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モノクロ
2026-04-06 22:14:34
1445文字
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【レカペ7 展示小説】
ウルデプのエイプリルフール小話。
ムパラ46の時に配布した無配です。
――
事の発端はローラが学園で聞いたというイベントの話だった。
「エイプリルフール? なんだ、それは」
「嘘をついていい日なんだって。あと、ついた嘘は一年叶わないみたい」
ローラは聞いた話だから理由はわからないけど、と言葉を続けた。
楽しそうに話すローラにローガンの目尻が下がる。随分と学園に馴染んだらしい。この娘の将来が明るいものであればいいとローガンは願った。
「ウェイドこういうの好きそうだし、なにか嘘をついてみるのもいいんじゃない?」
ローラの言葉に一理あるな、とローガンは頷いた。ウェイドとローガンが所謂、『恋人』と互いに呼ぶような関係になったのはつい最近の話だ。
「
……
そうだな」
初々しい恋人が好きそうなイベントに乗っかってみるのもいいかもしれない、この時のローガンはそう簡単に考えていた。
エイプリルフール当日、ローガンはウェイドへとある鍵を手渡した。
「そういえばお前の引っ越し先を決めておいた」
「俺の引っ越し先
……
?」
ぽかんと口を開けるウェイドにローガンは内心にやりと笑った。
「この部屋は四人と一匹で住むには狭いって前に言ってただろ? ピーター、だっけか? そいつにどこかいい部屋はないかって聞いたらちょうど老夫婦が家を手放すって話があったみたいでな。そこを安く借りられることになった」
「
……
俺ひとりでそこに住むの?」
「そうなるな」
ウェイドだけがこの部屋から別の場所へ引っ越す、それがローガンの考えた嘘だった。ローラが言うにはついた嘘は一年叶わないらしい。だからこの嘘にした。ウェイドに自分の隣にいて欲しい、と伝えたかったからだ。
「だから早く部屋の片付けを
――
」
ローガンは数分前の自分をぶん殴りたくなった。
「そっかぁ
……
。ごめんね、迷惑かけて」
ウェイドの目尻には涙がみるみるうちに溜まり今にも零れ落ちそうだった。ウェイドにこんな表情をさせるつもりはなかった。ウェイドならエイプリルフールを知っていて、自分のつく嘘なんてすぐに見破ると思っていた。
――
だがそれは自分勝手な思い込みでウェイドを傷付けてしまった。
「その引っ越し先って家具とかある? あ、老夫婦が住んでたんだっけ? ならすぐにでも住めそう
――
」
「ウェイド
……
ッ!」
泣きそうな顔で必死に笑顔を作ろうとするウェイドをもう見ていられなくてローガンは己の腕の中にウェイドを強引に引き入れた。
「
……
エイプリルフールって知ってるか?」
腕の中でウェイドは微かに頷いた。
「それに乗っかって嘘をついたんだ。お前に、ウェイドに俺の隣にいて欲しいと伝わればいいと思っていた。
……
すまない、お前を傷付けるつもりはなかった」
「
……
全部嘘なの? じゃあこの鍵は?」
ウェイドは受け取った鍵をローガンへ見せた。
「それは
――
俺とウェイドが住む家の鍵だ。お前が一人で引っ越す以外は本当の話だからな。一緒に来てくれるか? 俺はもうお前を手放せそうにない」
ローガンは不安そうな顔でこちらを見上げるウェイドの耳元で囁いた。そしてそっと涙の溜まった目尻にキスを落として愛してやまない恋人へと許しを請うた。
【噓つきたちのエイプリルフール】
「
……
しょうがないな。今回は許したげる」
耳をじんわりと赤く染めたウェイドはそう小さい声で呟いてローガンの肩口へ額をぐりぐりと擦りつけながら逞しく広い背中へ腕を回した。
――
抱きしめ合う二人の手にはそれぞれ同じ鍵が握られていた。
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