榎本奏江
2026-03-28 05:03:22
3369文字
Public ふたさに
 

【ふたさに】あんたの正義

小説未満の小話。今後、漫画or小説になる予定のモノです。
Twitterに上がっていたものを最低限の加筆修正のみです。
突然始まって、途中ではしょったり、突然終わります。
※ちょこっと小豆も居ます。

桔梗:ねぇ、ヒサ。まだ顕現して4日しか経ってないけど、特別に現世に連れてってあげる
二筋樋:規約違反じゃないのか?
桔梗:あくまでここの目安としての期間だから、必要と感じたら例外だよ。今日は、ちょっと現世でイベントがあってブース参加することになったから、見学してほしいの
二筋樋:イベント?参加?
桔梗:当市内で各企業団体の防犯•防災イベントだよ。私も広報課の人と一緒にこどに向けた防犯に関する演習や展示を行うことになったんだ。せっかくだから、刀のお巡りさんとして、現世のお巡りさんのことも知ってもらおうかと思ったんだけど、どうかな?
二筋樋:そういう事情なら、断る理由はないな。もちろん、見学させてもらうよ
桔梗:良かった。そしたら、あずさんも一緒に行くからよろしくね
二筋樋:小豆も?
桔梗:あずさんね、数年前からひょんなことから広報課の特別職員になってて、講演会やイベント、子供向けの県警本部見学会のときは案内役として活動しているんだよ。子供達にもわかりやすく説明してくるだけじゃなくて老若男女対応がすごく丁寧だから広報課の人たちは助かってるみたい
小豆:ははは、てれてしまうな。でも、きょうもはりきってがんばるのだぞ!
桔梗:準備もあるから急ごうか

小豆:みなさんこんにちは!◯◯けんけいほんぶ、こどもあんぜんきょうしつがはじまるのだぞ!きょうは、わるいひととあってしまったときにどうしたらいいか、だれにたすけをよんだらいいかおしえるのだぞ。
子どもたち:はーい!
小豆:くいずにしておしえていくのだぞ。みんなはいくつこたえられるかな?
二筋樋(本当に慣れてるな)

桔梗:最近、自転車乗り始めたの?すごいねぇ。ヘルメットはちゃんとつけてるかな?
女の子:うん!おばあちゃんが買ってくれたの!
桔梗:それはとっても素敵だね!そしたら、このシールプレゼントしてあげちゃう。ピカピカ光るシールだよ。ヘルメットに貼って飾ってね。自分の身体も守れるシールだよ
女の子:ありがとう、お姉ちゃん!
桔梗:どういたしまして。他にもたくさんあるから楽しんでね

〜〜
アナウンス:只今より、機動隊•警察犬•生活安全部による官機訓練展示を行います。生活安全部では、職務質問した不審者が暴れ出し、逮捕までのデモンストレーションを行います。

桔梗:こんにちは。◯◯本部のものですけど、少しお話をして戴いてもよろしいですか?
〜〜
犯人役:俺は何もしてないって言ってるだろ!離せ!
男性警察官:そしたら一度、荷物検査だけでもさせていただいてもよろしいですか?
犯人役:何も持ってないんだからかんけーねーだろ!
〜〜
桔梗:刃物所持による銃刀法違反、並びに公務執行妨害により逮捕っ!

観客:男の人じゃなくて、女の人が犯人捕まえたー!
女性:私より身体小さいのに、軽々と犯人を押さえつけてたわね

桔梗:職務質問には犯罪を未然に防ぐこと、まちの平和を維持するために必要な業務です中には捜査を通して必要な情報を集めている場合もあります。自分に非がなく、悪いことをしてない事を堂々と説明してくだされば深く確認することもございませんので、協力的に対応していただければと思います。


女の子:おねーさん、ばいばーい
桔梗:またね。困ったことがあったらすぐにお姉さんに教えてね
女の子:うんっ!

二筋樋:……暇だなぁ
桔梗:暇がいいんだよ。平和な証拠だから。それに、今日は防犯•防災のイベント。「市民に対して“未然に防ぐ”ことの大切さを教える場所」なんだから
二筋樋:そうか……
桔梗:ねぇ、あなたにとって【正義】って何?
二筋樋:俺にとっての正義?
桔梗:悪人や罪人を裁き、排除すること?それとも、規範や規律を破った者、道を誤って踏み外した者を正すこと?
二筋樋:どれもそうだとは思うが?
桔梗:どれも合っているけれど、それが必ず【正しい】とは私は思わない
二筋樋:あんた、そういう事言うんだな
桔梗:確かに特殊犯罪やさつじん、すとーかー、さぎなどいろんな事例や事件を含めてそれを行った人は【悪】だと思う。それに対して罰し、正すことも間違いではない。でも、必ずしも排除する必要は私はないと思ってる
二筋樋:………
桔梗:元は同じ人間、人から産まれ、周りの人と同じ時間を生きてきた。違うのは産まれてきた環境、育ってきた環境、親や親戚、地域の人間や友人知人含めた人間的関わり。人は生きていてそうい関わりの中で真っ直ぐにもなるし、曲がってしまうときもある。その先で誤った選択は必ずしもある。誰もが100%間違いのない人生を送ることなんて殆どない。必ずどこかで間違えて、間違えた先でも生きている。間違えてしまったら、その後をどう生きるかが大切だと思う。そして、そうなる前に防ぐことが直すことよりも大切だと私は思うんだ。必ずしも戦うことが正義ではない。正義にも色んな形、想いがある。
二筋樋:なあ、そういうあんたの【正義】はなんだ?あんたは何を想ってこの世界に入ったんだ?
桔梗:私?私はただ1つ【護る】ことだよ。この人々の今を護り、未来に導く。少しでも「今を歩く人たち」が自由に生きられるように。
二筋樋:【護る】ね。何をどう護ってるんだ?
桔梗:私が護りたいのは誰かの未来に繋がる【今】。困ってる人を助ける、危険が及ぶ状態から護るのはもちろん、日常の些細なこと、大きな壁に立ちはだかったとき、何か誤った道に走りそうなとき、そうなる前に常日頃からつながりを持って支えていく。例えば、夢があっても家庭事情や金銭面で同じ俵にすら立てないような子たちが、夢を語る前に諦めてしまう前に後ろからでもいいから諦めないように具体策を提案して背中を押す、夢を追いかけるきっかけを後押しできるようにしたいの。そして、その先の未来でその子たちが自由にその道を歩けるように
二筋樋:それが、犯罪防止と何が関係あるんだ?
桔梗:犯罪の動悸や原因の大半が憤怒や逆恨みや報復などの激情や不満といったもの。他にもいろいろ要因はあるだろうけれど、それはいきなり出てくるものではない。日々の積み重ねからある日、何かがきっかけでその許容を超えてしまって行動に出る。事件を起こしてしまってからでは遅い。私はそうなってしまう前の段階で踏みとどまってほしい。解消できる何かがあるなら、そこで解決したい。あなたたちが刀としての存在していたときだって百姓一揆や反乱が少なからずあったと思う。でも、それはいきなり起こったことではなく、農民や平民の不満の爆発でしょう?




俺はあんたに【正義】とはなにかと問うた時、迷わず言った「護るため」だと。
真っ直ぐな瞳で、何の迷いもなく、息を吐くように、当たり前に言った。
あんたのその【想い】が【信念(正義)】があまりにも清く、潔く、眩しいくらいに感じた。
言葉通りに助けを求める人間に駆け寄り、寄り添い、支えるその姿は嘘偽りなく【本物】だった。
あんたの周りに集まる大体の人間はかつてあんたに救われた「市民」だった。皆が感謝し、信頼を寄せ、違った形であんたを見守り、背中を押していた。だが、あんたはそれに驕らず目の前の自分が必要なことをひたむきにするだけだった。地位も名誉も称賛も関係ない。あんたは救われた人間のその先の「未来」と「笑顔」が護りたいだけだった。
あんたは【お巡りさん】の鑑だよ。
俺はとんでもないところに配属され、とんでもないものを見せられ、示しつけられたようだ。



あなたは私のことを【警察官の鑑】だと言ってくれた。
私が行っていることは確かに警察官として最初に抱いた目標であり、【守りたい夢】であったし、それに関してただがむしゃらにできることだけをしてきた。純粋に【護りたい】の気持ちで働いてきた。10年前までは。
ねえ、この気持ちに【償い】があったとしたら、あなたは私のこと幻滅する?今はもう、純粋な気持ちで人を護ってない。
大切な人との【かつての約束】を守るために「使命を果たしている」といったら、あなたはどう思うかな?
誰かのための未来を護る、笑顔を護るその気持ちは今でも変わらない。だけど、それだけじゃもう動けないの。