望月 鏡翠
2026-03-27 13:46:07
977文字
Public 日課
 

#2037 THE MEME! その7

#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!


 バディ相手ににずっと警戒しているのも気づまりだ。
 そろそろいいか、とイライジャは判断した。
「ラダ、今後人を助けるための異能は、許可なく使用していい」
 ラダはその言葉を聞いて、首を傾げた。
 確かに、文脈としてはおかしかったかもしれない。だが、間違いではないのだ。今の会話で、人間味のようなものが見えた。そう悪いやつでもないかもしれないと思った。
 それが演技で騙している可能性ももちろんあるが、こちらはファタールでありダーリンを殺すことができる唯一の武器を持っている。
「人助けの定義のすり合わせをする必要があるのでは?」
 確かに、ここで緩んだ隙を見てラダが反旗を翻し、あなたが許可を出したんですよなどと言いながら、ルールに反しない程度に残酷なことをする。
 ありそうな展開だ。だがそういうドラマはもう見飽きている。
 いいさ、騙したいなら騙せば。対応できる。こちらもそれなりに狡猾な大人だ。
「今はいい。今後やっていく。ひとまず、大事なファタールを失わないように、法律に違反しないことを基準としてやってくれ。あるいはロボット三原則でもいいぞ」
 冗談のつもりだったのだが、ラダは興味を示したらしかった。
 確かに人権が認められていない自立移動する彼らは、ロボットが近いのかもしれない。ダーリンにロボット三原則を刻み込むことができるようになったのなら、ノーベル平和賞だって取得できるだろう。
「ああ、いいですね。これはわかりやすいです。法律よりも」
「まあ法律よりはわかりやすいが、それだけ守っていても、法律から足がはみ出すからな」
「気をつけます」
「基本的には常識の範囲で動いてくれて構わないんだが……
 と隣に立つ女の顔を見る。
「俺の常識のラインに不安があると言うことですね。知識はあっても文化的背景が異なるので、感覚が異なっていることは認めます」
「そうだ。ということで、文化的背景のすり合わせを提案する」
 園内の方に向かって歩き出す。
「巡回ですか?」
「俺は巡回する。お前は周りの人間がどうやって生活しているのか、観察して勉強しろ」
「なるほど、合理的です」
 園内にはいくつかのエリアがある。アトラクションには流石に乗せてやらないが、ショッピングエリアを見たらこの時代の人間の生活が多少は身に染みてわかることだろう。