望月 鏡翠
2026-03-27 14:58:41
1013文字
Public 日課
 

#2039 THE MEME! その9

#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!


 感傷に浸る余裕もなく、無線が騒がしくなった。
 定時連絡の温度感ではないことは、すぐにわかった。
「ラダ、悪いが街の見学は終了だ」
 園内の複数箇所から、異常の連絡が届いている。
 二人は、一番近い場所に向かうことになった。
 現場に言っても、特に何もないように見えた。園内を楽しむ人間がいるくらいだ。不審者も攻撃性を発露しているダーリンも、見たところ存在しない。
「平和に見えます。誤報でしょうか」
「精神操作系の異能の可能性もある。現時点で評価はできない」
「わかりました。警戒を続けます」
 無線から聞こえてきた報告は要領を得ず、しばらく混乱をしていたが一時間ほどして、ようやく状況が掴めてきた。
 同じ人間が二人存在している。人格と外見のコピーが発生している。それが混乱の正体だ。
 片方しかその場にいなければ、確かに何の異常も存在しないように見える。
 そして、程なくして事件発生の原因と思われるダーリンから、犯行声明らしき動画が配信された。人間を対象にした悪趣味な間違い探し。
 異常が発生しているのは現在テーマパーク内だけだが、混乱は発生している。何より、人格のコピーをした存在がいるというのが問題だった。
 ダーリンは、けして人間に友好的なものだけではない。ファタールという首輪が外れた存在が、市民のすぐ隣に存在している。
 これは看過できない問題だ。
 かくしてAg:47は、管轄外ダーリンi.am?と彼が作り出した複製体Meme_@の確保のために動き出すことになった。
 回ってきた情報によると、本体は姿形を変える能力があるらしく発見は困難だ。だからこそ本人が別にいる複製体を一人一人確認していくことで、本体にたどり着くことができる。
「異能はコピーできないらしい」
「なるほど。では、俺はすぐに見分けることができますね」
 ラダが頷く。
「お前が俺を見分けることはできるのか?」
……難しいと思います」
 まあ、そんなものだろうな。細かい違いは存在しているというが、細かい違いを記憶してもらえるほど、交流を交わした覚えはない。彼女についても同様だ。異能以外の際は、おそらく見分けられない。
「お互いに疑い合うのも面倒だ。そばを離れないように行こう」
「了解」
 園外にMeme_@は発生しない。彼女は、園内に入ったときからそばにいる。ということは少なくとも彼女は、本物と信頼することができた。