墨色
2026-03-31 19:18:34
763文字
Public れめししお題
 

二八歳児のハート

れめししお題企画「ハート」お借りしました①
動物にも張り合う男

 テレビでバレンタイン特集の映像が流れていた。見るとなしに視線を送れば、色んな動物たちの体にあるハートの形を紹介していた。
 猫の背中に浮かぶ茶色のハート、錦鯉の斑点のハート。
……可愛いな」
 テレビに映ったハムスターの尻にあるハートの模様に、つい声が漏れた。
「なにソレッ?!」
「うおっ?!」
 座っているソファの背後から、いきなり叶にのしかかられた。
「オレの方が可愛いだろっ!!」
「ハムスターに張り合うなよ」
 なんにでも嫉妬するなよ、と呆れながらも悪戯心が首をもたげる。
「でも、オマエの尻にハートはないだろ?」
「あるよっ!」
「ねえよっ!!」
「オレの蒙古斑はハートの形だもん!!」
「〝だもん〟じゃねえっ!!っつーか二八歳児のケツに蒙古斑はねえよっ!!」
 そんなにケツの青いガキになりたいのか?と、オレの呆れゲージが溜まっていく。
「じゃあ、見て確かめろよ」
 叶が躊躇なくボトムスのウエストに手を掛けた。
「脱ぐなっ!!」
 スパンッと形の良い後頭部を叩いた。フード越しだから、ダメージは少ないだろう。
「ヒドいっ!!」
……ったく。オメーの肌はシミ一つねえくらいキレイだろ」
 オレの言葉に、叶の口元がニィッと三日月の形に歪む。
「そんじゃ、確かめてもらおうかな……隅々まで」
 結局叶は着ている洋服を脱いだ。ついでに、オレの洋服もはぎ取られた。
 ――その結果。
 隅々まで『確認』したし、隅々まで『確認』された。自分の知らないほくろが三個見つかるという発見があった。
 叶はハートマークの代わりにキスマークを強請ってきた。普段なら見えないところに残してやったのに……なんで配信で鎖骨見せるんだよ!!
 しっかりコンシーラーで隠してはいるが、アイツの底無しの誇示欲はなんなんだよ……