三毛田
2026-03-27 22:23:59
1082文字
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9 【09/さよならって言える?】

9日目
きっと言えない

 じゃあね。そう口にして、手を振って。
 また明日だ。お前は笑う。
 さよなら、また明日。
 それならば簡単に口にすることが出来て。
 もしこれが今生の別れってやつだったら、素直にさよならって言えるだろうか?
「多分無理」
 俺はまだまだ丹恒と別れたくない。そんな気持ちを抱いてしまっているのだから、簡単に言えないだろう。
「ただいまー」
 ただいまと告げても、シンと冷たいフローリング。
 誰もいないか、引きこもりは部屋から出ていないかだろう。
 夕飯はどうするかとメッセージを入れると、すぐさま返事が。指定された冷凍食品を温めて、部屋の前へ置いておけばそっと扉が開いて。
「ちゃんと寝ろよー」
 扉越しに告げれば、コンコンとノックが数回。
 了承の意味なので、後は放っておく。
「いただきます」
 風呂に入ってさっぱりしてから、俺も適当に冷凍食品を温めて食べる。
「ご馳走様」
 一人の食事は味気ない。
 部屋に戻って課題を進めるけれど、寂しいしイマイチ気分が乗らないな。
「丹恒、今平気か?」
『手は空いているが、急にどうした』
「集中できないから、喋って」
『仕方ないな』
 通話アプリで連絡を入れ、少し話しながら課題を進める。
「ありがとう」
『俺も適度に進められた。こちらこそありがとう』
……明日も一緒に登校しよう」
『構わない。穹』
「ん?」
『おやすみ』
「うん、おやすみ」
 通話を切り上げ、机に倒れる。丹恒の、優しいお休みって声がまだ耳に残っていて。
 凄いドキドキした。
「丹恒、あんな優しい声出せるんだな……
 もし、彼と付き合うことが出来る人は幸せだな。
 だって、あんなにも優しく甘い声でおやすみって言ってもらえるんだもの。
「ずるいなぁ……
 誰かに取られるくらいなら、俺が彼と付き合ってもいいんじゃないか?
 呟いてから、そんな思考にいたり。
「明日、当たって砕けてみるかぁ」
 思い立ったら吉日! と、考えてみて。
 明日の時間割を確認して、教科書とノートを入れ替えて。歯磨きをして就寝。
「丹恒、おはよぉ……
「おはよう。ちゃんと起きたな」
 アラームを止めていたら、人の気配がして。ずるずるとベッドから落ちたら、俺の顔を覗き込む丹恒。
 銀狼が勝手に招き入れたな。でも、グッジョブ。
「招き入れてもらったから、朝食を軽く作った。銀狼にも渡してある」
「ありがとうございます」
「食べたら、学校だ」
「うん」
 着替えて、ダイニングで朝食を食べる。相変わらずこの家の住人は、食事の時間が合わない。
 まあいいか。