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墨色
2026-03-31 20:04:06
1858文字
Public
れめししお題
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オレのお尻に愛はあるか
れめししお題企画「ハート」お借りしました②
「蒙古斑の証拠写真見せてかわいいって言われたら、赤ちゃんの自分にも嫉妬しそう」
という素敵な発想に「なにソレ可愛い♡」ってなって書きました
※👿母捏造注意
テレビでバレンタイン特集の映像が流れていた。見るとなしに視線を送っていると、色んな動物たちの体にあるハートの形を紹介していた。
猫の背中に浮かぶ茶色のハート、錦鯉の斑点のハート。
「
……
可愛いな」
テレビに映ったハムスターの尻にあるハートの模様に、つい声が漏れた。
「なにソレッ?!」
「うおっ?!」
座っているソファの背後から、いきなり叶にのしかかられた。
「オレの方が可愛いだろっ!!」
「ハムスターに張り合うなよ」
なんにでも嫉妬するなよ、と呆れながらも悪戯心が首をもたげる。
「でも、オマエの尻にハートはないだろ?」
「あるよっ!」
「ねえよっ!!」
「オレの蒙古斑はハートの形だもん!!」
「〝だもん〟じゃねえっ!!っつーか二八歳児のケツに蒙古斑はねえよっ!!」
そんなにケツの青いガキになりたいのか?と、オレの呆れゲージが溜まっていく。
「じゃあ、確かめる!」
叶は手にしたスマホをタップして、どこかへ電話をかけ始めた。
『もしもし?』
スピーカーから女性の声が流れる。誰だ?
『あー、母ちゃん?オレオレ』
はっ?!母ちゃん?!驚きに目を見開くオレに視線だけ送って、叶は通話を続ける。
『詐欺じゃないって!!あー、はいはい、ちゃんと防犯意識高くていいですね!』
普段とは少し違う口調、声の高さ。成る程、叶でも身内の前だと変わるものなのか。すぐ近くで聞こえる会話なのに、どこか遠くで聞こえているような、耳の周りに一つ膜が張ったような感覚を覚える。
『だからー、オレの蒙古斑ってハート形だったよな?』
いや、マジでその確認だったのか?置き去りされそうになっていた意識が戻る。
『な?ホントだよな?』
母親からお墨付きをもらった叶が、勝ち誇った顔をこちらに向ける。マジだったのか。
『んじゃ、ついでに敬一君にも説明してよ』
いきなりオレの名前が会話に出る。は?なんだ?
「ほら」
叶がスマホを差し、オレの背中を押す。話せ、と言うことだ。誰と?叶の母親と?なんで?
頭の中が疑問符に埋め尽くされながら、オレは口を開く。
『も、もしもし
……
はじめまして』
ダチの親と話す経験なんて今までないから、何が正解か分からない。ただ叶の母親は、さっき叶と話していた時より高い声で、少しだけ嬉しそうに会話を続けてくれた。
たどたどしくオレが会話する横で、叶は愛おしいものを見るような眼差しをこちらに向けている。
『え?そんなことがあったんですか?』
叶の母親から、息子の面白エピソードが飛び出し始めたところで、
『ストップ!もお〜、何勝手に話し始めてんだよ。もう終わりでいいよ。え?いいから、そういうのは!』
叶はスマホを取り上げ、スピーカーをオフにして母親と話し始めた。
『そうそう、それ送っといて。じゃあな
……
え?敬一君に挨拶とかいいから!切るぞ』
通話を終えた叶は疲れた顔をしてこちらに寄ってくると、そのまま抱きついてきた。
「あー、母ちゃんと敬一君が喋ってるとか、なんか不思議な感じ。」
「そりゃこっちの台詞だ。無茶振りしやがって」
ギュッと力を込めて抱きつき返すと、ふにゃふにゃした笑みで叶がオレを見下ろしていた。
「オレの世界が繋がってるの
……
悪くないね」
「
……
まーな」
ふやけきったその顔に、喝を入れるように口付けた。
――
三日後。
「見てみてー敬一君!可愛いオレ!!」
ソファに座っていると、叶が目の前に一枚の写真を突きつけてきた。
「オレのセミヌードだ」
「
……
確かにな」
オムツ姿の愛らしい叶の写真に苦笑する。
「ほら、ここの蒙古斑、ちゃんとハート形だろ?」
指差されたオムツから見えるハンケツ
……
もとい青い蒙古斑は、言われてみればハートの形に見える。
「ホントだな」
「だろ?だから、オレも可愛いだろ?」
ソファの背もたれに顔を乗せ、同意を求めてくる。
「あぁ、赤ん坊のオマエは
……
な」
「なんだよ?今のオレは可愛くないのか?!」
近えし怖えよ、睨んでくんな。
「あー、今のオメーは
……
カッコいい
……
だろ?」
襟足の髪をそっと撫でてやると、スッと瞳が細められた。
「惜しいな」
叶の指が逆にオレの襟足、それから首筋にをそっと撫でる。
「色っぽい、も入れないと」
「そりゃ、赤ん坊にはないもんな」
ふっと小さく笑うと、悪いオトナの顔した叶が当然と言うべく唇を重ねてきた。
写真の中の天使はもういないな。
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