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海野_海人卓
2026-04-03 02:23:21
2342文字
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【夢占い】
なんかこう、あかね単体でも書きたかった。
自分の気持ちを受け入れる準備が友人とセラピストのおかげで整ったあかねも見たいよね!
どこまで正夢の吉夢になるかはあかね次第だけどね。
──あまりにも美しい、朝焼け。
澄んだ空気、緩やかな風、色を変えていく空。
まるで魔法のように、世界を彩って変えてゆく。
「
……
っふふ、あははっ!」
思わず漏れた笑い声が、宙に置いていかれた。
場違いなほど明るい笑顔で、楽しげな声音で。
……
あかねという人は重力に身を任せていた。
***
朝焼けの世界、水平線の向こうから昇っていく太陽を目に焼き付けている。これは夢なのだと、何故かわかっていた。あの時、あんなに恐れていた重力さえ加速度を伴って共に落下している。
──落ちる、落ちる、どこまでも落ちる!
普段であればきっと泣いていた、動けなくなっていたであろうこんな体験に笑顔が止まらないのはどうしてなのだろう。自分以外に誰もいない世界で、あかねという人物は自分が落下していく先を見た。はるか遠くまで何もない。ただ落下し続ける夢の中で、目を閉じる。
明瞭な意識は指先の感覚を思い出し、冴え渡る感覚は不思議と恐怖だけをフィルタリングして思考する脳へ電気信号を届けた。
あかねは楽しくて仕方がなかった。こんなにも怖くない夢を見たのは、いつぶりだったのか
……
。記憶を洗ってみても思い出せないほど遠くのことだ。ただ無邪気に笑っていられる、心の底から幸せな気分に浸る。
……
解放感、そして高揚感。
重力に従って、おそらくは上方向に当たる方角へ手を伸ばした。その先にあるのは、もうすぐ消えてしまうであろう一番星だった星の光。太陽の眩しさに霞んでしまうひとつの星のまたたき。ピンクグレープフルーツのような色をした雲は徐々に橙へと色を変え、いつか見た景色を思い出させる。
「にゃあ」
そして突如煙をあげてぽん、と現れた猫を何の厭いも躊躇いもなく優しく抱きしめる。唐突な出会いすら、今のあかねにとっては楽しいことだった。黒い毛並みの猫はごろごろぐるりと喉を鳴らしてあかねの腕の中で微睡む。自由落下している内にその輪郭は解け、一輪の花へとその姿を変えていった。
紫色のライラックが、あかねの手の中にある。その花弁にそっと唇を寄せて、あかねは微笑む。
「あなたも、さっきの子も、私なのね」
今まで、恐ればかり見てきた自覚はある。何もかもが怖くて、何もかもが消えてしまいそうで、見えないふりをしてきたものはいくつもあった。
──でも、それももう、おしまい。
色々な人に支えられて生きている、大切な人を見つけて幸せな気分になる。自分と向き合って、その心に耳を傾けるべきだとわかって、ずっと後回しにしていた。
自由落下もきっとすぐに終わりを迎えるだろう。落下する先へ目を向ける。美しい水面に光が反射して、鏡のようだった。
広大な水面との距離が近づくと共に自分の姿も近づいていく。伸ばした手の指先がその表面に触れて虚像が揺らいだ。不安げな顔をしていた自分を抱きしめるように、水中に落ちた自分の体をかき抱く。大丈夫だと暗示をかけるように、笑う。
重力に従った自分の体は鈍く重く、水中で意識は微睡んでいった。水と自分がひとつになるように、自分の輪郭が曖昧になる。
──野口さん、あなたの意識は浮上します。
聞こえてきた声に従って、意識が急速にはっきりとしてくる。ベッドに横たえられた自分の輪郭をなぞるように意識を向けて、目を覚ました。
あかねという人物は、そうして意識を取り戻す。
自分の隣でパイプ椅子に座っている施術者からの質問に答えていきながら自分の感情を一つ一つ数えていく。答えづらい内容も、何とか言語化して。
「
……
どうでしたか? 今見たのは、いい夢?」
施術者の問い掛け。
それが最後なのだとわかって、少し考える。
「
……
はい、とてもいい夢でした」
迷う余地などなかった気もする。でもたっぷり悩んでからそう答えたのは、本心からそうなのだと思っていた確信がほしかったからだった。
セラピストの案内通り、服を着替えて外に出る。ちょうど良い時間の夕暮れ時だ。沈んでいく太陽と紫色の雲に目を細める。
「
……
エンバーズ、寄ろうかな」
すっきりした感覚で飲むお酒はきっと美味しいだろう。そこに少し下心があるのを自覚した上で、あかねはそれに否をぶつけるのをやめたのだった。
***
友人からの勧めで夢の心理的な分析をカウンセリングのように受けたあかね。
本来であればその世界は虚無のように白く何も無いはずだが、彼女は何故か落下する夢を見た。
セラピスト兼施術者は興味深いと思いながら問答をすることに決める。
以下は夢占いの一部から得られる意見。こんな夢がどこまで真になるかは、誰も知らないけれど。
***
自由落下の夢:
・コントロール不能な状況への恐怖
・恋愛への不安
猫が出てくる夢
・黒猫:神秘的な力や未知の可能性の暗示。
「直感や内なる声に耳を傾けるべき」というメッセージ
・一匹の猫が出てくる:自立心や独立心の兆し。
独自の道を進んでいくことが幸運に繋がる。
・成猫が出てくる:「自分の力で問題を解決し、独自の道を進むべきだ」というメッセージ
・猫が懐く夢:信頼や愛情の証。周囲の人から信頼を得ていることを物語っている。
自分からも信頼を寄せ、愛情を持って接すると良くなる。
綺麗な花を見る夢:「願いが叶う」
ライラック(紫色):「初恋」「恋の芽生え」
自分が花を持っている:対人運が上がる
紫色の花:「あなたの魅力が高まっている」
水の中にいる夢:
潜在意識と深く繋がっている。安全な場であれば安心を指す。
無事着地する:
・変化をポジティブに受け入れようとしている
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