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三毛田
2026-04-09 22:20:23
1064文字
Public
1000字7
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22 【22/飛び立つ羽は】
22日目
俺にはいらない
巣立ちを迎える小鳥のように、飛び立とうとするための羽は、きっと、柔らかすぎても、傷つきすぎても駄目だろう。
力強く空を飛べなければ、生き残れない。
地上でも空でも、弱肉強食であることは変わらないだろうから。
「
……
」
「何してるんだ?」
ふう。さっぱり。そう口にしながら風呂から出てきた穹は、ベッドに寝転がり手を伸ばしていた俺を見て問いかけてくる。
「どんなに手を伸ばしても、触れられないものもあるんだと思っていた」
「ふうん。まあ、それもそうだよな」
俺の隣に寝転がろうとしたのを止め、ドライヤーをかける。
途中まで乾いたところで、ヘアミルクをなじませ。その後、オイルもなじませてからしっかり根元まで乾かす。
「これでよし」
首を横に振り、それからブラシで乱れを整えて。
「これならいいだろ?」
ドライヤーを棚にしまった俺の手を引き、そのままベッドに倒れ。
「急に引っ張るな。危ないだろう」
「それはごめん。でも、丹恒とこうしてベッドに寝転がりたかったから」
慈しむように、愛しさを宿した瞳を隠すことなく。
「
……
」
そう言われてしまうと、何も言い返せず。
ただ、触れてくる彼の手に甘えたくなってしまう俺も俺だ。
「歯磨きは?」
「お風呂に入りながらやった!」
「それならば、今日は仕上げ磨きは必要ないな」
「もう列車に乗ったばかりの、クソガキだった俺じゃないもん」
頬を膨らませると、俺の胸に額にぐりぐりと押し付けてくる。
そんな甘えてくる姿に、キュンキュンしてるのは彼には秘密。
「仕上げ磨きは必要ないけど、明日でいいから耳掃除して欲しいな」
「わかった。風呂上がりに掃除してやろう。綿棒と耳かき、どちらがいい」
「最初は綿棒で。その後、耳かきでお願いしたいなぁ」
ふわふわ~。と言いながら、胸に顔を埋め。
「わかった。お前が風呂を出る頃に、また部屋に来るから用意しておいてくれ」
「うん。丹恒の胸、枕にしていいか?」
「構わないが、揉むのはやめてくれ」
「それは断る」
キリッとした表情をしながら、揉んでくる。ので、額を弾いたら泣きそうな表情に変わり。
「ふえぇん」
泣き真似をしながら、胸に顔を埋める。しかし、それは嘘泣きであるとわかっているので引きはがす。
「こら。抵抗するな」
諦め悪く、背中に腕を回して抵抗してきた。こういう時ばかりは、物分かりが悪いふりをする。
だが、それでも彼への愛情が目減りすることはない。
我ながら重症だ。
だから、飛び立つ羽は俺はいらない。
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