はなおぼろ
2026-04-04 21:39:19
2328文字
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縁巌覆面作家企画6:Bグループ感想

作品の雰囲気に引っ張られてテンションが上下左右しております。予めご了承ください。

B-1:神去りぬ、あわいの記憶

 元来記憶を持たない存在である肉の刀に何故意識があり記憶を有しているのか。ここが丁寧に綴られていることで、堕姫ちゃんの生成物でありながら自我もあり独立行動もしていた遊郭編の帯鬼の存在も合わさり、説得力があるなぁと。
 虚哭神去、黒死牟の視点だと神は神に等しい剣技を有した縁壱なのでしょう。しかし虚哭神去自身からすれば、胸の内に溢れんばかりの愛を抱えながら、この世に留まり続けていた主こそが神だった。『あなたの怨毒と愛を運ぶ存在となってこの世を巡る、風になったのです』の一文に、主の記憶という愛を一身に受けた虚哭神去の温かな愛を感じました。



B-2:なんでもありと言ったって限度ってもんがあるだろう

 ギャグ系パロ時空における謎固有名詞が出るたびに、笑いのツボが刺激されて笑ってしまうんですけどw シャドウ・バーンの名前の由来は、お題が決まった時にシャドウから連想される単語として話題に上がっていたSNSのシャドウバンが由来だったりするのでしょうか? 豚箱送りの次は病院送りで散々ですねw
 達成条件、読み手の数だけ存在しそう。私は「温泉を掘り当てて旅館営業しないと出られない部屋」で提出しようかな。
 ナンディ・モ・アッリーノ王国、覆面作家企画は割となんでもありではありまりますが、飛びぬけてギャグに限界突破していて、面白かったです。



B-3:影おくり

 影おくりという単語を見ると、あまんきみこさん作のちいちゃんのかげおくりを思い出します。
 友達が亡くなったのがショックでイマジナリーフレンド的なものと遊んでいたのかなと思っていたのですが、お葬式後に出会っているっぽいので、死後現世に留まっていたその子と友達になった感じなのでしょうか。視点主だけが見える霊的存在?のそこの子はずっと一緒には居られないと、居てはいけないと解っていたから、友達の手で空に還して欲しかったのかな。
 いつか視点主が空から迎えに来たその子と魂の伴侶となり、二度と離れないよう手を繋いで空へ還る日が必ず来るのでしょう。



B-4:鏡

 SF作家にしてSSの巨匠・星新一さんのオマージュ作品ですね。申し訳ないことに私は該当作品を読んだことは無く……あらすじだけ調べました。オマージュ元は夫婦の間に息子さんはいない感じなのかな?
 何故息子・縁壱が悪魔に掴みかかったのか。元々は夫婦が強く当たっていたのは縁壱で、助けを求めて手を伸ばしたようにも思えました。しかし日に日に過激になる夫婦の悪魔への仕打ちに、助けられたいから助けたいの気持ちが強くなり、手を引いて鏡の中に逃げ込んだのかな、と。ストレスを暴力に変換し他者へと向ける夫婦から逃れ、二人には平穏に暮らしてほしいものです。



B-5:resemblance

 resemblanceは類似・似ていることを意味する単語だそうです(英語苦手マン、単語を調べるの巻)
 己が忌み子であること、故に呪いを、不幸を周囲に与え、巻き込んでしまっている。そんな自責の念が強い縁壱でしたね。この思いや考えを巌勝に伝えると、怒られてしまいそうですが。
 双子が両親のうちどちらに似ているか。兄は母に、縁壱は父に。何故縁壱はそのように感じたのか、描写を交えながら紡いでいく。『お労しや、兄上』が一体どこに掛かっているのか丁寧に紐解いていく。書き手様の考察と物語の落とし込み力を感じる作品でした。



B-6:影はまだ

 原稿を前に悩める男・巌勝。『巌勝は、専業作家である。名はまだあまり売れてない』の部分に、夏目漱石の吾輩は猫であるの冒頭を感じます。作家設定の物語にこういうのが取り入れているのって、良いですよね。
 巌勝が書こうとしていた物語の粗筋を聞いて冷や冷やしました。『そもそも一歩先を進む道筋が見えない』って発言から巌勝自身に前世の記憶はない感じですが、この話を聞かされている弟の方はどうなのかなと思うと……
 気晴らしってもしかしてソウイウ方向性だったりしますか? 作家様の書かれる気晴らし編楽しみにお待ちしております!



B-7:私と犬と弟と

 タイトルから、みんな違ってみんな良いみたいなお話かなとか思って読み始めたのですが、全然違いましたね。起きているときは塩対応、寝ているときに実は全力で甘えていたシャシャシャドウドウドウ犬可愛すぎました。可愛い愛犬と、それに嫉妬する弟の姿をペットカメラで堪能出来て良かったね巌勝。
 犬の見た目が黒っぽいからシャドウではなくて、唸り声と鳴き声に結び付けてからシャドウと名付けるところに、作家様のセンスを感じます。シャシャシャドウドウドウ犬を始め、全体のリズム感が良くて楽しく読めるだけでなく、口づけのシーンなど色気もしっかり感じられる素晴らしい作品でした。



B-8:縁壱、遊離魂と出会う

 日本書紀や万葉集に、遊離魂をかげと呼んでいる用法が見当たるそうで。そこから着想を得た作品だったりするのでしょうか。縁壱と出会った巌勝の影は生霊に近いものを感じましたが、タイトルに遊離魂とありますし、鬼化している間に幽体離脱していたという線も大いにあり得るのかなと。
 あの言葉を口にした巌勝が逆賊になったのを知った鬼狩りたちの絶望たるや。お館様が見通した未来が先過ぎて、伝令の隠が可哀想だなって。私が彼だったら、お館様は鬼ではなく鬼狩りを滅ぼす未来を見通していて、自分はそれに加担してしまったのだと思いながら最期を迎えそうです。



 作家の皆様、素敵な縁巌作品を生み出して下さり、本当にありがとうございました!