榎本奏江
2026-03-28 08:41:38
3002文字
Public ふたさに
 

【ふたさに】トラウマ

小説未満の小話。今後、漫画or小説になる予定のモノです。
Twitterに上がっていたものを最低限の加筆修正のみです。
突然始まって突然終わります。

二筋樋:前田、平野、キョウは見なかったか?
前田:主君ですか?主君なら、射撃の練習されてると思いますよ
平野:席を外されてから暫く経ちますので、そろそろ訓練を終える頃かと思います
二筋樋:そうか、わかった。ありがとう。地下に行ってみる
平野:いいえ。主に何かご用ですか?
二筋樋:仕事の連絡が俺の方に来たから、伝言だ
前田:そうだったんですね。行ってらっしゃい


~~~
桔梗(あんまり気持ち的に元気じゃないときに無理して訓練するものじゃなかったな。いつもより当たらない。ミスが多い。今日はこの一発撃ったら終わりにしよう)
パァッン
桔梗:あ……
※人質側の顔に誤射し、人質の顔に穴が空く

桔梗:あっ、違う、違う、そんなつもりじゃ。違う、違う、違う違う違う違う違う違う違うっっっっ!!!!あ………や、だめ……死なないで……ごめんなさい、ごめんなさい……違う違う違うごめんなさい……


〜〜〜
二筋樋(300mの方で練習中か。控室で様子見てから、声かけるとするか)
 ………キョウ!? おい、キョウどうした?キョウ?何があった?大丈夫か?
桔梗:違う、違う、間違えただけ、間違えただけ……違う、殺してない、殺してない……私じゃない……殺してない、私じゃない。違う、違う、違う違う違う違う違う……違う………
二筋樋:キョウ、落ち着け!俺だ、二筋樋貞宗だ!!キョウ、顔を上げろ、俺を見ろ!落ち着け!
桔梗:違う違う違う違う違う違う……
二筋樋:俺の声をちゃんと聞くんだ。落ち着け、大丈夫だ。人を殺してない。練習していただけだろう?落ち着け。息を大きく吸うんだ
桔梗:はっ、は、はっ、はっ
二筋樋:そうだ、落ち着け。そのまま、俺の呼吸に合わせろ。大きく息を吸って……ゆっくり吐くんだ。そうだ、また息を吸って……吐いて。俺がいる、大丈夫だ。
桔梗:はっ、はぁ、はぁ……はっ……ふっ……はっ……。失敗した…………血が……頭が……私、また、また……
二筋樋(“また”?)
二筋樋:キョウ、落ち着け。あんたは人を殺してない。練習でマル害のパネルを撃っただけだ。これは、練習だ。人の頭も撃ち抜いていないし、血も流れていない。しっかりするんだ。あんたが見えてるのは幻覚のたぐいだ。血は見えていない、落ち着け
桔梗:はっ……はっ、はぁ……はぁ、ごめんなさい。………ヒサ? ……ヒサ……ごめんなさい……、私……こんな、ごめん……
二筋樋:やっと俺の目を見てくれたな。そうだ、あんたの二筋樋だ。わかったか?
桔梗:うん……。ごめんなさい……。ありがとう……
二筋樋:謝るな。大丈夫だ。俺がちょうどきてよかったな。なぁ、どうした?何があった?
できればどうしてこうなったのか知りたいんだが、話せるか?
桔梗 ※無言で頷く
二筋樋:そうか、良かった。そしたら、装備を脱いで控室で少し休むか?
桔梗 ※頷く
二筋樋:今、なにか飲み物持ってくるから自分で片付けられるか?
桔梗:うん
二筋樋:ん、いい子だ。俺は少し離れる。すぐに戻るから、無理はするなよ?
桔梗 ※頷く

〜〜〜
二筋樋:キョウ、待たせたな。戻った
桔梗:ヒサ……(二筋樋のところに駆け寄るが、何かを躊躇って手を止める
二筋樋:……(抱きしめる
桔梗:ヒっ……!?
二筋樋:今は、こうされたほうが落ち着くんだろう?遠慮するな。気持ちが乱れるなら、乱れない方を選べ
桔梗:ごめん……
二筋樋:だから、謝るな。どうする?このままでは椅子に座れなさそうだが、どこか移動するか?
桔梗:そこに伏射マットがあるから、それ広げて座れる
二筋樋:わかった。――これでいいな。ほら、こっちに来い
桔梗:………
二筋樋:落ち着くまでここにいたほうがいいんじゃないか?
桔梗:お邪魔します……
二筋樋:ほら、毛布とお茶だ。身体冷えてるから、まずは温かくするんだな
桔梗:……あたたかい……
二筋樋:よかった。で、聞かせてくれるんだろうな。無理しなくていい。ゆっくり教えてくれ。何があった?
桔梗:……訓練してて、今日調子悪くて、最後の一発で終わらせようとしたら、判断を誤ったつもりじゃないのに、マル害側の頭部を撃ってしまった
二筋樋:練習の話だ。どうしてそこまで取り乱したんだ?
桔梗:………
二筋樋:今回、間違えたってまた次回失敗しなければいい話だろう。そこまで気にすることでは――
桔梗:狙撃にセカンドチャンスはないんだよ。一度失敗したら誰も不利益になる。今回はパネルだったけど、もしこれが事件中ならマル害を殺害することになる。無関係の命を奪うことになる。練習だって許されない。許されないのに
二筋樋:……そうだな。確かにあんたが言ってることは間違いない。しかし、あんなに取り乱したら本末転倒だろう?
桔梗:………昔の事件が……蘇った
二筋樋:昔の……事件?
桔梗:10年前の強盗事件、私は……マル害を誤って射殺してしまった。つい最近、植物状態だったマル被も亡くなったって連絡あった。あの時の、スコープから見えた光景が、……血、倒れた人が……助けたかっただけなのに……、助けられると思ったのに、私が……私が、私が、私が私がっ……!!!!
二筋樋:落ち着けキョウ。大丈夫だ、深呼吸だ。辛いこと聞いて悪かった
桔梗:雄一を殺したの私が。私が雄一の未来を奪った。雄一ごめん雄一……雄一……雄一……ちがうの、雄一。助けられなくてごめん、雄一、雄一……
二筋樋:キョウ、落ち着け。キョウ、俺の話を聞くんだ。もう、話さなくてもいい。大丈夫だ。事情はわかった。無理させて悪かった。だから、話すな。呼吸を整えるんだ。息を大きく吸って、そうゆっくり吐いて……
桔梗:すぅ………はっ……すっ……はぁ……
二筋樋:今はもう大丈夫だ。落ち着いたら部屋に戻るぞ。今日はもう部屋で休め
桔梗 ※無言で頷く
二筋樋:今日、あんた朝から調子良くなかっただろ?日課だからと言って無理してこなそうとするから失敗するんだ。辛いと思うなら無理してするなよ
桔梗:うん……。ごめんなさい……
二筋樋:わかればいい。もう暫くここにいよう。……誰にも見られたくないんだろう?
桔梗(頷く)ごめん、ヒサ。……あリがとう。ヒサが来てくれてよかった。ごめん
二筋樋:謝るな。相棒として当然のことだろう?気にするな
桔梗:あリがとう(落ち着く場所を作ってしまってはだめなのに、どうしてそんなにそばにいようとしてくれるんだろう……。独りになったとき、どうしたらいいんだろう)
桔梗:ヒサ……
二筋樋:どうした、キョウ?
桔梗:さっきの話、まだ続きがあるの。でも、今話したらまた気持ちがおかしくなりそうだから、大丈夫なときに話すね
二筋樋:わかってる。無理するな。……あんたがやり直したいと思ってしまう過去は、そこなんだな?
桔梗:ごめん……。もう、10年経つの。
10年も時が過ぎてるのに変われない、何も変われない……
二筋樋:あんたは、変わりたいのか?
桔梗:変わらなきゃいけない。ずっとこのままではだめだってわかってる。でも、忘れてはいけれど、風化しては行けない。だけど、自分の罪も止まってくれない時間も、変わっていく景色も受け入れなきゃいけない
二筋樋:……そうだな