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syanpon
2026-04-06 19:50:28
1884文字
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このあと泣かせた
ししょすば
現パロ 学パロ
恋のはじめ方なんてもの知らないがおそらくこんな風にはじまるものではないと思うのだ。
「オットーってさ俺のこと好き?」
「好きとは」
「じゃあ、嫌い?」
「嫌いとは」
「ちなみに俺はお前のこと好きだから付き合って欲しい」
「はあ」
「はあ、じゃなくてなんかもうちょい反応なかった?」
「はあ」
「オットー壊れちゃった
……
」
「
……
あんたのことは嫌いではないですけど」
「うん」
「恋愛的な目で見たことはないです」
「うん。で、嫌いじゃないなら付き合お」
「ええ」
「俺ってお前にとって自分で言うのもなんだけど結構好条件だと思うんだよね。サッカーと俺どっちが大事!? とか聞かないし、ノンデリなところはお互い様で流してやれるしなんなら彼女のフリもしてやれる! ナツキスバルと付き合うと今ならナツミもついてくる!!」
「うわ、悪趣味なのがついてくるんですか」
「殴っていい? とにかく、友達におまけがついてくると思ってくれたらいいんだよ。お前が俺のこと嫌じゃないなら付き合おう」
「貴方にメリットがない気がします」
「そう? そんなことないよ」
初対面から変な男だった。今は変で危なっかしい人だと思っている。まあ確かにスバルに対して不快感はない。オットーに大きなデメリットはないように感じてコクリと頷けばスバルはやったーと両手をあげて喜んでみせた。
名目上恋人という関係性になってもオットーとスバルに大した変化は起きなかった。恋人なのだから一緒に帰った方がいいのだろうかと彼の生徒会活動が終わるまで下駄箱で待っていれば三度見された。
スバルがオットーのことを好き、というのは嘘ではないらしい。友達のままの距離感でいいからという割に指先がほんの少し触れるだけで肩を跳ねさせ顔を真っ赤にする。もしもこれら全てが演技だとしたら役者にでもなるべきであるしオットーはとんだ道化だ。
「オットー、好きだよ」
「変な人」
「へへへ」
なんで告白してきたのか、自分なんかのどこが好きなのかはどうして怖くて聞けなかった。オットーの気まぐれで並んで歩く下校の道は気がついた時には毎日になっていた。
「会長のことが好きなんです」
そんな告白を聞いてしまったのは関係が1年ほど続いたあとのことだった。スバルよりも小柄で華奢な少女が震える声で想いを告げている。今までにもいたのかもしれないしなかったかもしれないがこうして目撃したのははじめてであった。オットーから見たスバルは背を向けていてどんな表情をしているのかはわからない。ガバリと勢いよく頭を下げているのを見るに断っているのだと思う。少女の綺麗な瞳に涙が浮かんでいるのをみてひどく安堵した。
「
……
?」
かけていく少女の背中が小さくなって消えていくのを見送ったあとスバルを後ろから抱きしめる。腕の中から奇声が聞こえたような気がするが力を弱めるつもりは毛頭なかった。
子供がお気に入りのぬいぐるみを抱き抱えるように背中から覆い被さるようにして抱きしめる。
「え、え、おっとー?」
「
……
ちょっと黙って」
「え、え?」
少女よりも自分を選んでくれたと思いたかったし腕の中でされるがままになっている姿に充足感が湧く。いったい自分はいつからこの男に恋をしてしまっていたのだろうかわからないくらいにいるのが当たり前になっていたし離れがたくなってしまっている。腕の中で固まっていたスバルが恐る恐るといった様子でオットーの腕に添えてくる指先の動きすら今はいじらしく感じる。自らの恋を自覚した驚きとでスバルに対する感情全部が馬鹿になってしまっているらしい。
「オ、オットー」
「なんです」
「いやなんですじゃなくて、ち、ちょと恥ずかしいかなーって俺がパンクするかなーって」
「パンク」
「ドキドキで壊れそうって話!」
「ナツキさんは僕のことが好きなんですよね」
「そうだけど! なに!? 今その話!?」
腕の中の体温がまた一つ上昇したような気がする。カリカリと力無く引っ掻く両手を片手で押さえ込んで左手でスバルの顎を持ち上げれば額まで真っ赤になって目にはうっすらと涙の膜が張った顔を目が合う。
「あの時あんたが告白してきてくれて助かりました」
「!? わ、笑っ
――
」
「ナツキさん、好きです。あんたが僕の恋人でよかった。なので
――
」
広い額に口付けを落としてみる。そのままくるりとスバルの身体を回して正面から抱きこんでオットーはスバルの耳に囁く。
「今日はこのままキスの練習、してみませんか」
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