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【dcst夢】共にあることが出来るように

dcstスタンリー夢。ゼノ視点。※下ネタ注意
夢主名変換可。変換しないとデフォルト名になります。

エレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレン ゼノは、エレンの民間軍事会社エリアにて自分に与えられた工房で銃の設計図を書いていたが、疼きを感じその手が止まった。
 左耳だ。最近少し聴こえにくいのと何か関係があるのだろうか。
 スタンには医者に行けと言われたが、時間が惜しい。幼馴染の心配は分かるがそこまで大したことではない。
 左耳を掻いていると、目の前に珈琲が差し出された。
「ゼノ?耳、何かあった?」
 スタン曰く心地良く耳に残る甘い声の持ち主、エレンが僕の顔を覗いた。
「大したことないさ」
 珈琲の礼を言い、受け取って一口含む。エレンがサイフォンで抽出したこの珈琲は僕好みの味だ。
 どうやらスタンに出している珈琲とはブレンドの種類が違うらしくて、彼女の細かい気遣いに脱帽する。
 そのエレンと言えばおっと顔が近い。
エレン?」
 綺麗に整ったビスクドールに迫られている。なんてエレガントなのだろう。
「ゼノ、左耳詰まってる」
 放たれた言葉は全くもってエレガントではなかった。
そうなのか?」
 耳の穴に指を入れようとすると、エレンがそれは駄目、と止めた。
 彼女が言うには、僕の耳の奥が耳垢で完全に塞がってしまっているとのことだ。耳は自浄作用があるはずだが
「ゼノ、お風呂上がりで外耳掃除する時に綿棒で押し込んでしまってない?」
 思い当たる節がある。
「病院で取ってもらった方がいいよ」
「病院か。スタンにも言われたが時間と金がかかるね。少し耳が遠いだけで命には別状ないし問題ない」
 エレンの表情はないが声で心配してくれているのは分かる。
「そっか。なら提案なんだけど耳、私が診てもいい?」
「診る?」
「うん」
 エレンは楽しそうな声で施術の説明をしてくれた。何がそんなに楽しいのだろうか。
 施術内容としてはエレンが僕の耳掃除をする、ということだ。
「耳にその匙を入れる、と」
 エレンが見せてくれた施術道具の一つは細長い匙で、その反対側に綿花のような物が付いていた。
 匙側で耳垢を取るのだろうが綿花側の用途が理解出来ない。
 他にも綿棒や匙の形をした綿棒、細長いピンセットもある。ボトルに入った液状のものはベビーオイルもといミネラルオイルとのことだった。
 耳に棒状のものを入れるのか。
「痛くないよ。と言っても初めてだと不安に思うだろうけど」
 そんなに顔に出てたのか。
 不安を取り除いてくれるかのように、エレンは耳掃除の説明を続けてくれた。
 耳掃除は普段はそこまでしなくていいが、耳垢の状態により詰まる人もおり、その際施術することがあるという事。
 エレン自身誰かに施術するのは初めてではなく、さらに軍医である祖父から太鼓判を貰っているという事。
「私結構テクニシャンです」
「テクニシャン」
 無表情でその台詞は和ませようとしているのか安心させようとしているのか。可笑しくて笑ってしまった。
 エレンなら信頼出来る。悪い事にはならないだろう。
「それなら頼むよ」
「はーい。珈琲飲んで落ち着いたら私の部屋へ来て。準備して待ってるから」

・・・

 民間軍事会社の地下二階にあるエレンの個人部屋の扉をノックすると、彼女は部屋へと迎え入れてくれた。
「ゼノ、こっちに来て」
 大きめのソファの右端に座るエレンの近くにあるサイドテーブルにはお湯に浸されたタオルと、先程見せてくれた耳掃除に使用する道具が置かれていた。
 エレンはソファをぽんぽんと叩く。隣に座れと言うことだろう。
 僕が隣に座る間にエレンは自分の膝の上に薄めのクッションを乗せていた。
「左側が上になるようにこちらに頭を乗せて」
エレン、それは」
 こちらとはクッションのことだ。所謂膝枕である。
「その方がやりやすいから」
 耳掃除の基本姿勢らしい。少しスタンに申し訳ない気持ちになったが、やむを得まい。
 頭を乗せた薄手のクッションから伝わるエレンの熱が心地良いが、これからされる事を考えると浸っていられない。
「そんなにがちがちにならないで。私に任せて」
 耳元でそっと囁くエレンの声が優しい。
 揺らいだ声にリラックスさせられ、少しずつ落ち着いていった。
「まずはよく見させて」
 左耳の中に入ってきたのは細長い匙か。ゴソゴソとした音がするが、痛くはない。むしろ気持ち良いのは耳には迷走神経があるからだ。
 匙の動きが止まり一度左耳から外される。
「ゼノ、耳垢が外耳道に付着して固まってるから、ベビーオイルでふやかして取りやすくするね」
分かった」
 左耳の中に冷たい液体が入ってきた。先程見た匙の形をした綿棒にミネラルオイルか。ゆっくりと、円を描くように中をなぞられる。
 くい、と左耳の中で何かが動く。耳垢だ。ミネラルオイルに浸された綿棒と、細長い匙が交互に動く。
 左耳の中、ガサガサするこの音は耳垢が剥がれている音なのだろう。
「そろそろ行けるかなゼノ、今からピンセットで耳垢を取り出すよ」
ピンセット耳に入れていい物か?」
 施術道具の中に細長いピンセットは見かけたが。確かに細かいものを掴むのにピンセットは必須だがそれが自分の耳に入るのか。
「大きい音がすると思うけど驚かないでね。行くよ」
「!」
 ズボボ、と耳から凄い音がした。動かないように身体に力が入る。
 凄い音は長く続くことはなく、終わった瞬間に左耳に空気が通った感覚がした。
「大漁」
 何言ってるんだいエレン。魚か。
「ゼノ、はい」
 エレンが僕に見せてきたものに驚く。折り畳まれたティッシュペーパーの上に乗っていた底辺三分の一インチ高さ二分の一インチほどの円柱の物体が耳垢で、こんな物が耳の中に入っていたのか。
道理で聴こえにくくなる訳だ
 今はちゃんと聴こえていると自覚がある。こもった感じもない。
「まだ細かい耳垢が残ってるから、取りきっちゃうね」
「ああ、頼むよ
 ゆっくりと左耳に入る細長い匙と綿棒のごそごそとした音が響く。
 副交感神経の一つである迷走神経を撫でられているのでとてもリラックスしているのだと頭では理解出来る。
 おまけにエレンの揺らいだ声に膝枕の温かさに、これは寝てしまいそうだ。
「おやすみ、ゼノ」
 エレンのその言葉に、僕は落ちた。

・・・

 肩を揺さぶられて目が覚めた。
?」
 僕は何をしていたのだったか。エレンに耳掃除してもらって、その途中で寝落ちて
スタン?」
「起きたか」
 ぼんやりとしていたが、目の前にいたのは幼馴染だと判った。そこではっとする。眠ってからどれだけ経ったのだ?
「よく寝てたね。二十分くらいかな」
 頭上から柔らかい声が聴こえた。そうだ、エレンの膝枕で寝てしまったのだ。
 このままだとエレンに負荷がかかるだろう、それに。
 僕は素早く身体を起こし立ち上がった。
エレン、すまない」
「平気だよ」
 エレンの方に問題はなさそうだ。そう、エレンの方は。
「何してたんよ?」
 スタンは冷静ではあるが少し機嫌が悪い。僕が気持ちよく寝ていたところ、肩を揺さぶって起こすくらいには。
 あれはエレンが世界を見て周ってから一年後、僕たちに再会してからだったか。
 スタンがエレンに関する事に対して、心が狭くなったと感じたのはその頃からだ。
 気になっていた少女が一年で、まるで蕾から花開くように綺麗な女性になって帰ってきたのだから、心が狭くなる気持ちが解らないでもない。
 膝枕はアウトか。幼馴染でも駄目か。いや駄目だな。
「ゼノに耳掃除してあげてたんだ」
「耳掃除?」
 エレンが僕にしたのと同じように耳掃除について説明する。
 最初は懐疑的に聞いていたスタンだが、僕の左耳に詰まっていた耳垢を見てばつが悪そうな顔をした。
 エレン、そんな楽しそうな声で耳垢をスタンに見せないでくれ。恥ずかしいだろう。
 大漁と言っていた時より耳垢が増えているのだが、寝ている間も掃除してくれていたのか。全く気が付かなかった。
 スタンには小声で悪かった、と言われた。機嫌が悪かったことに自覚があったようで何よりだ。
「お陰で耳も無事に聴こえるようになった」
「そいつは良かった」
 なんだかんだ言いつつ心配はしてくれる幼馴染の背を僕は押すことにした。
「スタンも耳掃除してもらったらどうだ」
「は?」
エレンは耳掃除も巧いぞ。リラックス出来るし僕はとてもスッキリしたんだ」
 軽くだがプレゼンも忘れない。エレンも乗っかってきた。
「私、テクニシャンです」
「は、何だよそれ。悪くねぇ」
 おお、好感触。スタンの反応を見てエレンはいそいそと準備し始めた。
「さあどうぞ」
 準備を終えたエレンがソファに座り薄めのクッション後から聞いたがクッションではなくザブトンと言うらしいを膝の上に乗せ、スタンを呼び寄せる。
 僕は少し離れてその様子を見守った。
スタンはエレンの隣に一度座った後、恐る恐る頭をエレンの膝上にあるクッションに乗せていった。
「いつでも来いよ」
「スタン。勇ましいけどこれ耳掃除だからね?」
 スタンを見るに、興味半分と未知の恐怖半分というところか。
 さてどんな反応が見られるだろうか。
 ああ、早速膝枕には反応あり。悪くなさそうだ。
 スタンにもリラックスしてもらえるといいが。
 この頃はそう、思っていたのだ。

・・・

「スタン。まずは軽く見させてね」
ああ」
 エレンの膝枕に頭を乗せたスタンは気持ち良さそうな顔をしていた。心地良い膝枕にエレンの揺らいだ声にリラックスしているのだろう。
「スタンは耳の中乾燥しているんだね」
「そうなのか?自分じゃよく分かんねぇが」
 エレンの説明によると耳垢にも個人差があり、僕は湿性でスタンとエレンは乾性だという。アメリカやヨーロッパ系の人種は湿性が多く、アジア系人種は乾性が多いらしい。スタンとエレンの乾性はこちらでは珍しいようだ。
「ちゃんと自浄作用が効いてるから、引っ掛かりそうなところだけ掃除するね」
 スタンには綿花ではなくアヒルの羽毛でボンテンと言うそうだが付いた細長い匙を使用するようだ。
「行くよ
 すっとゆっくりとスタンの耳の穴に匙が入って行く。と、スタンの目が驚いたように見開いた。
 痛い訳ではないようだが様子がおかしい?エレンはそんなスタンに気づかず施術を続けている。
っ」
 言葉を発しようとするのを止めるかのように、スタンは身体を動かさないよう静かに素早く手で自らの口を塞いだ。
 スタンの目には困惑、顔は紅潮、身体は少し震え痛みを感じている訳ではない。必死に耐えている。何に?そしてエレン、君はスタンの様子に気付かないのか?
「スタンの耳の中きれいだね」
そう、かよ
 エレンが囁く度にスタンがびくっと身体を震わす。ああ、何となく解った。
「最後はこれで細かいものを取るね」
 エレンは手を返しボンテンをスタンの耳に当て軽やかに回転させる。耳から出た取り切れなかった細かい耳垢を絡め取っていった。
 それ、そういう風に使うのか。
 スタンは耐えられているだろうか見るまでもなくその答えは出る。
 要因その一、スタンはエレンを女性として意識している。
 要因その二、エレンの温度や匂いを感じる程密接している。
 要因その三、膝枕というシチュエーション。
 要因その四、外耳道にある迷走神経副交感神経への刺激。
 結論、耐えきれない。
「はい、終わり」
 エレンの施術が終わったのと僕の結論が出たのと同時、スタンが勢いよく起き上がった。
危ないよ?」
 スタンはエレンに返事もせず扉に向かってずんずんと歩いていく。
便所」
「いってらっしゃい」
 部屋を出たスタンはあまり良い態度ではなかったが、エレンは気を悪くしていなかった。口調も落ち着いているからそう判断した。

 いたたまれない、正にそう呼ぶのが正しい。背中を押しすぎたか。スタンに申し訳ないことをした。
「男の人って大変だよね
 僕はどんな顔してそれに返したら最適解だったのか。内心その通りだと思っているが言えるわけないだろう。
 しかしエレンはスタンの状態を解っていたのか。施術中指摘せず送り出したあたり理解度ありすぎないか。
 ああ、これだけは言っておかねば。
エレン。耳掃除は人を選んだ方がいい。それから男と二人きりの状態で施術してはいけないよ」
「分かったよゼノ父さん」
「君と一つしか違わないんだがね
 前に、エレンに父親に似ていると言われたことがあるが今のは確かに父親みたいだったな。年の近い女性に父親扱いされたくはないが。
 エレンに異性として意識されたいような気持ちもあるし、友人として側にありたい気持ちもある。
 どうあれ、僕にとってエレンが特別な存在であることに変わりはない。
 スタンもエレンが特別な存在という意味では僕と同じだろうが、友人としてエレンを見てはいない。完全に一人の女性の愛を得ようと奮闘する男のものだ。
 エレンはどうなんだろう。僕らを異性として意識してはなさそうだ。今のところは。
 彼女は懐にいる人間に愛情を振りまくけれど、自分へ向けられる愛情には鈍く受け取ろうとはしない。
 だからこそ幼馴染の奮闘が歯痒い。
 スタンは冷静に見えて情が深いのだ。スタンから発せられるエレンへの愛情はそのうちはち切れるだろう。叶うなら全部受け止めてやってほしい。
 二人がそういう仲になったら僕は寂しくなるのだろうか。いや、変わらない気がする。
 二人共、僕とこれからも共にあるような気がするのだ。そんな気がするからスタンもエレンも特別なのかもしれない。
 ノックの音が響いた。スタンが戻ってきたようだ。
「途中で悪ぃな」
 スタンはスッキリとした顔をしていた。外耳道への刺激で反応したことを考えても、君は溜めすぎなのではないか?
 エレンへの愛情はすでにはち切れているのではないだろうか。
「二人とも耳掃除片方しかしてないけど、もう片方はどうする?」
 元々人に何かをしてあげるのが好きなエレンだが、耳掃除は半分趣味なのではないかと思うほど声が弾んでいる。歌ってる時と同じだ。
「右は特に問題ないから、また詰まったら頼むよ」
 問題のあった左耳は解消されたし、充分にリラックス出来たので満足だ。僕はそう答えたが、さてスタンはどう来るか。

 瞳が左右に忙しない逡巡してるな。普段の君の冷静さはどこにいった。また反応することを考えたら当然かもしれないが。
 瞳が据わってきた。
あーもう片方もやってくれ」
 スタンはエレンを真っ直ぐ見据える。
「負けっぱなしは性に合わねぇ」
 次は負けないという気概を感じるが、耳掃除はそんな殺気立って行うものではない。はずだ。
「どうぞ」
 エレンは再度膝枕の上に置いたザブトンをぽんぽんと叩く。スタンは今度は勢いよく頭を乗せた。
「初めるね……あれ?」
「何だよ」
「この向きだと見えにくいね。スタン、向き変えてくれる?」
 今のスタンはエレンと同じ方向を向いて寝転がっている。その向きを変えると言うことは。
「私のお腹の方に顔を向けて寝転がって」

 一度スタンが起き上がり、エレンも立ち上がってソファの座る位置を変える。
 そしてまた膝枕を準備しスタンに声をかけた。
「はい」
 スタンの顔が険しい。負けっぱなしは性に合わないというのなら頑張って耐えてほしいものだ。エレンの匂いがダイレクトに来ようとも。
 二人がいい雰囲気なら部屋を去ろうかと思ったがこれは駄目だ。幼馴染に限ってそんなことはと言えない。
 エレンの膝に再度頭を乗せたスタンの顔がエレンの下腹方向に向いているため、僕からはその表情を伺えないが、耳が赤いことと僅かな震えを抑えようと必死になっていることは解った。
 施術をするエレンは癒しを与える天使のようにも、弄ぶ小悪魔のようにも見えてきた。
 頑張れスタン。
 僕は心の中で必死にエールを送ったのだったが、施術を何とか終えたスタンは「煙草」と言いそそくさと部屋を出て、喫煙ルームとは逆方向のお手洗いへと向かって行ったのだった

・・・

「スタン、耳弱いんだね今後やらない方が良さそうかな」
 エレンは耳掃除道具を片付けながらそう呟いた。
 理解があり、気まずくならなかったのは良かったがエレンはどう思ったのだろう。もう少し表情に出してほしいものだ。
今は、その方が良いだろう」
 いつか君達が恋人同士になったのなら、存分に耳掃除をやってあげるといい。
 そしてエレンはスタンのはち切れんばかりの愛情を存分に受け取るといい。
 そんな二人を見ることが出来たなら僕は幸せだ。
 スタンを応援するのは勿論、エレンの方にもスタンを推して行こう。二人が互いに手を取ってくれるように。
 最も、今推すのは逆効果かもしれないので、スタンが本当に煙草を吸いに行った頃を見計らってアドバイスでもしに行こうか。
 世話が焼ける幼馴染だ。と言いつつ少し楽しんでもいる。
 どうか二人が共にあるように。
 二人と共にあることができるように。
 僕はそう願いながら、改めてエレンに耳掃除のお礼をし喫煙ルームへと足を運んだのだった。