せうゆ
2026-04-05 20:08:02
2757文字
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Continue? Stage 2

高杉とニシキが住むアパートで、長州メンツ+龍馬がゲームをする現パロ話です。
気が向いたら続きます

【伊藤と格闘ゲーム】
「じゃあ、俺はこれにします。」
 伊藤が手に取ったパッケージには、勇ましい男たちが拳を突き合わせて立っている。
「格闘ゲーム?」
 コントローラーを渡されたニシキは困った様子で首を傾げた。
おいおい、こいつ相手に本気になるつもりか?」
 高杉は呆れた様子で伊藤を見る。まさか!とディスクをゲーム機に読み込ませながら、伊藤は首を振った。
「俺は、あくまで格闘ゲームの楽しさを知ってほしいだけですよ。山縣さんとか、誘っても全然やってくんないから。」
 特にゲームを好む伊藤は、一緒にゲームができる友人を求めていた。ただ、同じ熱量を持つ友人を見つけるのはなかなか難しい。となれば、今からゲームを好きになって貰えばいいのだ。
そういや、山縣は? 桂さんもまだ来ていないようだが。」
「ニ人とも仕事があるき、終わったら来る言うとった。」
 まだ増えるのかよと家主の高杉は眉を顰めたが、もう一人の家主であるニシキはそうか、とどこか楽しそうに返事をする。
「よし、まずは操作方法を教えますからね。」
 細かな設定をいつのまにか終わらせていた伊藤は、チュートリアル画面を開く。ニシキは覚悟を決めて、慣れないコントローラーを握るのだった。

「な、なんでもうできちゃうんですかぁ!」
 なんも情けない伊藤の声が響く。カウンター、からの返しのコンボ。軽く教えただけなのに、ニシキは簡単にやってみせる。
「ほんとうに、やったことないんですよね?」
 ニシキはこく、と首を縦に振る。コントローラー捌きを見ていると、到底そうは思えないが彼は自他共に認める嘘のつけない男だ。
「これ、手加減したら負けそう
 伊藤はちら、と後ろを伺った。保護者ではなく高杉の顔色を確認するためだ。伊藤がこちらを確認するのをわかっていたかのように高杉はすでに伊藤を見ていた。そして、ゆっくりと頷く。ヨシ、の合図だ。
本気出しちゃいますよ、俺!」
 ぐ、と着ていたパーカーの腕を捲りコントローラーを握る。慣れた手つきでメニューから試合開始のボタンを押し、適当なキャラクターを選んだ。
 画面に浮かぶgamestartの文字。ゴーン、というリングの音が鳴る。
 まず最初の基本のコンボ。素早く距離を詰め手際よくボタンを押すと、ニシキの操作するキャラクターは意図も簡単にぽて、と転んだ。
「むなんとも難しいな
 操作不能になったキャラクターを見つめながらニシキは少し寂しそうに呟く。伊藤はぞぞ、と後ろから〝圧〟を感じた。恐る恐る後ろを振り向くと、ソファに座る三人の男たちからの厳しい視線が伊藤を刺す。言葉は発さないが、初心者相手に何をやっている、という無言の圧、だ。伊藤は慌ててコンテニューのボタンを押す。
「は、はは! 冗談ですよ! 楽しみましょ! ね!」
 わざとらしく大きな声で伊藤は笑う。確かに、難しいコンボができるからといって、実戦でできるとは限らない。その上、先程の練習は動かないNPC相手だ。中身の入ったキャラクターとは訳が違う。
 一方、ニシキは何やらかちゃかちゃとボタンを動かしている。画面は準備中で操作は受け付けていない。少しして、「よし、わかった。」と小さな独り言を呟き、準備完了のボタンを押した。
 さぁ、第二ラウンドだ。伊藤は先程とは違い、慎重に距離を詰める。この戦いは敵が多い特に背後に。この危機をどう乗り切るべきか。まず、ゆっくり右のジャブから。ボタンを押し込み、ダメージが入る直前に、その攻撃は素早く返され、体勢がガクンと崩れる。
「っ、え!?」
 崩れた体にすかさず入るアッパー、上がった体に連続コンボ。一手も出せないまま、伊藤のキャラクターは動かなくなった。
「え……えっ!?」
 伊藤は訳がわからない、と呆然と画面を見ている。
「おいおい伊藤、手加減するにも程があるだろう。」
「ち、ちが、違うんです高杉さん!」
 呆れる高杉になんとか弁明しようと伊藤は必死に言葉を探すが、何が起こったのか本人自身もわからない。気付けばあっという間に操作の自由は〝初心者〟のニシキに奪われていた。
「ふむ、わかった。」
 ニシキはそう呟いて、パッと準備完了のボタンを押している。
 伊藤は混乱したままとりあえずボタンを押す。再び鳴る、開始のゴング。さっきのは偶然か? 恐る恐る基本コンボのボタンを押してみる。少し中途半端な押し込みをしてしまったと思った瞬間、伸ばした手をぐい、と掴まれ受け流される。
「あ、あ!」
 なんとか立て直せないかと回避するが間に合わない。背後に回ったニシキは伊藤をそのまま床に叩き伏せた。
「う、嘘
 いくらなんでも覚えが早すぎる
「伊藤、このままでは負けてしまうぞ。三点勝負だろう?」
 久坂の言う通りだ。この試合、三回先に勝ったものが勝利となる。もう伊藤にあとはない。
「ま、負けてたまるか!!」
 伊藤は気合を入れて準備完了のボタンを押した。今度こそ本気を出す。高杉に何を言われようとも、絶対!
 試合開始。慎重に間合いを図る。流石のニシキも、練習していないことはできないはず。不意をつけば必ず勝てる! 伊藤は慣れた手つきでキャラ固有の技を繰り出した。スキルを消費するキック。これで体制を崩せる!
 しかし、ニシキはそれをひょいと回避した。すかさず足払い。逆に体制を崩したのは伊藤の方だ。
「うそ、今の避けるんですか?」
 スタミナをかなり消費してしまった伊藤は慌ててニシキから距離を置く。今のでかなり体力を削られてしまった慎重に動かなくては。と、今度はニシキの方から攻撃を仕掛けてくる。これはチャンスだ。スピードならこちらが上! 伊藤はすかさずカウンターを狙う。
ふ」
 ニシキが軽く笑みを浮かべたように見えた。えっ、とその反応に驚いたのも束の間、とっくに読まれていた伊藤のカウンターはニシキの必殺技の前に沈んだ。相手のスキルポイントを意識するのを忘れていた、伊藤の完全敗北だ。
「敵わないか………
 でかでかと浮かぶLoseの文字。悔しがる伊藤を他所に、後ろの観戦席は大盛り上がりだ。
「おまん、すごいのぅ!」
「はは、本気で負けたな、伊藤。」
 悔しくてたまらない、まさか初心者に負けるとは
「も、もう一回!」
「待たせたね、みんな。」
 また後ろから声がする。振り返るとそこには、コンビニの袋をガサガサとさせてリビングにやってきた桂と山縣の姿があった。
「遅れた詫びに、酒を買ってきたよ。」
「わしは止めたんじゃがの
 山縣はパンパンに膨らんだ袋を横目にやれやれと首を振る。どうも、今夜は長くなりそうだ。