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かずき
2026-04-04 02:23:24
2257文字
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付き合いたてですれ違うドラロナ
泣かないでロナ君…
※
全年齢
仲直りするけどロ君が可哀想です。
「本当に嫌なら、今すぐ出てけよ」
泣き出しそうなほど悔しい気持ちを押し殺しながら目の前にいる男をじっと見つめた。
その男は、いつの間にやらこの事務所兼自宅に居着いた吸血鬼で俺の恋人だが、今をもってその関係に終止符を打とうとしている。
「ロナルド君、話を聞いて」
「
…
嫌だ、聞きたくない。」
事の発端はコイツと親父さんの通話内容を聞いてしまったところからだ。執筆の息抜きにヴァミマへ行って戻ればリビングから聞こえてしまった会話、「ロナルド君と私が付き合ってる?どこでそんな噂聞いたのです?嘘に決まってるでしょう。」という言葉にドキッとしてそのまま事務所とリビングを隔てる扉の前で聞き耳を立てていると、次に聞こえたのは「あんな若造、こちらから願い下げですよ」とあまりにもショックな言葉だった。
ドラ公と俺は恋人になったばかりだ。正直まだ実感もなければ恋人らしい事の一つもしていない。俺自身はまともに恋人がいた経験がないので、一体どんな変化が起きるのだろうかと毎日ソワソワしっぱなしであるが、対してドラ公にはなんの変化も見られずいつも通りの日常が流れて行くだけだった。
「もう嫌なんだ。俺ばっか期待して勝手にがっかりすんの疲れた」
「ロナルド君
…
」
「嫌がられてるなんて考えもしないでさ
…
俺、すげぇバカじゃん
……
」
絞り出すように、震えて上擦った声を出しながら目元が熱くなるのを感じる。
「私、ロナルド君のこと好きだよ」
「嘘つくなよ!!」
怒りを込めた声を発すると部屋の空気が一気に凍りつくように張り詰めたものに変わる。ドラ公はその声に酷く驚いてしまい、塵になって床に散らばった。
「
…
付き合って浮かれてたの
……
俺だけだったんだな。もういいよ、終わりにしようぜ
…
」
吸血鬼なんかに心を許した自分が情けなくて、更に惹かれてしまったこの気持ちが許せなくて、涙を零して床に小さな水溜まりをつくる。
「勝手に話を進めないでくれない?」
体を再生させながらドラ公が言う。
「
…
聞く気がないなら聞かなくてもいいよ。勝手に話すから」
止めようとする気持ちに逆らうように溢れてくる涙は床にできた水溜まりを少しずつ広げている。返事をしたくても声が出せなかった。
「お父様がね、私たちが付き合っていると言う噂を耳にしたらしくてね。事実ではあるけれどまだ付き合い出して間もない期間じゃない?だから外野から茶々入れられるのが嫌だったんだよ。それでその場凌ぎの嘘をついてしまったんだ。君が聞いているとも知らずに。傷つけてごめんね」
「
…………
」
「私ってば、柄にもなく君と付き合っている事実にちょっと戸惑っていてね。
…
あぁ、悪い意味じゃないよ。さすがの私でも男性を相手に恋愛した事なんかないからどうしたらいいのかな、相手は年齢イコール童貞歴のロナルド君だし、急に過度なスキンシップをしたら怖がらないかな、なんて不安になったりしてさ」
「てめぇ
…
余裕ぶっといてそんなこと考えてたのかよ
…
」
「そうなんだよ実は。だからこそ今は、まだ2人の仲をじっくりと暖めていきたい時期じゃない?そんな中、あのお父様にはい、そうです。なんて答えたら絶対に邪魔されるから鬱陶しいなと思ったんだよね
…
」
確かに、度々会うあの親父さんのことを思い返せばそう思われてしまうのも仕方ないかもしれない。それだけドラ公は大事にされてる証拠なんだけどな。
「嘘とは言え君を落とすようなことを口にするのは私も気分が良くなかったよ。深く反省してる」
ドラ公が近づいてきて俺の目元に手を伸ばす。一瞬何されるのかと怯えて目を閉じると溢れ出ていた涙を拭うように指先で優しく触れてきた。
「ねぇ、本当に終わりにしたいかい?」
目を開くとドラ公の白い手袋には涙を拭ったシミができている。細長い指の先に視線を移すと真剣な眼差しでこちらを見つめる小さな小さな赤い瞳と目が合う。
「
…
したくない、俺も、ドラ公が好き
……
だし」
掠れた声で応えればドラ公は嬉しそうに口角を上げて目元に差し出していた手を広げ抱きついてきた。
「ありがとう。私も君が大好きだよ」
恥ずかしさから若干戸惑いながら自分からも抱きしめ返すとフフッっと笑い声を上げながらドラ公が背中を撫で始めた。
「
…
こーゆーの
……
恋人っぽいこと、いっぱいして欲しい」
さっきドラ公は俺を怖がらせないかと不安だと言った。だからしてほしいことはちゃんと言わなきゃダメだと思って口にする。
「うんうん、いっぱいしようね。ロナルド君の髪の毛から爪先まで私が可愛がってあげるからね」
「
……
えっちなこともしたい」
流れに気を緩めすぎてとんでもないことを口に出していたことを数秒後に気づいて一気に顔が熱くなる。先程まで背中を撫でてくれていたドラ公の手がピタリと止まる。
「抱いていいの?」
俺の顔を覗き込むように一歩離れてドラ公が訊ねてきた。
「
…
いい、ドラ公に抱かれたい」
あまり見ないでほしくて顔を手で覆い隠すと片手をとられ、手の甲にキスをされた。まるで絵本に出てくる王子様のような仕草に心臓の音がうるさくなった気がした。
「私に愛される覚悟はいいかい?」
悪戯っぽく笑いながら訊ねられ、キャパオーバーしてしまった俺の身体は一気に体温が上昇する。クラクラする程のときめきを感じながら負けてはいられない、と言葉を返す。
「夢ん中でもお前に犯されて夢精しちまうくらい抱いてくれよ」
ドラ公は一瞬目を丸くした後、にやりと笑って「お望みのままに」と応えた。
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