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ポほ
2026-03-28 05:28:24
2971文字
Public
跡取り息子、やめました!?
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女子の買い物
りやめ二学期編第2.5話
課外活動の内容が決まったあとの、三組の教室。
「ねーねー、せっかくだからさ。宿泊学習用のパジャマ、お揃いで買わない?」
「う
……
うん!いいね
……
!」
(ちなっちゃんとお揃いなのは嬉しすぎるけど
……
二人きりだと、さすがに周りに怪しまれちゃうよね
……
)
ちなつに恋するゆきの乙女心は、今日もなかなか忙しい。
「ね、宗真も一緒にお揃いの、着ない?「」」
「え?オレ、荷物増えるの嫌だし、ジャージでいいと思ってたけど。しおりにも『学校指定のジャージ、またはパジャマ』って書いてあるじゃん」
「えー、つまんなーい。どうせなら可愛いパジャマ着て寝たくない?」
「それならさ、オレもう、もこもこの可愛いやつ持ってるし
……
」
「それもいいけど
……
お揃いって、女の子にとっては『仲良しの印』なんだよ。だから、どうかな
……
?」
「わ、わかったよ
……
。じゃあ、可愛いやつ選ぼうぜっ」
そんなわけで、週末に駅周辺まで出かけて、三人でお揃いのパジャマを探すことになったのだった。
そして、買い物当日。三人は仙台駅のステンドグラス前で合流し、まずはイービーンズ(駅そばの商業施設)にあるGUから見ていくことになった。
さっそくパジャマ売り場を覗くが
――
。
「これ可愛いねー!」
「いいね!ねえ、こっちも良くない?宗真はさ、どっちがいいと思う?」
「えっ!? どっちって
……
」
(どっちも
……
別に、良くないか
……
?え、これ、どう答えるのが正解なんだ?)
悩みに悩んだ末、宗真はちなつが選んだものでも、ゆきが手に取っているものでもない、少し離れた場所に掛かっていた別のデザインのパジャマを、そっと指さした。
「お、オレは
……
こっちがいいかな?」
(違いはよくわかんないけど)
「うーん、これもいいねぇ!」
「じゃ、キープだね!次行こっ」
(えっ!?あんなに「いいね」って言ってたのに
……
結局、買わないのか???)
女子の買い物独特のテンポとノリについていけず、宗真は不思議そうな顔のまま、二人の後ろをついていくのだった。
次に三人が入ったのは、チュチュアンナだった。
「あ、これ可愛くない?パンダのやつ!」
「ほんとだ!ちょっとずつデザイン違うんだね。中華風っていうのかな
……
可愛い!」
(GUで見たやつも「いいね」って言ってたじゃんか。全部「いい」んだろ?
……
何が、どう違うんだ?)
「そ、そうだな!か、可愛いな
……
?」
よく分からないまま、宗真はパンダのモチーフが入った、微妙にデザインの異なるパジャマをそれぞれ手に取り、三人分を購入することになった。
「ね、ゆき。こういうのって、リンクコーデって言うんだっけ」
「うん!仲良しって感じがしていいよね。まるっきりお揃いってほど恥ずかしくないし
……
」
(まあ、ゆきも嬉しそうだしいいか
……
)
「ん? ここ、下着も売ってるのか?」
「うん、そうだよー。ここ、ルームウェアと靴下と下着のお店だもん。」
「ちょっと見てく?」
「い、いや
……
なんか、恥ずいし
……
!」
「でもさ、宿泊学習に向けて新しくするのもアリじゃない?」
「サイズ変わってるかもしれないし、店員さんに測ってもらうだけでもいいと思うよ?」
(た、確かに
……
!ていうか、この前ちょっとムネ大きくなった気もするし
……
この機会にお願いしちゃおうかな
……
)
宗真は内心そわそわしながら、チュチュアンナの店内を改めて見回すのだった。
「それにしてもさ
……
下着売り場って、正直目のやり場に困るっていうか。なんか場違いな感じがして、恥ずかしいな
……
」
「なんでよ?今は女の子なんだし、堂々としてればいーじゃん?」
(その「今は」なのが、余計しんどいんだって!)
そんなやり取りをしている間にも、店員の手際はよく、あっという間に採寸が終わった。
「お客様でしたら、こちらの商品も合いそうですね」
案内されたのは、今着けているシンプルなノンワイヤーブラよりも、少し装飾のついたデザインのものだった。
しかも、同じ色合いのショーツがセットになっている。
「お、おおっ!?なんか今の地味なやつより、お洒落かも
……
!それに、上下同じ色って
……
なんかオトナっぽいし!
……
静姉のは、もっと派手だけど」
「
……
最後の一言は、聞かなかったことにするね?」
「宗真、今度そういうこと言ったら、お姉さんの代わりにグーでいくからね?」
「こ、怖いって!」
「でも
……
可愛いと思うよ?」
「うんうん!もういっそ買っちゃえば?」
「そ、そうしようかな
……
?」
宗真は鏡に映るそれをもう一度見つめ、少しだけ覚悟を決めたようにうなずいた。
下着を買い終えたあと、三人は駅ビル内のカフェに入った。紙カップから立ち上る甘い匂いと、買い物客のざわめきが混ざる、少し落ち着いた空間だった。
宗真はトレーを受け取りながら、さっきまでの売り場のことを思い出して、まだどこか気恥ずかしい気分を引きずっていた。
「パジャマ買えてよかったね〜!」
「ほんとだね!宗真は下着まで買えたし!」
「なんか
……
お前らの方が嬉しそうだな?買ったのオレなのに」
「えー?だって、一緒に買い物してる友達が欲しかったもの買えるとさ、なんとなく嬉しくならない?」
「そうそう!逆にさ、いいのないかなーってウロウロして、誰も収穫ないと、ちょっと落ち込むんだよね〜」
「わかる!」
「
……
女子の買い物って、そんな感じなんだな」
宗真はストローをくわえながら、少し感心したように言った。
目的を達成することより、その過程そのものを楽しんでいる
——
さっきまで理解できなかった行動が、ようやく腑に落ちた気がした。
「この宗真の『女子の世界を体験して一言』シリーズ、久々に出たね!」
「たしかに!最近は女子慣れしすぎだったもんね〜」
「ちょ、コンテンツみたいに言うなって!
……
それでさ、さっきGU見てた時も、チュチュアンナ見てた時も、『いいね』『可愛いね』ってめっちゃ言ってたじゃん?でも、なんであんなに良いって言ってたのに、GUでは結局買わなかったんだ?」
「チュチュアンナでもっといいのが見つかるかもしれないし?」
「それは
……
そうだけど
……
」
ゆきの回答に納得しかけるも、まだ足りない気がする。
「てかさ、そんなの簡単じゃん?いっぱいお店覗いて、みんなであーだこーだ言うのが楽しいから!」
「そっか
……
そういうもん、なんだな」
宗真はカップを両手で包み込みながら、ゆっくりうなずいた。無駄に見えた遠回りも、三人で笑いながら過ごす時間としては、確かに悪くなかった。
「まあ、個人差はあると思うけどね。宗真は、楽しくなかった?」
「
……
ううん。こうやって買い物の途中にカフェ入るのとかも、普段あんましないからさ。新鮮で
……
これはこれで楽しいよ」
「
……
あ。じゃあ、吉田くんや江沼くんと買い物行く時は、そうじゃないってこと?」
「げっ、またその二人の話になるのかよ!?」
「別に恋バナじゃなくてもいいけどさ。男子の買い物事情も、ちょっと聞いてみたいなー?」
宗真は大げさにため息をつきつつも、どこか照れたように視線を逸らした。この空気も、悪くない
——
そう思ってしまった自分に、少しだけ戸惑いながら。
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