ポほ
2026-03-27 23:34:36
876文字
Public 跡取り息子、やめました!?
 

二人のオレ

りやめ夏休み編8.5話。
というかどこに入れてもいいような内容。
セルフ二次創作みたいなノリの話です

 どういうわけか――本当にどういうわけか。宗真が、男の子の宗真と女の子の宗真に分裂してしまった。

……お前の身体って、もはや何でもありなのか?
性別変わったり巨大化したり、今度は分裂って……
「「知らねーよっ!!」」
「うわ、ステレオかよ。うるさ……
 声の重なり方までそっくりで、言い返すタイミングまで同時。さすがにヨツダも顔をしかめた。

「わ、宗真くんが二人……!? 夢みたいだねっ」
 純粋に目を輝かせる海成に、女の子の宗真がニヤリと笑う。
「ねえ海成。連れて帰るなら、どっちのオレがいい?」
「えっ!? そ、そんな……どっちの宗真くんも可愛くて、選べな――
「いや、“可愛い”で言ったら普通にこっちのオレだろ……
 即断即決。それを聞いた男の宗真も、うんうんと深く頷く。
「オレもそう思う。オレじゃなかったら、絶対こっちに恋してる」
「自己評価高ぇな……こいつら……
 ヨツダが淡々とこぼす。
「なに冷静にツッコんでんだよ。お前はどっち派なんだよ」
「あ? どっちも要らないけど?」
「「はあ???」」
 声が完全に重なり、空気がビリッと震えた。
「お前らみたいなのが家にいたら、うるさくてかなわねえよ。一人でもやかましいのに、二人とか悪夢すぎるし」
……だから今の距離感がちょうどいい。そう言おうとした、その瞬間。
「「ヨーツーダー……」」
 ずい、と同時に距離を詰めてくる二人。
「こんな可愛い宗真ちゃんを連れてかないとか、お前ほんとについてんのか?」
「海成は“可愛くて選べない”つってたぞ!?それなのになんでお前は、いつもこうなんだよっ!」
 ぎゃあぎゃあ、わあわあ。二方向から浴びせられる同一人物の文句。
「まーたステレオで……!だからこんなん家に置きたくないって言ってんだよ!!」
 その様子を一歩引いたところから見ていた海成は、そっと考える。
(二人の宗真くんに言い寄られて……やっぱり、押すより引いた方がいいのかな……
 状況はカオス。でも、それぞれの“宗真らしさ”だけは、分裂してもちゃんと健在だった。