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望月 鏡翠
2026-03-27 15:52:03
893文字
Public
日課
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#2040 THE MEME! その10
#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!
目の前にそれは現れた。
自分の複製体が現れたとして、イライジャは相手を平気で射殺することができる。それを見てしまった市民の心情を鑑みて、一応穏便に捕縛することは検討する。それに細かな違いというのが何であるのかも興味がある。
しかし逃すリスクを犯すなら、射殺する方を選ぶ。
「思考が俺と同じっていうなら、別に悪いことはしないと思うんだけどな」
そんな世間話を振りながら、横を向く。
ラダの姿はそこになかった。
お互いの姿を見失ったらまずいって話をしていたんじゃないのかと、若干の苛立ちと共に振り向く。
ラダは惚けた顔である一点を見つめていた。
視線の先を追う。
鏡に写したような同じ顔をした女が、そこに立っていた。ただ服装だけが違う。
休日のテーマパークを楽しむように軽やかな足取りも、ラダとは違っているだろうか。
「おい、ラダ」
「ラダ」
二人の言葉が重なった。ラダのMeme_@だ。間違いない。自分の知った顔が目の前にいると、さすがに動揺する。
攻撃的な個体は本体を殺そうとしてくるらしいが、今のところその気配はない。
「確保するぞ」
前に出たイライジャの腕を、ラダが掴む。
「彼女を、傷つけないでください」
「あ?」
「お願いします。俺の内面の写しているなら、さほど攻撃的ではないはずです。あの中身が俺の知る彼女なら、それこそ他人を攻撃はしません」
その反応は誤算だった。
イライジャは、ラダと自分と同じくらいの冷えた温度で周囲を見ている人間だと思っていた。だから自分と同じ姿のものをみても動揺することはないだろうと、冷静に職務をまっとうしてくれるだろうと、そう信じていた。
だが、イライジャが彼女を信じてもいいと思ったのは、思ったよりも人間味を感じたからで、その人間味というのは主に家族への情だ。
彼女が、ダーリンとしてこの世に復活したラダに興味を持っていたとしても、他人の目で自分の妻をみたときに、その事実に冷静に向き合うことができるのかどうかは別だ。
彼女は、自分の妻を傷つけることができない。
状況は思ったよりも厄介そうだった。
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