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2026-04-03 20:00:00
25378文字
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上向けば星
鉢雷/25,000字
現代転生パロ。特に大きな事件もなく前世の話もほぼなく、記憶あり雷蔵と記憶なし三郎が仲良くなっていく話。
※モブ同級生(女子)から好意を持たれる描写があります(二人とも)。
1
2
小さな事件が起こったのは休み明け登校初日だった。ホームルームの開始前、三郎が生徒指導室に呼び出されたらしいとクラスメイトが話していた。どうやら登校して早々、髪を染めて来たのを見咎められたらしい。
真偽不明の話だったので、特に気にすることなく待っていると、しばらく経って眉間に皺を寄せた三郎が教室にやって来た。雷蔵を見ると、不機嫌そうな顔を引っ込めて微笑む。
「おはよう、雷蔵」
「うん、おはよう、三郎
……
」
確かに髪の色が変わっている。最後に図書館で会った三日前には以前のままだったはずなのに、今はやや明るい茶色に近い色味になっている。
生徒指導室に呼び出されたと聞いたから、よほど派手な髪になっているのかと想像したので、それと比べたら常識の範囲内だ。
「髪似合うね」
元の色も似合っていたけど。そう思いながら言うと三郎はひどく嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「本当? 嬉しいな。休み明けなら気付かれないと思ったのに一発でばれたんだ。女子の観察力はすごいな。先生は絶対気付いてなかったのに」
それは相手が三郎だからではないだろうか。そう思ったが口にはせずに苦笑する。騒がれているところを教員に見つかってしまったらしい。
「先生は元に戻せって?」
「そう言われたけど、元がこれなんだと言い張ってきた。転校に合わせて黒染めしてたんだって」
「すぐばれそうだけどなあ
……
」
色が落ち始めればすぐに分かることだろう。三郎のことだから、その時には上手く言い逃れするのだろうが。
「あれ、なんかあった?」
クラスメイトの視線がちらちらと三郎に向くのに気付いたのか、登校して来た八左ヱ門が訝しげにそう言った。
「八左ヱ門、なにか気付くことはないか?」
にやにやと笑いを含みながら三郎が彼氏を試す少女のような台詞を言う。八左ヱ門は素直に首を傾げた。
「うーん、なんだろ。少し太った?」
「違うだろ! 髪を染めたんだ」
「え? あっ、ほんとだ。言われてみれば」
憤慨する三郎に抜けた返事を返す。それから三郎と雷蔵を交互に見比べて首を傾げた。
「雷蔵の髪とそっくりだな」
え、と思い三郎を見ると、いたずらに気付かれた子供のようにばつが悪そうに目を細めて視線を逸らされる。
確かに雷蔵の髪はやや色素が薄い。特に日に当たると脱色しているような色味に見えることもある。今の三郎の髪の色はそれとそっくりだった。恐る恐るというように三郎が顔を逸らしたまま雷蔵の様子を伺う。
「
……
気を悪くした?」
「ううん。別に」
不安そうに問われて、特に何も思うところがなかったので首を横に振る。一瞬前まで三郎によく似合うと思っていたのに、自分とお揃いだと思うと途端に少しもったいないような気がするくらいだ。
三郎は安心したように息をついた。
三郎の見た目の変化はそれだけに止まらなかった。
休み明けからしばらく経ち、秋も深まった頃にとうとうそれを指摘してきたのは八左ヱ門ではなく、周囲のクラスメイトでもなく隣のクラスの勘右衛門だった。
「お前ら、なんか双子みたいになってきたな
……
」
三郎に借りた英和辞典を返しにきたようだ。
ひとつの机に向かい会った雷蔵と三郎を交互に見てから、呆れたように眉を下げた。
どこか呑気な気質の周囲のクラスメイトの数名が、確かに、とかそういえば、と言いたげに首を傾げる。
「そうか?」
惚けたように三郎がそう返すと勘右衛門は苦笑いを浮かべる。髪の毛は色ばかりでなく器用にセットされてまるで雷蔵の癖毛のようになっており、服装はお揃いのブラウンのカーディガンを身につけている。
「雷蔵、無理してないか?」
面倒見の良い勘右衛門はそう言って心配そうに雷蔵の顔を覗き込む。三郎は何が問題なのかと不服そうに顔を顰めた。
「大丈夫だよ。三郎が同じ服を探しても良いかと言うから、」
「許しちゃったのか?」
「手っ取り早いと思って一緒に同じのを買いに行ったんだ」
「そうなる?」
服装を揃えるくらい、雷蔵にとってはささいなことだった。それに学生向けの安価なカーディガン、しかも駅前の量販店で買ったものだから探せば学年に十人は同じものを着ている生徒がいそうだ。
同じように違和感を持っていない三郎が両手を掲げて呆れたようなポーズを取る。
「夏休み前まではみんなでお揃いの服装だったじゃないか」
「おれがおかしいみたいに言うなよ
……
」
確かに、夏場はみなお揃いの白いシャツと制服のズボンだったのだから三郎の言うことも一理ある。鞄も学校指定のものだから加えて上着ひとつ揃えるくらいかわいいものだ。雷蔵と三郎よりも周囲の方がより視覚的な違和感を持つということは頭では理解が出来ていたが、三郎の好きにさせてやることのほうが雷蔵にとっては重要だった。
帰り際に三郎が顔を寄せて尋ねる。
「雷蔵、冬までにコートを画像で送ってくれ。探しておくから」
「いいけど、ちゃんと親御さんと相談して買うんだよ」
「たまに教師みたいなことを言うな、君は」
カーディガンと比較して冬の防寒具だと些か値が張る。ごく一般的な家庭に育っているので三郎とお揃いにするために両親に買い替えをねだるにはさすがに気が引けた。
「またどこかへ遊びに行こう。買い物でも映画でも」
「そうだなあ
……
」
映画館は好きだが小遣い事情によりそう頻繁に通えるわけではない。顎に手を当てて首を傾げる。
「三郎、うちに遊びに来ない? 配信サービスで昔の映画を見るのも好きなんだ。よかったら一緒にどうかな」
「えっ!」
どうしてだか三郎がその場で小さく飛び上がる。そんなにおかしな提案をしただろうか。少しの間を空けてから三郎が何度か頷いた。
「い、行く! 絶対に行く」
「よかった。三郎の好きな作品も教えて。それぞれおすすめのを見よう」
何を見ようか考えるだけで楽しみだ。自宅に友人を呼ぶのも何年振りだろう。昔は稀に八左ヱ門が遊びに来ていたが、お互いの性格を加味した結果どちらかというと外遊びが多く、中学に上がって行動範囲が広がってからはますます機会がなかった。
お互いに予定のない休日、約束の時間通りに自宅のチャイムが鳴って玄関ドアを開けると、どこか緊張した面持ちの三郎が立っていた。リビングルームに招き入れてソファに座らせる。
「親は夜までいないから気楽にしてて」
「ありがとう。これ、つまらないものですが」
「え?」
まるで取引先でも相手にしているような畏まった口調で、手提げの紙袋から長方形の箱を出す。蓋を開けると個包装にされた立派などら焼きが八個綺麗に並べられていた。百貨店で見覚えのある銘柄のパッケージを見て焦る。仲の良い同級生と遊ぶだけだからと気楽に構えていた。
「こ、これ結構良いとこのじゃない? ごめん。お茶ティーバッグのしかないや」
「すまない。私も大袈裟だと言ったんだが母が持って行けと
……
。今回だけ受け取ってもらえると助かる」
三郎の家へ遊びに行く前で助かった、と内心冷や汗をかく。自分だったら間違いなく、小学生の頃に八左ヱ門の家へ遊びに行った時の感覚のまま、お菓子やジュースの入ったコンビニのビニール袋を下げて訪問していた。もし三郎の家に遊びに行くことがあればその時は雷蔵も親に良いところの菓子をねだろう。
礼儀正しい家庭で育ってきたのだなと思わず感心する。転校してきたばかりの頃の、優等生らしい振る舞いをしていた三郎を思い出した。
三郎はどこか恐縮した様子だったが、美味しいものをもらうこと自体は嬉しい気持ちがより勝る。包装された八個のうち、四つを取り出して二つの皿に置く。
視聴する映画を選んでもらっている間に、餡のたくさん詰まったどら焼きを一口頬張った。あっさりとした上品な甘さが口の中に広がって幸福な気分になる。リモコンで操作をしていた三郎がこちらを見てから眉を下げて微笑んだ。
「転校は二回しているんだけど、私はこんな性格だろう。実のところ前の学校では
失敗
・・
してね」
テレビの画面を向きながら淡々とした口調でそう言った。三郎は普段あまり自分の話をしない。失敗の話ならなおさら。雷蔵は内心だけでそっと居住まいを正した。
「それを母は気に病んでいたんだ。それで友達の家に遊びに行くと言ったら必要以上に喜ばれてしまって」
「そうだったんだ。もしかして、それで最初の頃は猫を被っていたの?」
「そういうこと」
「あの頃の三郎も人気者だったけどね」
転校して来たばかりの頃の、礼儀正しく社交的な態度は自分を守るためだったのだろう。皆といち早く打ち解けて、けれど誰との間にもどこか線を引いていた。
「私は今のほうがずっと楽しいよ」
三郎はそう言って普段通りを装って微笑んだが、耳の先が赤くなっている。それでこの言葉が彼の精一杯の感謝なのだと分かって頬が緩む。よく口の回る反面、自分の心情を吐露するのは苦手なところがあるのだ。嘘偽りのない三郎が隣にいてくれることがこんなにも嬉しい。
「ぼくも、三郎と仲良くなってから毎日楽しいよ。ありがとう、三郎」
心のままにそう伝えると三郎は目を丸く見開いて、それから目が伏せられる。じわじわと頬まで赤く染まっていく。掠れるような小さな「ありがとう」がかろうじて雷蔵の耳にも届いた。
***
何でもない朝の登校時間。八左ヱ門が委員会のために普段より早く登校するというので一人で歩いていると、校門が見えるかという場所で後ろからぽんと肩を叩かれる。不破くん、と軽やかに声を掛けられて振り返るとクラスメイトの女子がひとり横に並んだ。通学方面は同じだが、普段は顔を合わせても挨拶するくらいだったので、何か用があるのかと首を傾げる。
修学旅行の班分けのことなんだけど、と切り出されて一瞬ぽかんと呆けてしまう。確かに時期としてはそろそろ準備の始まる頃合いかもしれない。けれど先生からの案内もないうちから随分と気が早いな、と思った。
いわく、通例男女混合の四、五人の班がつくられるらしいので、自分たちで班を組まないかというお誘いだった。雷蔵の方は修学旅行の班についてはまだ考えてすらいなかったが、当然三郎と八左ヱ門と一緒に行動するという前提で話をされているようだ。人数が丁度良いから、性格が合いそうだから、等と理由を並べられる。目の前の彼女とは世間一般的に仲は良好なほうだと思うが、クラス内で真っ先に声が掛かるほど親しい覚えはなかったので困惑した。三郎と八左ヱ門と相談してから、と曖昧な返事をしてその場をやり過ごす。
なんとなく教室内でその話をするのは憚られて、昼休みに三郎と八左ヱ門を中庭に連れて、弁当を広げがてらその相談をした。すると八左ヱ門が驚いたようにぱちぱちと瞬きをする。
「雷蔵もか? 実はおれも朝校庭にいたら声かけられて
……
」
どうやら別のグループの女子に声を掛けられたらしい。困惑して八左ヱ門と顔を見合わせる。それだけに留まらずその日の放課後にもう一人、計三グループの女子からそれぞれお誘いを受けた。
昨年の遠足では似たような班分けの際、積極的に異性のグループに働きかける生徒はおらずあみだくじで決めたような気がするが、一体何が起きているのか。本来なら浮ついて然るべき状況だったが理由が分からず居心地の悪さのほうが勝る。
教室内で、どこかそわそわとした視線を受けているような気がして、昼は前日と同じく中庭へ繰り出した。
「私は雷蔵と八左ヱ門が一緒なら女子は誰がいても構わないよ」
くあ、と猫のように欠伸をしながら、たいして興味もなさそうに、三郎が思春期の男子中学生とは思えない発言をした。
思わず八左ヱ門と顔を見合わせる。雷蔵は立ち上がり人差し指で招くように合図して、首を傾げた三郎をひとり置いて八左ヱ門だけを校舎内の廊下に誘い出す。
「あのさ
……
もしかしてなんだけど。女子から誘われてるの、ぼくらはあんまり関係なくて、三郎がいるから?」
「
……
おれもそんな気してた」
年頃の中学生が集まる教室内、のんびりとした気質のクラスメイト達と思っていたが、雷蔵が鈍感であっただけでそうした人間関係の網がしっかりと張り巡らされているのだ。
自分たちは三郎と仲良くなったことで、意図せずクラス内のTier1グループに昇格していたらしい。そして修学旅行という一大イベントを控えて、水面下では駆け引きがすでに始まっている。気付いてしまった事実に思わず身震いをした。
「困っているようだな。お前たち」
途方に暮れて顔を見合わせていると横から割り込む声がする。振り返ると勘右衛門が腕を組んで廊下の壁に寄りかかった気障なポーズで立っていた。
「助言をしてやろうか。幼稚園の頃から、久々知くんと同じ班だよね? の前置きで数多の女子から声を掛けられてきたこのおれが」
「お、尾浜先輩
……
!?」
雷蔵と八左ヱ門の顔を交互に見た後、すっと目を細めて勘右衛門が声を潜める。
「いいか、相手のグループはくれぐれも慎重に選ぶんだぞ。三郎のほうにその気がなかった場合に面倒な事態になる場合があるし、選ばれなかった相手との間で後々不和を招くからな。可能なら引き合いのあったグループ以外の、三郎に関心のなさそうなところと組むことができれば一番無難だ」
「勉強になります
……
」
メモを取りながら固唾を吞む。そんな高度な政治的駆け引きができるだろうか。
健闘を祈る、と言い残して右手を挙げて去っていく頼もしい背中を尊敬と畏怖の念をもって見送る。その日から雷蔵の戦いが始まった。
八左ヱ門に駆け引きの類はできない。一人で対応して言いくるめられたりしないよう班については「雷蔵に一任してある」と言わせてなんとか事を進めた。返事を期待しながら毎日のように普段はしない雑談を振ってくる子、さも同じ班になることが決まったかのように修学旅行の話を持ち掛けてくる子、それを非難がましい表情で見ている子、面白くなさそうな一部の男子の視線、それらをなんとか躱しながら勘右衛門の助言通りに他のグループの女子に接触を図る。
最初は雷蔵にとって話しかけやすい、同じ図書委員の女子がいるグループに声を掛けようとしたのだが、どうしてだか誰がいてもいいと言っていたはずの三郎がそれを嫌がった。そこ意外ならどこでもいいなどと言うので、仕方なくクラス委員の女子のいるグループに何とか話をつけようと試みる。女子には女子の立場や事情があるのだろう。最初は巻き込まないでくれとでも言いたそうな渋い顔をされたが、必死に頼み込む雷蔵がよほど哀れに見えたのか最後は首を縦に振ってくれた。
胃の痛む思いをしながら誘いのあった女子にひとりずつお断りを入れてようやく肩の荷が降りる。正式に修学旅行の話も出る前から大仕事を終え、途方もない達成感に包まれた。
「自由時間はどこに行きたい? 雷蔵はあまり予定は詰めずにゆっくり回るほうが良いかな」
にこにこと嬉しそうに予定表を広げて弾んだ声で喋る三郎を肘を付いて見守る。彼の行事が楽しいものになってくれると良いと願いながら。
***
修学旅行の一週間前、図書室の受付を終えて帰り支度を進めていると、本棚の点検をしていたもう一人の同じ図書委員の女子が同じく仕事を終えたのか、荷物棚に歩み寄ってきた。雷蔵にとってはクラス内の女子の中では交流のあるほうの生徒だった。穏やかな話し方をする、少しだけ気の弱そうな子だ。小説が好きでおすすめの本を紹介しあったりしたこともある。
修学旅行楽しみだね、と当たり障りのなくここ最近では最もよく耳にする前置きで話しかけられて頷く。会話の続くまま一緒に図書室を出て並んで昇降口までの廊下を歩いた。
旅行の日程は二泊三日だが、二日目の夜に宿の近辺でオリエンテーリングの時間がある。その時間にはクラス内で二人一組になって肝試しをすると企画担当の生徒が教えてくれたのだ、と内緒話のように教えてくれる。実のところ当日までのお楽しみと内容は伏せられていたものの、クラス内ではすでに公然の秘密となっていたのだが、雷蔵はそうなんだと初めて耳にしたように驚いて見せた。
不破くんは誰とペアを組むの? そう聞かれて雷蔵はこう答えた。
「分からないけど多分、三郎と組むよ」
何故、今になって一週間前のそんなやりとりを思い出しているかというと、目の前で広げられる会話の中で己の過ちに気付いてしまったからだ。
修学旅行一日目の夜、十余人の大部屋でそれぞれ布団に入りながら、なんとか肝試しに女子を誘う方法について作戦会議を始めた同級生の会話を聞いて、なるほど夜の肝試し、二人一組でペアをと考えればまずそういう思考になるものなのだと思い至った。クラス内でペア、と考えて何も考えず三郎と思い込んでいた。現に今も隣には寝転んだ姿勢で肘をついて呆れたような表情で盛り上がる周囲を眺めている三郎がいる。
「お前たちよくそんな気になれるな。女子を誘って振られてもみろ。その日のうちに学年中に噂が広がるぞ」
「三郎は今は黙っておいてくれないか」
ぴしゃりと八左ヱ門に手のひらを向けられて三郎が不満そうに唇を尖らせる。
「だいたい、女子は我々よりも遥かに賢いからな。修学旅行の最中はお友達同士で仲良くつるんでいるように見えて、しれっと彼氏をつくっていたことはずっと後になって知ったりするものなんだ」
「なんでそんなこというんだよ
……
」
夢ぐらい語らせてくれよ、と周囲のクラスメイト達も一斉に悲しそうな顔をした。
しかしまだ希望はある、当日相手が決まっていない場合はくじ引きで決めるらしいからそれに望みをかけるのだ、と意気込んでいる様子をぼんやりと眺めていると、三郎が身体を寄せて雷蔵だけに聞こえるように小声で話しかけてきた。
「だから雷蔵も、妙な気は起こさないほうが良いぞ」
「妙な気って?」
「女子に誘われても迂闊に了承しないほうが良いってこと。
……
同じ委員会の誰かさんとか」
囁くようにそう言われてぎくりとする。同時に雷蔵と違ってクラスメイトのことをよく観察しているのだなと感心した。分かりやすく狼狽えて視線を泳がす雷蔵を見て、ぴたりと三郎の表情が固まる。
「
……
なんだ? 雷蔵、まさか」
「えーっと」
気まずくなって頬を掻く。自分の鈍感っぷりを打ち明けるのは例え相手が三郎であっても恥ずかしい。けれど彼にも無関係な話ではなかった。仕方なく口元に手を添えて顔を近付けると、意図を察して耳をこちらへ向けてくれる。
「実は先週の委員会の帰りに誰と組むのって聞かれて、」
「
…………
」
何故だか緊張したように三郎が剣呑な様子で眉を顰める。他の誰にも聞こえないようにさらに声を落とした。
「深く考えずに三郎と組むって言ってしまったんだ。ぼくのせいで誰からも誘われなかったらごめん」
「
…………
」
少なくとも三人、三郎と二人きりで肝試しに臨みたかったであろう女子の存在を知っている。班分けの一件から何も学んでいない己にがっかりはするが、過ぎてしまったことはもう仕方がない。
ぱちくりと三郎が瞬きをして、それから頬をみるみる紅潮させて満面の笑みを浮かべた。
「もちろん、構わないとも! 私は最初から雷蔵と組むつもりだったんだ」
明るい声でそう言って、雷蔵の身体に掛け布団の上からのし掛かる。しっかりした重みを全身で受け止めて、ぐえ、と潰れたカエルのような声が自分の喉から漏れた。そのままぐりぐりと頭を擦り付けられるのが擽ったい。
呆れたようにこちらを見るクラスメイト達の視線も意に介さず、それからの三郎はずっとご機嫌だった。
「これを言うと呆れられてしまうだろうが、雷蔵が八左ヱ門でなく私と組むと言ってくれたのが嬉しかったんだ。小学校の頃から君たちはずっと一緒だったんだろう」
翌朝部屋の中で一番に目が覚めて、洗面所に行くと後ろから寝癖をつけた三郎が着いてきた。ぴったりと背中について肩に顎を乗せてくる。顔を洗いにくいと思ったが後がつかえている訳でもない。好きにさせることにして会話に応えた。
「八左ヱ門はぼくが誰と組んでも気にしないけど、三郎は拗ねてしまうんじゃないかと思って」
「よく分かっているじゃないか。その通りだよ」
まだ眠っている他の友人たちを起こさないように声を抑えた忍び笑いが耳に心地よかった。三郎は普段から誰に対しても肩を組んだりとスキンシップは多いほうだが、二人きりになるとそれはさらに大袈裟になる。雷蔵の許容範囲を試すように最初は手に触れたり髪に触れたり程度だったのが、拒絶されないと分かるにつれて徐々に密着する範囲は広がっていった。
背中にある寝起きの体温が温かい。後ろに手を伸ばして三郎の寝癖をなおしてやると嬉しそうに目を細めた。まだ髪がセットされておらずさらりとしていて指通りが良かった。
消灯時刻の十一時から朝の六時まできっちり睡眠をとった雷蔵には知る由もなかったが、深夜には中学生らしい青春の悲喜交々があったらしく、帰りの新幹線の中では勘右衛門がぐったりとしていた。クラス委員長の彼は深夜に起こった生徒同士のいざこざに巻き込まれ、対応に追われて寝不足らしい。当人達の名誉のために詳細は聞かなかったが、誰が誰に振られて泣いただの、深夜の悪ノリによる悪戯の後始末だのだ。
兵助が心配そうに勘右衛門の顔を覗き込む。
「おれのことも起こしてくれてよかったのに」
「九時に寝ついてた健康優良児は起こせないだろ。気持ちだけありがとな」
勘右衛門はそう言ってひらひらと手を振って気にするな、の仕草をした。
同じ教室で毎日過ごしている子ども達が一同に夜を過ごすと賑やかで予測不能なことが起こるのは昔も今も変わらない。その点、まったく普段通りに過ごしてしまった雷蔵たちの周辺は穏やかなままだった。同じことを思ったのか八左ヱ門が手のひらに顎を乗せてため息をつく。
「おれたちは青春とは程遠かったなあ。全然いつも通りって感じ」
「そうか? 八左ヱ門が木下先生と二人きりで肝試しをしたのはかなり青春だったろ」
「思い出させるなよ
……
」
三郎に揶揄われて眉を下げる。二日目の夜のオリエンテーリングのことだ。人数が奇数のクラスでくじを引き、見事にあまりを引いた結果だった。
「それに青春なら私はしたぞ。一生分した。最高だった。来週も修学旅行に行きたいくらいだ」
「ええっ! いつのまに!?」
「秘密」
満足そうに口角を緩めた三郎がそう発言して、思わず八左ヱ門と揃って驚きの声を上げる。三郎とは誇張表現でなく、二泊三日、二十四時間ずっと一緒に過ごしていたような気がするが、どこにそんな隙があったのだろう。
勘右衛門だけが「三郎はそりゃそうだろうな」と呆れたように小声で呟いたので、雷蔵の寝てしまった後の深夜になにかあったのかもしれない。いつか話して貰えると良いのだが。
班分けのことがあったのでどうなることかと思っていたが、いずれにせよ三郎が楽しめたようで、雷蔵もまた大いに満足だった。
***
雷蔵たちの通う学校では二年から三年への進級では受験を考慮してクラス替えがない。そのまま持ち上がった教室は新鮮さには欠けるが慣れた空気で居心地は良い。
三郎の様子がおかしくなったのは春になり少し経った、そんな時期だった。
放課後に三郎が生徒指導室に呼び出された。帰宅はいつも一緒だったから三郎を待っていると、らしくないどこか神妙な顔つきで教室へ戻ってきた。これまでは髪の染色のことや、私物の持ち込み等で先生に指導を受けても気にも留めずけろりとしていたから意外だった。先生になにを言われたのかと聞いても「大したことじゃない」と言葉を濁される。
その日以降、普段通りに振舞ってはいたがふとした瞬間に浮かない表情をしていることが増えた。毎日あれだけ一緒に過ごしていたのに、ひとりで帰ると言ってどこかへ頻繁に寄り道をしているようだ。
どんなに親しい他の誰であっても、今はそっとしておいてやろうと相手から話してもらえるのを雷蔵は待っただろう。けれど三郎だけは別だった。一分一秒だって浮かない顔をさせていたくない。持病の悩み癖が発動する暇もなく電光石火のごとく行動に移すことにした。
また今日も三郎がひとりで帰るというので、分かったと頷いて学校を先に出た。近くの公園の人目につかない場所で時間を潰し三郎が来るのを見届けてから後をつける。足音と気配を消して一定の間隔を空けて歩く。三郎は物憂げに俯きながら思い悩んでいるようでこちらを振り返る様子はない。尾行としては他愛もないものだった。
三郎が向かった先は河原だった。河川敷に座り込んでぼんやりと水の流れを眺めている。誰かと待ち合わせでもしているのかと、しばらく待ってみるが特に変化はない。どうやら危惧していたような、望まない人間関係の悩みやトラブルではなさそうだ。心因性の悩みであれば三郎の口から語ってもらわないと手を出せない。
そっと背後から近付いて川に向けて小石を投げている三郎の隣に腰を下ろす。
「三郎、水切りできる? ぼく得意なんだ」
「うわあっ!」
三郎の投げた小石がぽちゃりと音を立てて落ちる。
横から急に話しかけられた三郎が、ぎょっとしたように飛び跳ねてその場に両手をついた。雷蔵は膝の上で肘をついてその驚愕した顔を覗き込む。
「ら、雷蔵、どうしてここに
……
?」
質問には答えずに平たい小石を手にして三郎に見せる。斜めに振りかぶって勢いよく回転を付けて水面に向けて並行に投げる。石は水面を跳ねて四度跳ねてから水の中に落ちた。小ぶりの石だったので、さすがに対岸までは届かなかったかと息をつく。昔は自然の中で遊びを覚えたものだが、現代の都会の細い川ではあまり褒められた娯楽ではなく大人に教わる機会も少ない。
「ずっと後ろをつけていたんだ。ごめんね」
「全然気付かなかった。雷蔵は忍者みたいだな」
あはは、と笑う。小さい頃は忍者になりたかったが、どうにも今の時代では真っ当な働き口がなさそうで諦めたのだ。
心地よい季節の涼しい風が吹いている。桜など見所はないがそのため人気もなく長閑な景色だった。雷蔵がなんのためにここへ来たのか、説明しなくとも聡い三郎は察している。急かさずに待っているとやがてゆっくりと口を開いた。
「進路希望のことで呼び出されたんだ。志望校を学力に見合った学校に見直すべきだと」
確かに進級してすぐ、一度目の進路希望調査の用紙が配られた。まだ本格的な受験勉強を始める前の生徒が大多数で、進学へ意識を向けるためのアンケートのようなものだ。それをわざわざ呼び出したのはそれだけ三郎の成績に対して教師たちが期待をしているということだろう。諸々の所業を成績の良さで大目に見てもらってきたつけが回ったのかもしれないが。
「それで馬鹿正直に、
……
雷蔵と同じ高校に行きたいと言ったら注意されたんだ。友達に依存しすぎるのはよくないと言われた。うっかり口答えをしたら母にまで連絡がいって家族会議さ。嫌になるよ」
言葉尻が僅かに震えている。絞り出すような声色に三郎の葛藤が伝わってきた。
「大人はみな私のことをまるで病人のように扱うんだ。以前友人づくりに失敗した時期があるから。
不十分
・・・
な家庭環境で育ったから。けれど、それは多分、正しいんだ。君の真似をして四六時中側にいないと気が済まない。私はどこかおかしいんだ
……
」
そう言って膝を抱えて蹲る。
雷蔵は首を傾げてしばしの間思案した。そしてすぐに結論を出す。
「ぼく、志望校を変えようかな」
三郎が顔を上げてこちらを見る。泣いてはいなかったがひどく眉を寄せ傷ついたような表情を浮かべていて、どうやら誤解を与えたらしいと気付く。急いで捕捉を付け足した。
「三郎がぼくに合わせるのでなくて、ぼくが三郎の学力に見合う高校を受験しようと思って」
「え
……
」
雷蔵が進路希望調査に書いたのは通学が楽だからという理由で選んだ高校だった。別段拘りがあったわけではない。
「先生方が三郎を心配をするのは憐んでいるのじゃない、三郎の将来に対して責任を担っているからだ。大人の助言はきちんと受け止めるべきだけど、でもだからって全部を真に受ける必要はないんだ。結果が同じことでも、友達と同じ高校に進学したいから高い目標に向けて頑張ると言えば感心される。そういうものだよ」
三郎の口元が震える。眉が下がり弱ったような顔をした。
「雷蔵は、
……
嫌じゃないのか。私に付きまとわれて」
「どうして? ぼくだって三郎と同じ高校に行きたい。だって進路希望調査の時は、お前はまだ決めてないって言ってたじゃないか」
三郎にも記憶があればよかったのに、と初めて思う。
多少普通と違っても、自分達は今のままで良いのだ。周囲の言葉や常識などという規範に傷つけられる必要なんてない。
――
三郎に記憶があればそれを分かってもらえるのに。例えもし、進学先くらい違えたところで離れ離れになることなどないと。ぼくたちの魂は二つで一つなのだと!
「先生には考えなおしたとだけ言うといいよ。ただしご両親には本当のことを言うんだよ」
「雷蔵
……
」
堪えきれないように、三郎が正面から身体を寄せて雷蔵の肩に額を乗せた。抱えるように腕を回して頭を撫でてやる。
「ぼくを信じて待っていて。もし、ぼくが失敗したらそのときは、」
「そのときは?」
「そのときに考えよう!」
雷蔵の締まらない返答に三郎がようやく力を抜いて微笑んだ。
とはいえ学力についてはきっと何とかなるだろう。今から取り掛かれば十分間に合うだろうし、三郎と一緒にいるためと思えばやる気も出る。自信家でいたずら好きで、優秀な三郎にいつでも笑顔でいてほしいから。
***
振り返ると河原での雷蔵はらしくなかった。三郎を傷つけられて憤っていたのだなと思う。怒りは原動力にもなるから悪いことではない。
これまではせっかく平和な世に生まれたのだから、友人達との自由な時間を満喫しようと思いさほど勉強に力を注いではいなかった。
――
そう思っていたが、本当は言い訳だった。今の時代では忍者にはなれない。そう理解した幼い頃からどこか努力する意義を見出せずに生きていた。
今は違う。三郎が隣にいると背筋が伸びて、気力が湧いてくる。
受験までの計画を経てて、後は前に進むのみだった。勉強はやればやっただけ結果に繋がるから嫌いじゃない。昔のように、実任務での判断力や機転を求められていたときに比べれば気は楽だ。こう見えて忍術学園にいた頃も卒業後も、三郎の隣に立つためにずいぶん努力したのだ。
勉強のため、放課後に遊ぶ時間や趣味に没頭する時間は減ったけれど、それ以外の変化はあまりなかった。
たまの息抜きに放課後の寄り道に誘うと三郎は喜んだ。
駅近くのファーストフード店で夕食前の買い食いをした帰り道で、雷蔵はあるおねだりをした。
駅から反対側、住宅地を歩いて目的の二階建てアパートに辿り着く。錆びた鉄製の外階段を登って、三郎が角部屋の玄関ドアに鍵を差し込んだ。
お邪魔します、と声を掛けて中に上がる。急に訪ねたというのに、ダイニングの二人掛けのテーブルの上には物一つなく、戸棚の隅まで掃除が行き届いていた。
棚に七夕の小さな飾りが置かれているのを覗き込む。
「季節ごとに母がまめに取り換えているんだ」
「ぼくの家も季節ごとのイベントはやるよ。たまに正月までクリスマスツリーが出てたりするけど」
「雷蔵の家族らしいエピソードだな」
笑いながら三郎がダイニングから続く襖を開けると、奥には畳の部屋が続いていた。四畳のスペースに整頓された勉強机と小さな本棚と洋服箪笥がある。
「ご覧の通り、手狭だしあまり見せるようなものもないんだ」
「そんなことないよ。なんだか三郎の匂いがするね」
そう言うと三郎は気恥ずかしそうな曖昧な表情をした。
本棚を覗き込むと教科書と辞典だけが置かれていた。見慣れたものから小学生の頃のものまでが整然と並んでいる。
一番左端の一冊を取り出して眺めて、驚いて目を瞠る。教科書の名前の欄に拙いひらがなで書かれていたのは『はちや さぶろう』という文字だった。
「ああ、小学生の頃に両親が離婚したんだ。高橋は母方の姓でね」
「
…………
」
三郎はきっと不審に思っただろう。友達の込み入った家庭事情を聞いて、雷蔵は嬉しさのあまり頬が緩んでいた。
いつの間にか三郎が雷蔵の知る三郎なのか、悩むことをしなくなっていた。いつも雷蔵の隣にいる。そのことが鉢屋三郎である何よりの証だったから。けれど改めてこうして実感させられると胸に込み上げてくるものがある。
気付いたら三郎の首に両腕を回して抱き着いていた。三郎が声にならない悲鳴を上げる。
「あ、ごめん。つい」
自分はスキンシップ過剰なくせに、他人から触れられると途端に緊張するところは変わらない。今は変装をしていないから面を剥がされないよう警戒する必要もないはずなのだが、ただ単に慣れないだけだったのかと初めて知った。三郎について知らなかったことがまだ存在していたことに驚く。
「やっぱり君がぼくの三郎だったんだと思って、嬉しくて」
腕を緩めて少しだけ身体を離すと、耳まで真っ赤になった三郎の顔がすぐ目の前にある。行き場の分からない両手を宙にさ迷わせてから、そっと遠慮がちに雷蔵の背中に触れた。
「雷蔵、頼むからもう少し慎重に行動してくれ。私が君のことを、その
……
友達以上に想っていることには気付いてるだろう」
「友達以上って?」
反射でそう問い返してから、言葉の意味に思い至る。友達以上は友達以上だ。
腕の中の三郎が絶句したまま硬直している。窮地に立たされたときにしか見られない珍しい表情だった。
前世ではなによりも相棒という面が強かったから今の今まで思い至らなかった。パートナーとして友人や家族以上の絆を感じていたが、危険の伴う仕事柄とてもストイックに生きていたしお互いプロの忍者であることに誇りを抱いていた。
けれど今、前ほど戦が身近でないこの時代ではどんな形で一緒にいても構わないのだ。たとえば、そう、恋人関係になったって。
そう考えた途端、急に触れ合った体温がひどく熱く感じてどっと心拍数が上がる。頬が灼けるように熱い。
視線を彷徨わせていた三郎がいつの間にか口を引き結んで覚悟を決めたように真っすぐにこちらを見ていた。獲物に対して狙いを定めた瞳だ。背中に触れていた手がするりと滑り落ちてしっかりと雷蔵の腰に回され抱き寄せられる。ひっ、と喉から悲鳴が出るところだった。
雷蔵、と掠れた声で名前を呼ばれて眩暈に襲われる。
咄嗟に両手で近付いてくる三郎の口元を押さえつけると、三郎が不安そうに眉を下げながら腕を広げて身体が解放された。
「嫌だった?」
「嫌じゃないけど
……
、勉強が手につかなくなるだろ」
おそらく真っ赤に茹っている顔が恥ずかしくて腕で隠す。
もともと部屋を見せてもらったらすぐに帰るという約束だったので、逃げるようにして玄関に向かった。
相手は三郎なのに、先ほどまで触れ合っていた部分が火傷したように熱い。混乱したまま靴を履き替えるが手が滑って踵を指に掛けそびれた。何度か試みてようやく両足を収める。
顔を上げた瞬間、いつの間にか目と鼻の先に三郎が立っていることに気付いた。瞬きをする間に柔らかい感触が唇に押し当てられた。
うっとりと目を細めた三郎の顔が、視界いっぱいに映っている。
「我慢できなかった。ごめん」
「なっ、ばっ
……
」
「君が嫌じゃないなんて言うから」
甘やかに鼓膜を揺らす、艶を帯びた低い声。聞いたことのない三郎の声色に底なしの沼に足を取られるような錯覚がした。
「ばかばか! 心積りする時間くらいよこしてくれっ!」
子供のような叫び声を上げて挨拶もせずに玄関から飛び出した。心臓がばくばくと悲鳴を上げて耳鳴りまでしてくるようだ。
昨日までは見知った日常、前の人生からの延長線の上だった。二度目の人生だからと驕っていた横っ面を景気良く引っ叩かれた気分だ。
明日からどんな顔をして学校に行けばいいのだろう。全力で走りながらも、未知の刺激にまだ全身が痺れている。
生まれ変わるってこういうことかもしれない。
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