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望月 鏡翠
2026-03-27 10:53:03
976文字
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日課
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#2036 THE MEME! その6
#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデヴー!
ラダがこの会話を続けたことが、イライジャには意外に思えた。無感情に思えるが、妻の話をするのは嫌いではないのかもしれない。
「でも、そうですね。あなたたちが、その優れた科学の力を持って解き明かしてくれることを期待していました」
「そりゃ、期待はずれで悪かった」
悪いが、人手不足の上に全て人力だ。
「仕方がありません。川は流れるべきところにしか流れない」
彼の故郷のことわざだろうか。
知らない言葉だが、なんとなく意味は読み取れた。
「名前を知らないのに、なんと呼んでいたんだ」
「ラダ」
「それで自分の名前にしたのか」
「ええ。というより、この外見をした人はこう呼ばれるのが相応しいので」
「美人だな」
ラダが頬を綻ばせた。愛想笑いではなく、心の底からの自然な笑顔だった。
「同意します。彼女はとても美しい人でした」
心臓に悪い。美人だと思っている女に微笑まれるのは、かなり不都合だ。相手に人権がないので、好きに扱っていいんだぞという悪い考えが一瞬頭に掠めたくらいだ。
「ふーん。美人に弱いのか」
「彼女の外見を愛したのではありません。生きることへの真摯さを愛し、尊敬したのです。そうしたら、外見的な美しさに気づきました。比類ない女性です」
澱みなく、すらすらと出てくる言葉にイライジャはたじろいだ。
こんなに流暢になったラダを見たのは初めてだ。
「言ってて恥ずかしくならないか?」
「特には」
微笑みは消えている。
その顔はいつもの、表情がわかりにくい人間のそれだ。
「お前のことが少し理解できた」
確か彼の出身の民族は、感情を表に出さないのだったか。代わりに歌い、詩を読むのだったか。映画で描かれていた姿だから、実情にそぐうものなのかは知らないが、少なくとも今のラダの姿はイメージにそぐうものだ。
何を考えているのかよくわからないと思っていたが、実は熱い男なのかもしれない。
「幸いです。バディとして上手くやっていけそうか」
「それはどうだろう。理解した上で気が合わないこともある」
「確かにそうです。理解できないことを知った上で、気が合うこともあります」
全くもってその通りだ。
まさに、ラダとの関係がそれだ。こいつのことは知らない。共感もできない。ただ少なくとも、会話は弾んでいる。
悪くない関係だと思う。
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