榎本奏江
2026-03-28 05:18:47
2561文字
Public ふたさに
 

【ふたさに】黙秘権

突然始まって突然終わります。
小説未満の小ネタです。

桔梗:憲法38条第1項 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
二筋樋:……黙秘ってことか。俺が知ってあんたが不利益になることあるのか?
桔梗:……幻滅、されたくない
二筋樋:刀の俺があんたに幻滅?物はどんな理由があっても持ち主から離れることはないよ
桔梗:そうだとしても、今のあなたには【刀剣男士】として心もある、思うことができる、言葉も話せる。この拳銃のように何も話さずに、側に居てくれるわけじゃない
二筋樋:あんた、そうい風にっ……
桔梗:ごめん、八つ当たり。今のは言葉が悪かったね。でも、あなたは自分が思ってるほど表情に出やすいタイプだから気をつけたほうが良いよ。目は口ほどに物を言う、からね
二筋樋:そうかよ
桔梗:ほら、それ。顔に出る
二筋樋:笑うな
桔梗:ごめん。でも、私は……あなたが思ってるほど清白な警察官ではないよ。……ねえ、どうしてあなたはそんなに私の過去を聞きたいの?聞いてどうするの?
二筋樋:あんたのこと知りたいんだ。警察官としてのあんたも、あんたが審神者としてここに来るまでのことも
桔梗:知っても良いことないよ?きっと、今、あたなが見ている私とはかけ離れた者だから
二筋樋:それをどう判断するかは俺だ。それでも、判断するにもまずは取調から始まる
だろ?証拠がなければ判断もできない。それとも、こいつら(桔梗の銃)に事情聴取するか?
桔梗:……っ!!それは絶対だめ!!聞かないで!お願いっ!
二筋樋:……っ?わ、悪い。聞かないからそう怒るな
桔梗:ごめんなさい……。この子たちには聞かないで。お願い……私が悪いだけで、この子たちは何も悪くない……だから……
二筋樋:……事情は知らないが本当に【ワケあり】なんだな。わかった。そこまで言うならこいつらには聞かない。その変わり、自分から言えるな?
桔梗:今は、言いたくない
二筋樋:そうか……。今は話さなくて良い。いつか聞かせてくれ。それでいい。あんたのことは幻滅しない、離れたりしない。相棒として嫌ったりはしない。だから、教えてくれ
桔梗:……ごめんなさい
二筋樋:……そんなに話したくないか
桔梗:ちがう、ごめんなさい。全部私が悪いの……私が、私が
二筋樋:……キョウ
桔梗:ごめんなさい、私が……私がっ…………っ!!はっ、あっ、ごめ……あっ……
二筋樋:顔色悪いぞ。本当に大丈夫か
桔梗:あっ、その、あっ……ごめんっ……
二筋樋:キョウっ!キョウ!!どこに行くんだ?キョウ!!
(踏み込みすぎた……か。安易に振れる話題じゃないのは確かだな。だけど今は――、)追いかけるしかないな。俺から逃げられると思うなよ

二筋樋:結界札使ってるな。あいつの霊力を感知できない

二筋樋:見つけた。あんた、こんなところにいたのか。ずいぶん探したぞ。本当に隠れることだけは一級品だな
桔梗:……っ!?あ、なんで
二筋樋:こらっ!また逃げんな。あんな顔されてほっとけるわけないだろう
桔梗:みんなには言わないで
二筋樋:言わない
桔梗:ちょっと出かけてるって話しといて
二筋樋:俺は、ここに居る
桔梗:一人にして
二筋樋:こんな状態で一人にできるわけ無いだろう
桔梗:今は、誰ともいたくない。お願い、一人にさせて。こんな姿……見せられない
二筋樋:あんたがこんな状態だから、こんな姿だから一緒にいるんだ。弱いところも、悪いところも知っての相棒だろう?
桔梗:私は見せたくない。情けないところも弱いところも
二筋樋:……悪かった
桔梗:………
二筋樋:あんたがこんなにも不安定になるほど触れちゃいけない話題だったんだな。
桔梗:……
二筋樋:だからこそ、あんたがどうしてこうなったのか教えて欲しい。全て受け止める。だから、俺に話してくれ
桔梗:……。言いたくないのと、言えないのと、怖い。本当は刀であるから、私が審神者だから、みんなに知ってほしい、本当はみんなに言わなきゃいけないことなのはわかってる。でも、今でも言えない。勘付いている人はいるけど、あえて知らないふりしてる刀(ヒト)もいる。私が話さないから。
二筋樋:どう、関係してるんだ?
桔梗:【過去に囚われてる人間】そう言えば、察しが付くでしょう?
二筋樋:あんた……それって
桔梗:【過去に未練がある審神者】は狙われる。変えたいと考えている可能性があるから。ごめん。一番未熟なのは私だ。私なんだ……
二筋樋:キョウ……。俺はどうしたらいい?今のあんたに俺は何ができることはあるか?
桔梗:今日のことは忘れてほしい。なかったことにしてほしい
二筋樋:……そうか
桔梗:明日からいつも通り【相棒】として接して欲しい。変わらずに、何事もなかったように、いつも通りに
二筋樋:ああ、約束する
桔梗:だから――、今だけはちょっと貸して。ごめん
二筋樋:……っ。謝るな。いくらでも貸す。だから、独りで泣くな。俺がいる。
(結局、聴けずじまいか。時間がかかりそうだな。だが、【過去】が絡んでいるなら網は張っといたほうがいいな)

全て知った後の二筋樋
二筋樋(そうか、あんたが言う【正義】で語るには、あんた自身がその【正義】に反した【悪】ということか。だから、あんたは自分自身を許すことができない悪……。たった一つの過ちが一生の後悔と傷になったのか。誰にも言えることのない罪。あまりにも深すぎる)





優しくしてほしくない。
同情なんていらない。
そんな顔してほしくて言ったわけじゃない。
縋りたいわけじゃない。
甘えたくない、甘えてはいけない。
だから、優しくしないで。
触れないで。
知らないふりして、忘れて。
なかったことにして。
触れられても何も変われないから。
ほっといて。




【中尾さん、だめ!やめて!!私を使わないで!!死なないで!!生きてよ!!ダメだよ!】
【私があなたの大切な人を殺めてしまった。助けるつもりだったのに。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……それでも、私をまだ使ってくれるんですね。誰かの未来を護るために
あの時、あいつら(桔梗の銃)に事情聴取をあんなに拒絶したのはあいつらも【当事者】だったということか。