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ぽへ
2026-03-27 18:41:26
2398文字
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サイレン清掃会社 ネタバレ🈶現行未通過❌
マーリアのSS
彼が遊園地に仕組まれたシナリオの中でしきりに気にしていたものに洒掃讙の誕生日がある。
洒掃は秘密主義であるがために、20年以上コンビを組んでいた奴にもプロフィールを教えていなかった。見た目は何年経っても30代のままだし、1人では到底抱えきれない仕事量をこなしている。「人間じゃねえだろ」と鼻で笑った事もあったが、実際に人間では有り得ない年月を生きていたのだから苦虫を噛み潰したような顔になるのも仕方がないことなのだろう。
閑話休題。
マーリアにとって誕生日というものは特別なものだった。それは宗教にドハマリしていた両親が普通の人間に戻る日だったからである。ナポレオンケーキを作り、ろうそくを立て、チェブラーシカの誕生日の歌を歌う。自然な笑顔で笑ってしきりに頭を撫でてくれるのだ。
「マーリアは神の母、マリア様からいただいているのよ」
「今こそ違う神さまを信仰してはいるが、マリア様も聖愛の象徴だ」
「どうかやさしく育ってね」
そう口癖のように言って青いマントを被せてくれた、唯一と言っていいほど、幸せな日。
マーリアにとって、誕生日は隠すものではなく広く友人に言って回って祝われるべきものだ。それを自分にさえ「恥ずかしいから」と言わずにいるのが殊更気に入らなかった。
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兎にも角にも。本日は洒掃讙の誕生日である。ノリノリの錦織部は数日前にビラを作りそれを森本と藍が配って回っていた。そして前日には壬散が滅多に使わないためホコリが被っていた放送機器で全館放送をした。
「明日 休み する。そのかわり 洒掃讙 誕生日。たくさん 祝う よろしい。」
ピンポンパンポーン。お決まりの放送終了のチャイムが鳴ったあと、なにも知らされていない洒掃讙が飛んできたのは言うまでもない。
仕事の一端を任せたのだ。そのくらいの権限はマーリアにもあった。
ロシアでは本人が周囲の人間を家に招いて手料理や酒を祝うのが普通だが、ここは日本。周りが準備して周りが祝うらしいので倣うとしよう。我が母国の水であるウォッカを用意し、ピロークを作る。
珍しくキッチンに立つマーリアを見た錦鯉
…
もとい錦織部は、
「アンタ料理出来んの!?」
と心底驚いていた。
「料理はお前の専売特許じゃねぇぞ。メイドがいないと食べることもできない坊っちゃまだと思われていた方が心外だな」
「でもアンタ、アタイが作らないとマックにビッグバーガー買いに行くじゃない」
「そりゃ作るの面倒だからだ」
「ああそうね
…
アンタ極度の面倒くさがりだったわ
…
」
頭に手を当てて「コリャダメだ」という顔をする錦織部を横目に日本の誕生日の歌を鼻で歌いながらパイ生地を敷いた。
日本の伝統的な歌なのに「Happy birthday to you」とモロ英語なのはなんなんだ、とかくだらないことを思いつつ。
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組織総挙げで行う「洒掃讙お誕生日おめでとう会」は無事閉幕を迎えた。とは言いつつ、酒が好きな輩はまだ残って飲んでいたり酔いつぶれてソファーや床に転がっていたりするのだが、昼間からのどんちゃん騒ぎはなりを潜めたと言える。あの事件以降一層洒掃讙に近しくなった新生マヌス班は当たり前のようにまだ残り、酒やシュウの作ったお菓子をつまんでいた。
「やあ、思ったより大きい誕生会になりましたねえ」
「会社の至る所にビラ貼ってたお前が言うのか?嫌でも目につくぜあれは」
「その言い方はなに、マーリア?アタイが作ったあれが気に入らなかったの?」
「ア〜つっかかんなって」
「けんか だめ。父のための会」
「まあまあ。マーリアのおかげで休日になったんだし、自由にさせてあげてよ、壬散」
「父がそういうなら けんか してもよろしい」
「リーダーはそういう意味で言ったんじゃねぇと思うぞ
…
」
酒が飲める3人と、飲めない
…
もしくは飲まないよう配慮されている壬散と藍とマーリアで綺麗にジュースの席と酒の席で分けられていた。
「で、リーダー、どうだった?私たちが計画した誕生会は!」
「うん、そう
…
だね。今までこの歳になって
…
って思ってたけどこういうのも悪くはないかな」
「そうですよ、祝ってもらえるって実は難しいことなんですから」
「深いこと言うな
…
お前
…
」
藍が眉を寄せてシュウに目を向ける。そういえば藍にはまだ全員の生い立ちを話せていないんだったか、とマーリアは手元にあった飲み物を煽る。
「マ、俺なら何千歳になろうと周りに喧伝して盛大に祝うね。しかもこんな会社作ってんだ。利用しない手はねぇ」
「マーリア?」
「え、作ったのはジョン
…
なんとかだろ?」
窘めるような洒掃の声は届かなかったようで、藍の疑問に答えるようにグラスをドンと置いて続ける。
「なぁに言ってんだ、こいつがその創設者のジジィだよ。ホントなにがこの歳になって〜だ。ジジィはジジィらしくほけほけ祝われてればいいん
…
」
椅子に座っていた大男が背中から床に落ちよう
…
としたところで、森本が腕を掴んで頭を強く打つのを回避させ、再度床にぼとりと寝かせた。それを見た洒掃があ〜あ、と零す。
「様子がおかしいと思ったら、これお酒だね」
そう言ってマーリアが口をつけたグラスをひとくち飲む。
「え、キャンディってロシア人ですよね?」
「アンタ知らなかったの?こいつは下戸も下戸よ」
その疑問に答えた錦織部は面白そうに真っ赤になったマーリアの顔を覗き込む。
「マ、アタイも初めて見たけどね。とにかく、部屋まで運んであげなさい!お開きよお開き!」
そうパンパン、と手を打った錦織部を皮切りに、皆一様に面倒くさそうに片付けを始めた。
最後に爆弾を落としていった寝ている男と、嫌な予感がしている男は後日問い詰められることだろう。
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