ファルカさんから沢山連絡を貰う話

※現パロです。ご注意ください。

「お先に失礼します。おつかれさまでしたー」

 喫茶店のアルバイトが先程終わったので、ようやくスマホを手に取ることが出来た。今日はなんだか忙しくて、休憩も碌に取れてなくてヘトヘトだ。上がり時間も、交代の人が電車遅延とかで中々来なくて……いつもよりも少し遅くなってしまった。
 
……あ、今日はヤバそう」
 
 従業員休憩室で着替えをしながら、思わず独り言が口から溢れた。私以外に人が居なくて助かった。
 まだ電源を入れただけなのに、ピコンピコンと音を立てながら次々に通知を受信して、スマホ画面が揺れ続けている。……まだ何のアプリも開いてないんですけど。
 えぇーっと、どれどれ? チャットアプリをまずは起動して、確認していく。広告とかゲーム通知は今いらない、大学の友達もちょっと後回しにして――と、いま一番に確認したいトーク欄を見つけた。ちなみに、このトークの未読は……二桁の数字が表示されている。
 トンっとスマホ画面を突いてみれば、一送信ごとの内容が少し長めの、ファルカからのトーク内容が表示された。

 まず、アルバイト終わり予定時間。『そろそろバイトも上がる時間か?』から始まって、『今日は雨だからな、迎えに行くか悩んでいる所だ』とある。
 
 次にその五分後。『どうした? もしかして、まだ仕事終わってないのか?』や、『今日は迎えに行っても良いのか?』と悩んでる様子だった。可愛いスタンプ(待機中の犬)も添えてある。
 
 更に五分後。『無事なんだよな⁈ もう家を出るぞ! 断られたら俺は一人で寂しく帰るからな‼︎』と書かれている。ふと時計を見ると、ファルカの家からだともうこの近くに着いてしまう頃合いだった。
 
 最後の、一番直近の内容はとても短かった。『着いたぞ。待ってるからな』の一文と可愛いスタンプ(到着した!の犬)が書かれていた。……これが三分前か。

 トーク画面を開いたままで帰り支度を進めていると、追加でトーク内容を受信した。今ちょうど送られてきた内容で、『その、すまん。我慢できなくて……。これ以上送るのはウザい……よな?』と書かれているし、ぴえんの顔文字が文末にあって、思わず笑ってしまう。
 これはいつものことなのだが、私の返事を待たずに一方的にメッセージを送信し続けていると、途中で我に帰るタイミングがあるらしい。こんな内容を読むたびに、ファルカはずるいなぁ……とか思ってしまう。
 だって――年上の男性なのに可愛く見えてしまうから、ね。

 『バイト今終わった いつものところ?』とだけ私が返信すると、『本当か!お前を心配してたんだぞ。ゆっくりでいい、いつもの所で待ってるからな』と、秒で返事が返ってきた。
 私がファルカに一文送ると、その倍は返ってくるのだ。相変わらずマメだなぁ、と少し感心する。


 
 バイト先の裏口から外へ出る。まだ少し雨が降っているようだ。
 折りたたみ傘を広げようとしたところで、身長二メートル近い体格の良い男性が、私に向けて手を振りながら近づいて来る。……全然いつもの所で待ってないじゃん。
 でも丁度いいか、と一度手にした折りたたみ傘は鞄にしまい直して、彼の隣まで雨の中を走る。少し焦った顔をしたファルカが、自身の傘の下に慌てて迎え入れてくれた。

「おいおい、そんなんじゃお前が濡れちまうだろうが」
「今そんな降ってないから平気でしょ」
「そうは言ってもな、レディーが体を冷やすもんじゃないぞ?」
「もう、またそんなこと言って。でも……うん、お迎えありがとね」
……ははっ、俺が勝手に心配しちまって、お前の返事を待ってやれなかったからな」
 
 彼の大きな傘の中に収まるように、ほんの少しだけファルカに近寄る。すると、何も言ってないのに私の意図を察して、傘をこちらに寄せようとしてくるので、それに対して私は首を横に振る。
 ふっ、と小さく笑った彼が「……帰るか」と言うので頷くと、大きな手が背中に回された。その手はほんのりと温かくて、とても心地良かった。



『心配性の貴方を、安心させるには?』