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のき
2026-04-09 14:00:14
1080文字
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芽生えたきらめき
前に書いた双葉ちゃんとクロちゃんのSS。こちらはクロちゃん目線です。親のように優しく見守ってあげるクロちゃんは、たまに水やりもするのかな。
たくさんの舞台少女と出会った。
生まれてから今までほとんどの時間を舞台の上で過ごしてきた私にとって、それは当たり前のことだった。数え切れないほどの舞台少女達の中で、きらきらと光るスポットライトの下で美しい衣装を纏って演じているとき、私は生きていると感じる。喜びも悲しみもすべてが舞台の上だから。
たくさんの舞台少女と別れてきた。
この世界は手を繋いで仲良くゴール出来るほど優しくはない。ポジションゼロに立つ主役をスポットライトが照らし出す。私が主役に選ばれたことで辞めていく子もいたし、はじめましてをした次の日にはもうレッスンに来ない子もいた。才能があっても努力が足りない、努力をしても才能がない、私はそれを小さい頃から知っていた。自分の置かれている環境に甘んじてはいけない。もっとさらなる高みへ行きたいと強く手を伸ばすのだ。
だって、だって、誰よりも輝きたいから。
「 C'est incroyable !? 付き添いで入学!?」
「ま
…
まあ、きっかけはそうだな」
目を逸らしながら頬をかくのは同じ俳優育成科に通う石動双葉。周りより背が低く勝気な彼女はクロディーヌから見ても少し異質だった。すべてがらなっていない。ダンスの基本も、立ち居振る舞いも、基礎がなっていない。
……
なんでこんな子が。
レッスン終わりのカフェテラスでたまたま見かけた彼女に興味本位で聞いてみると、答えは「幼なじみの付き添い」と意外なものだった。
「
………………
、」
「な、なんだよ!悪かったな
……
こんなんで
……
。あたしだってわかってるよ
……
場違いなことくらい
…………
」
優しい春の風が吹くカフェテラスで、今にも飛ばされそうな声が震えていた。
「みんなすごいよ
……
ク、
……
西條も
……
みんな。あたしは中途半端だって
…………
」
小さな身体をさらに丸めて俯く彼女を私は見つめる。知っている。この感覚。その歯がゆさを私は知っている。泣くのかな、と思った。今までの経験上そうだったから。
「でも
……
!」
……
え、
……
でも
……
?
「でもあたし舞台が好きだ
……
!」
……
笑ってる。
「ここへ入学して気づくなんて遅いかもしれないけど、あたし、舞台が好きだ!だからもっと上手くなりたい!」
無垢なきらめきが確かにあった。
「
……
へん、かな、」
泣くのかと思ったら、堂々として、
だけど言い終わるとまた不安になって、
その気持ちが痛いほどわかる。
「そんなことないわ。かっこいいわよ、双葉」
まだ芽を出したばかりのきらめきを、私は見守りたいと感じた。
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