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ぐるさん
2026-03-29 14:33:17
1446文字
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3.28 ふみりかワンドロ【指切り】
ふみりかワンドロライ(@ fmrk_1draw)さんの2026.3.28 お題をお借りしました。
「あ。俺、今日遅くなるから」
朝食の場でふみやさんが私達に向かってそう告げる回数が、今週に入って増えた気がする。
元々、ふらりとどこかに出かけて、いつの間にか家に帰ってきて、を繰り返す人ではあったが、最近はその頻度が減っていたので、正直に言えば驚いている。
寂しがり屋という程では無いが、なんだかんだ皆で出かけたがる、もしくは一緒に居たがる。そういう人物だというのが最近の我々の共通認識になっていた部分もあり、驚愕と狂乱で食卓は大騒ぎだ。
何時に帰るのか晩御飯を外で食べないか、急に出かけて何をするのか危ない事はしないか、久しぶりのミステリアスセクシー等々
……
。
PPPPPPPPP!
「ご飯を食べながら騒ぐな!!」
相変わらずのはちゃめちゃ動物園に、やはり私がしっかりしないと、と襟を正しつつも、一つ気がかりな事があった。
◇◇
「んん
……
」
今日も一日、良くも悪くも家の中は騒がしく、あちこち注意したり巻き込まれたりしながらも、毎日平等に日は沈む。
いつも通りの時間に床に就いたものの、何だか変な時間に目が覚めてしまった。
近くの時計を確認すると、深夜二時。マフィアもヤクザも寝る時間だ。
もう一度寝直そうと目を閉じたが、何だか妙に冴えてしまって眠れない。
諦めて白湯でも飲もうかとベッドから出ると、机の上に置いた一冊の本が目に留まる。
それは、ふみやさんに貸してもらった小説。最近古本屋で見つけたんだけど、意外と面白いんだと言われて渡され、随分前に読み切ったそれを、私はまだ、ふみやさんに返せていない。
ふらりと出かけて、私が寝ている間に帰ってきて、また出かけるふみやさんと、私の生活リズムが合わないのだ。
「
……
はぁ」
どうにもならない事を気にしても仕方がない。気持ちを切り替え、部屋を出てリビングの扉を開けると、視界に飛び込む光景に驚いた。
「ふみやさん
……
!?」
なんと、リビングのソファでふみやさんが寝ているのだ。
おそらく、外から帰ってきて、そのままこのソファに寝転んでしまったのだろう。
私の声にピクリとも反応せず、近づくと穏やかな寝息が聞こえる。
ちゃんと手を洗ったのか、寝るならちゃんとベッドに行きなさいとか、言わなくてはならない事が沢山ある。
だけど、久しぶりにふみやさんを間近で見れた事に、心做しか浮き足立っている自分がいる。
「ふみやさーん
……
」
小声で話しかけてみたが、やっぱり起きない。
「あの本、面白かったです
……
」
「
……
」
一瞬、反応があった気がするが、気のせいだったかもしれない。
「明日お返しするので、ちゃんと家に居て下さいね
……
」
ふみやさんの右手の小指と自分の小指を絡めて指切りをする。
子供じみたおまじない。その上同意も無く勝手に約束を取り付けるなんて、普段の私なら有り得ないモラルの低下だ。
でも、勝手なのはふみやさんも一緒で、私のはその、ちょっとした、お返し?みたいな?
自分で自分に言い訳を重ねる内に、何だか恥ずかしくなってきた。
「お、おやすみなさい。ふみやさん」
もう一度寝るどころか、どんどん早くなる鼓動を抑えながら、自室へと向かう。結局白湯も飲まそびれてしまった。
リビングを出る直前、ふみやさんが一瞬身動ぎをした気がするけど、今話しかけると声が裏返りそうな気がしたので、見逃したフリをした。
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