浮花
2026-04-03 11:45:18
994文字
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ゼロ曜
なんでも許せる人向け

楽座怪×曜の要素がありますが言及してませんし、本文に楽座怪の単語は一切出てこないです。
軽く前提を説明すると、楽座怪と戦った際に楽座怪の花粉を吸ってしまったことが原因で種を吐き出してしまい、その種の扱いの話。



 最近曜がうつつ抜かしててつまらない。
 それが俺に対してだとかXGに対してなら構わないんだけど、対象が植物っていうのが気に食わない。確かに水やりでもしてみたら、って提案したのは俺だけど、それで俺を疎かにするのは違うと思うんだよな。
 花壇の前に屈む曜は、まだ芽が出たばかりのそれを見つめていた。それが面白くなくて、隣のジョウロを退かし、そこに屈んだ。

「曜ってば、また水やりしてるの?」
……。」

 チヨダのアレコレのせいで警戒してるのか曜は一瞬こちらに視線を向けた。

「お前がやればって言ったんだろ」

 確かに言った。確かに言いました。でもそれで相手にされなくなるのは違うよ。言った手前やめなよっていうのもなんか負けた気がするから言わないけど。

「それの何が楽しいの?」

 それが自分の言葉だけがきっかけじゃないことを分かっていたので、尚更理由を知りたかった。

「これがなんの種なのか、わかってないよね。不気味だと思わないの?」

 この種は曜が吐き出したものだ。その事実を曜が不気味に思わないはずもない。もしかしたら24シティにいた時になにかされたのかもしれないと警戒してたっておかしくないのに。
 これに関しては、俺は何もしてないけど。
 曜は答える気は無かったのか口を開かないが、いつまでたっても向けられる視線に耐えきれなかったのか溜息を吐いた。

「だから何になるのか気になって世話してるんだろ。確かに得体は知れないけど、そういうのって楽しいし」
「ふーん」

 何処か愛おしそうに話す姿に、面白くないという感情がこもった。そんな返事を聞いて曜は話すんじゃなかった、と足蹴りしてくる。

「用がないならさっさと帰れよ」
「えぇ、また会いにくるからね」
「来るな!」

 XBバットでも取り出してきそうな勢いにそそくさとその場をあとにするフリをした。
 しばらくして曜が居なくなったのを見計らって花壇の前に立つと、まだ芽が出たばかりのそれを踏み潰した。念入りに。もう生えてこないことを祈って。

「キミがいると曜がつまらなくなっちゃうから」