彼が足を止める。
「その、図書室から、体育館に連れてかれるのを見て、変だなと思って、それで
と前を向いたまま、ごにょごにょと言われる。
「それ、理由になってなくない?」
汗ばんだ彼の手を握ったまま、前に回り込んで下を向く彼の顔を覗き込んだ。
夕日より真っ赤に染まって、プルプルと震える顔が予想外で、沈黙が流れる。
……もしかして、オレの事好きだったりする?」
彼は口を開くよりも先に、一つ大きく頷いた。
初心な反応が愛らしくて。
「じゃあさ、助けてくれたお礼に付き合う?」
と提案すると、ばっと顔を上げてから、徐々に弱々しく。
「よ、よろしく、お願いします
手を握ったまま俯いていった。

因みに保健室は閉まっていた。
そのまま二人で途中まで一緒に下校した。



彼の名前はまなぶくん。
同学年で進学クラスの図書委員。
体育の合同クラスの時一緒だったらしく、その時オレを見つけて一目惚れしたらしい。それで、時々遠くから目で追っていたら、例の連れ出しに気づき、助けてくれたのだった。

「良い男じゃん」
「いや、直ぐに助けた方がいいと思ったのに、色々と考えてしまって、助けるのが遅くなったから
「気にしなくていいのに」
「き、気にするよ」

なんて雑談しながら、その日は帰路についた。



その後はテスト期間前な事もあり、遊ぼうとしたところ、勉強するよ!と引っ張られるまま図書室で勉強会になった。
デートだねと言えば、顔を真っ赤にして照れていたが、彼は進学クラスな事もあって教えるのがとても上手だった。
彼と付き合っていた間はテストの点数も上がっていた。

テスト期間も終わり、夏休みが始まった。
彼との付き合いが心地よかったのと、助けてくれた恩もあって、前に付き合っていた厄介な3年の先輩とは別れた。あの人のおかげで輪姦《まわ》された訳だし。
代わりに彼と図書室や図書館で本を読んだり勉強したり、時々カフェや映画館なんかに行ったり穏やかな日々を過ごしていた。
疑っといた訳じゃないが、本当にオレのことが好きらしく、指に触れるだけで恥ずかしそうに笑い、照れた様子の彼が愛らしかった。

「花火大会?」
「そう。両親からたまには息抜きしろって言われて」
カフェで適当に頼んだナポリタンを頬張りながら、そんな事を言われる。
「誘う相手は?」
「結くんだけど?」
「あら、嬉しいこと言ってくれるね〜」
「俺は、ちゃんと本気だから」
じっとこちらを見透かすような顔でそう言われてしまい、呆気に取られる。
「ごめんて。まともに人と付き合うの久しぶりだからさ」
フォークで適当に塊を持ち上げて口に入れる。
「真面に付き合う?」
「そうそう、殆どがセフレみたいなものだし。学もエッチな事くらい興味あるでしょ?」
フォークで指差せば、言い淀んでそのまま彼はメロンソーダを口に含んだ。
……興味ないの?」
踏み込むように呟く。
カフェの玄関に吊り下げられたベルが、カラカラと来客を知らせる。
……興味はある」
振り絞るように呟いた彼に、笑顔を返した。



花火大会当日。待ち合わせ場所。
駅は混雑していて、どこもかしこも人だらけで、駅近のカフェで待っていれば汗だくの彼がやってくる。
「お待たせ」
「おー、暑そうだね」
「結くんは涼しそうだね」
「そ、和装も良いもんだよ。いつもと違って良いでしょ」
戯けてそう言えば
「うん、似合ってる」
なんて真っ直ぐ言うからくすぐったかった。
「じゃあ行こうか」
「ね、逸れないように手繋ごうよ」
「、でも、誰かに見られたら」
「こんなに混んでたら誰も見やしないよ」
彼の手を引いて人混みに混ざっていく。



屋台のご飯を食べ、花火を満喫する。
汗でべったりした手を握りながら、呑気に綺麗だねと呟きあいながら。

花火も終わって、彼の家が近いからそこまで一緒に歩いて行く。
マジで清い関係が続くものだなと内心思いながら、彼を見送ったら帰ろうとする。
玄関から彼のご両親が出てきて
「暑かったから、ちょっと家で涼んで行かない?」
なんて提案されて、困った顔をする彼が面白くて
「じゃあお言葉に甘えて」



どうやら彼の生真面目な性格も相まって、ご両親にオレと付き合っている事は報告していたらしく。
「この子ったら夏休み前からウキウキしちゃってね」
「最初は男かとびっくりしたけど、良い子だと聞いていたから」
両親から総攻撃を喰らって愛想笑いしか出てこない。
助けを求めて学を見るが、ごめんと顔に書いてあるだけでどうしようもなかった。

あれよあれよとご飯をご馳走になり、風呂にも入らせてもらい、新品の服も貰って急なお泊まりになる。ご家族に連絡が必要かと聞かれたが、家にいないからと答えると、自分の家みたいに寛いでねと言われお辞儀を返した。

学の私室に避難する。
「ごめん、よっぽど嬉しかったみたいで……
「ううん、なんか新鮮で面白かったよ」
「それなら良かった」
一息吐く彼の横で、部屋を見渡す。
難しそうな本が沢山あって、少しごちゃついた勉強机とソフビが幾つか飾ってあって、いかにもといった雰囲気だった。
「さてと、じゃあベッドの下でも探すかな」
「結くんが風呂に入ってる間に隠したよ」
「ふぅん、隠したって事はエロ本か何かあるのは事実か。学も男の子だね」
いつもみたいに揶揄う。真っ直ぐに返されちゃうかなと彼の顔を見れば、
…………うん」
なんてガチ照れを見せられ固まる。なるほどね。
部屋唯一のベッドに壁を背にして寝転がり、ちょいちょいと指で彼にちょっかいを掛ける。
「学、しようよ」
「するって?」
「セックス」
ぼっと彼の耳が発火する。
「学だって考えたてしょ?オレとセックスするイメージくらいさ」
「、でも」
「お袋さんにごゆっくりって言われたしさ。ね、やろうよ。オレ風呂場で準備してきたから。
据え膳食わぬは男の恥、て言うじゃん」
押せ押せ攻撃に観念したようで、彼は立ち上がって俺に覆い被さった。
まだ耳の奥の遠くから花火の音が聞こえる。
静かな部屋で、ゆっくりと下手なキスを受け入れた。







そんな出来事から暫く経ってから、オレから別れを告げた。
少しだけ退屈だったのと、それ以上に彼の事が勿体なかったから。
オレなんかよりもっと素敵な女性と付き合って、結婚して家庭を築くであろう男を、オレが弄ぶのはなんか違ったから。
そもそも釣り合わないし、大学に行く事も考えていなかったから。
塾や勉強なんかで忙しくなる冬休み前にお別れした。

それからは彼と会話する事が極端に減った。クラスも別だし、図書室に寄る予定もないし。すれ違ったり同じ授業があればたまに目が合って挨拶する程度になった。
卒業後も精々数年単位で連絡する程度の関係だった。



夏。とある本屋にて。

「で、合わないうちにこんなデカくなっちゃって……
「はは、結くんはあまり変わらないね」
近所に新しく出来た本屋にエロ本が無いか入ってみれば、その昔付き合っていた彼が店長になっていた。しかもゴリゴリのマッチョ姿で。
当時の素朴さも無くなり、筋骨隆々の彼に名前を言われるまで気づかなかった。
「どうしてこんなナイスガイになっちゃったのさ」
「その、結くんに振られた後にさ。どうすれば長く付き合えたのかなと考えちゃって。それで大学行ってから部活に入って」
「何の?」
「勧誘されたからアメフト部に」
「アメフト部!?」
「それに本屋も力仕事だし、丁度いいなと思って」
「それでこんな姿に……
「まぁ、その後大学でモテて、もう結婚してるんだけど」
「大学デビューまで成功しちゃって……、オレは嬉しいわ」
ありがとうと、昔のような屈託の無いはにかみ笑顔を返される。眩しい。
「それより、ニュースになっててびっくりしたよ。結くん何も変わってないね」
「ははおっしゃる通りで」
「そうだ、結くんも筋トレしよう。筋肉は裏切らないよ」
「うわ、典型的な筋トレハラスメントだ」

昔の頃のように笑い合いながら、彼との再会を少しだけ、ほんの少しだけ喜んだ。



おまけ
「エロ本の定期購読?いいよ。うちの店の売上になるし」
「やった。家に送ってもらう事って出来る?」
「できるよ。この書類に住所とか書いてね」
「はーい。学はさ、今のオレも全然イケる?」
「もう子供もいるから不貞行為はしないよ」
「残念」
「書店のSNSで結くんのこと拡散してもいいんだよ」
「勘弁してください」