Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
mochimochizucchini
2026-04-08 20:12:15
1242文字
Public
Clear cache
キミ《僕》に還りたい
灰レムレムのとある夜のお話。
二人がどういう関係性かはご想像にお任せします。
……
その日は、特に何かあったわけでもないのに、なんとなく眠ることができずにいた。
真っ暗な寝室の中で、カーテンの隙間から差し込む青白い月の光が、ベッドの端を照らしている。
確かめるように深く呼吸をすると、隣で寝ている彼の、お菓子と彼自身の甘ったるさが混ざったような香りが鼻腔をくすぐった。
目は冴えているが特にやりたいこともなく、僕はただ、二人分の呼吸以外何も聞こえない極上の静寂を、柔らかな毛布に包まれながら楽しんでいた。
———
どれくらいの時間が経っただろうか。
ふと、いつの間にか目を覚ましたレムレスが、寝起きらしく掠れ気味の声でこちらへと囁いてきた。
「
………
ねえ、起きてる?」
……
なんとなく答える気分でもなく、無言を貫く。
「
………
まあ、いいか」
「
………
これは、僕の独り言なのだけれど」
「
………
もし、もしもね。僕が『駄目』になってしまったその時は」
「キミ自身の手で僕をお菓子にして、その口で喰らい尽くして欲しいんだ」
(
……………
!?)
「彼」から発せられた言葉に、思わず目を見開く。
「
……
知っての通り、僕ら魔導師は、その職業柄かなり『死』に近い場所に居る」
「危険な魔物やダンジョンの罠で命を落とす人もいれば」
「魔導師同士の争いで、双方が倒れることもある」
「魔導の研究や調査中に気がふれてしまい、そのまま精神が戻ってこなかった人も」
「
……
そして、僕も、そうなる可能性は決してゼロじゃない」
「
……
だから」
「
……
ただ死んで、そのまま土に還るよりも、大好きなお菓子となってキミの一部となれる方が、ずっといいなって」
「
……
そう、思ったんだ」
僕は、彼の口から零される本心を、ただただ無言で聞いていた。
やがて、ふっ
…
という笑い声とともに、再び彼が口を開いた。
「
……
キミは、本当に優しいんだね。
———
最初から起きていたのに、こんな話を最初から最後まで聞いてくれるだなんて」
「
……
気づいていたのか」
やはり『彗星の魔導師』の名は伊達ではない、か。
「それはね。流石に気配で分かるよ」
そして、彼は切なげな笑みを浮かべながら言った。
「
……
さっきみたいな事を言ったら、きっと僕の周りの人たちはすごく怒って、止めてくれると思うんだ」
「でも、キミは僕の発言に肯定も、否定もしなかった」
「ただあるがままに、僕の本気とも、戯れともつかない言葉を受け止めてくれた」
「それは紛れもなく、『優しさ』の在り方の一つ、だと僕は思うんだ」
「
………………
」
「
………
さっきの話」
僕は、重々しく口を開いた。
「
……
正直言って、気分はあまり良くはない」
「
…………
まあ、でも」
「もしも、『キミ』がこの世から失われてしまったその時は」
「
———
さっきの望み、
叶えてあげなくもない
………
かな」
~fin~
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内