山茶花
2026-03-26 14:37:43
5743文字
Public [シルデュ]サイト限定(不健全)
 

チェリーピック【216SK045】

摘ままれる話/年齢操作・将来捏造/5300字程度

*年齢操作(デュース4年生19歳・シルバー卒業後20歳くらい、たぶん)・将来捏造です。警察学校とかあるんかな、あの世界? たぶんあるだろ、くらいの感覚で。
*毎回のごとく、やりたい放題です! なんでも許せる人向け。
*シルデュ付き合ってる恋人設定

以上すべて大丈夫な方はスクロール↓






 僕には、ひとりの恋人がいる。それは、ひとつ年上の、少し前まで、同じ学校の先輩だった人だ。
 名前は、シルバー先輩……、シルバー・ヴァンルージュ先輩って言う。
 シルバー先輩は、少し前、学園を卒業して、で、茨の谷でドラコニア先輩の騎士として、近衛兵になるため、自分の国に帰っていった。でも、僕は淋しくなかった。
 何故なら、遠い茨の谷に帰ってしまったシルバー先輩とは、ときどき、夢で会えたからだ。
 僕もナイトレイブンカレッジの4年目、19歳になって、学外研修として、薔薇の王国で警察学校に通ったりしていたけれど、まあ、それは、詳しくは今は良いだろう。
 ともかく、遠く離れた国にいても、大好きなシルバー先輩とは、夢の中で会える。それが分かっていればいいんだ。
 そろそろ僕も、警察学校とナイトレイブンカレッジを卒業する。それで、シルバー先輩が祝いがてらに薔薇の王国まで会いに来てくれるっていうから、今はその迎えに、港街まで向かっているところだ。
 でも、その。……僕は少しだけ、ドキドキしていた。現実では一年ぶりに会う恋人が、どうなっているか、分からなくて。

 ――シルバー先輩が学園を卒業してから、最初の頃に見た夢のことだ。
 初めて夢の中で会いに来てくれたときは、びっくりしたな! でも、嬉しかった。
「会いたかった、嬉しい。デュース、一緒に星を見よう。夢のひとときとはいえど、共に過ごせることが嬉しい」
 って、少し照れくさそうにはにかみながら言ってくれて。
 僕も、久々に会えたのが嬉しくって、いいですよ、って言って、ふたりで星を見ながら、お互いのいろんな近況を喋ったりした。
 その夢は、それだけ。一緒に星を見ながら、お喋りするだけで終わって。それだけでも、僕は満ち足りてた。嬉しかった。
 
 で、2回目。
 それから少し経ったとき、シルバー先輩がまた、僕の夢の中へ会いに来てくれて。
……少しだけ、触れたいな。いいか?」
 って、僕の手を取り、繋いだ。そのまま夢の中でいろんな場所を歩き回って、デートみたいなことして、楽しかった。
 現実だと、手を繋いだまま街中や人前を……なんて、照れくさいけど。
 夢の中だって分かってたら、少しは勇気出せるもんだよな!
 で、シルバー先輩と手を繋いだまま、夢の中の街中や学校を、一緒にたくさん歩き回って。
「また会えたら嬉しい」って、ぽんと頭を撫でて、シルバー先輩は帰っていった。
 そして、そういう、手を繋ぐようなことを繰り返していくうちに、いつしかシルバー先輩は、夢の中で僕と手を繋ぐとき、学園の制服から、グローブを外すようになった。僕は、あ、直接繋ぎたいんだって思って、それにもちょっとドキドキしたけど、口にまでは出さなかった。きっと手のひらは熱くなってくれてるんだろうなって僕が想像したせいか、いつも繋いだ手のひらは熱かった。

 そう、初めの頃は良かった。そんな感じで、学園にいて一緒に過ごしていた頃の延長みたいな感じで、嬉しいけどちょっと恥ずかしくて照れくさい、そんなゆっくりして穏やかな、落ち着く時間を過ごせていた。
 でも、なんだか、だんだんと。だんだんと、そう。少しずつ、変わっていったんだ。

 シルバー先輩が、卒業してから1か月くらいが経った頃。
 夢の中のシルバー先輩は、少し恥ずかしそうに、僕に言った。
……その。くちづけても、いい、だろうか?」
 僕はそれに、うなずいた。僕も少し、淋しくなり始めていたから。
 でも、その感触は、柔らかくて優しいこと以外、よく分からなかった。
 僕のイマジネーションが足りなかったんだろうな。学園にいた頃も、たまにっていうか、稀に、キスくらいはしたことあったけど、まだ、数回のことだったから。

 それで、今度はシルバー先輩が卒業していってから、3か月くらいが経った頃。
「デュース」
「なんですか?」
 学園生活の夢の中、時々シルバー先輩と出会う、そんな逢瀬にも慣れ始めた頃。
 どこかの教室の中、風がふわりと吹いてカーテンがたなびく中で、シルバー先輩は、机越しに身を乗りだして、ちゅ、と僕にキスをした。
……すまない。触れたくなってしまった」
 って、嬉しそうにほほ笑むシルバー先輩の顔に、僕は少し赤くなって。
「い、いえ……
 って、何も言えなくなってると、シルバー先輩は穏やかで優しい笑みで、僕を見つめていた。
 シルバー先輩はこの頃から、夢の中で僕へキスをすることに、あまり許可を取らなくなった。
「嫌なら言ってくれ」と言いながら、何度もキスを繰り返した。

 シルバー先輩の卒業から、半年くらいが過ぎた頃。
 僕らの間では、すっかりもう、夢の中でのキスが通例になっていた。
「んっ」
「ふっ、可愛い。デュース。……好きだ、お前に会いたい」
 僕の身体をぎゅっと抱きしめながら、シルバー先輩はそんなことをいつもぼやいていた。
「じゃあ、えっと。僕が卒業する頃に、一度会いませんか?」
 そう提案すると、シルバー先輩は、いい案だ、とふっと笑った。
「分かった。半年後に薔薇の王国へ行けるよう、休暇の予定を組んでおく。詳しい日程が決まり次第、手紙でもなんでもかまわない。早めに教えてくれると、助かる」
 そう言って僕の頬を撫で、次に会ったとき、お前はどんな風になっているんだろうな、とシルバー先輩は目を細めていた。
「へへ。次会うのが楽しみですね!」
「ああ。お前の成長を、楽しみにしている」
 なんて。あったかくて優しくて、嬉しい時間を過ごしていた。

 そこまではいい。それから、だ。それからちょっとずつ、シルバー先輩の様子が、ヘンになっていった。
 シルバー先輩の卒業から、半年と、2か月くらいが過ぎた頃。
 僕らはもう、夢の中とはいえ、会えば何度もキスを繰り返す仲だった。
 そんなある日に。シルバー先輩は、言った。
「デュース……。お前に、もっと、触れたい」
 そうして、シルバー先輩は、親指で僕の唇をなぞり、それで僕の口を開けさせ、くちづけた。
 いつもより、深く。まだ僕の知らなくて、想像もできないようなキスを、僕に与えた。
 それでも、たぶん。シルバー先輩からそんな風にされたら、こんな風に僕はなっちまうんじゃないのかって想像だけは働いたらしいイマジネーションが、僕の頬を赤く染めて、目を潤ませ、頭を混乱させた。
……可愛い、デュース。嬉しいか、気持ちいいか? もっと、触れたい。お前に……
 ちゅ、ちゅと、シルバー先輩はそれからも、浅いキスと深いキスを繰り返して。
「逃がしたく、ないな。お前を、この腕から……
 僕はこんなのだめだ、こんなえっちな夢を見たらダメなのにって思いながら、それでもあの頃と変わらず優しいハグに捕まったまま、逃げ出すことはできなかった。

 それで、シルバー先輩の卒業から、10か月くらいが過ぎた頃。つまり、今からは2か月くらい前だ。
 シルバー先輩は、僕にまた、深くてわけのわかんないキスを与えながら、とうとう僕の身体に手を伸ばした。
「せ、せんぱい……?」
 夢の中でそこまでするのか、なんて思いながら、僕が戸惑っていると、シルバー先輩はこめかみに優しくキスをして、言った。
「大丈夫。……何もしないさ。ただ、少しくすぐるだけだ」
 そうして僕は、やたらとこそばゆく身体をくすぐりながらキスを繰り返され。恥ずかしさとくすぐったさで、僕はまたいっぱいいっぱいにさせられた。
 この頃になると、もう何度もそういう、わけわかんなくて、すごいドキドキする夢が繰り返されて。
 ……見た目はあの頃、学園にいたままの、僕と一緒に手を繋いだりしてくれてたシルバー先輩のままなのに。
 中身だけがどんどん、大人になっていっていて。このまんまだとどうなるんだって、僕はずっと、ドキドキさせられ続けていた。

 それで、シルバー先輩の卒業から11か月。つまり、今から1か月くらい前。
 僕の研修にも終わりが見えてきて、自由な時間が多くなり。これからの一人暮らしに向けて、新しく部屋を借りて、引っ越し作業や手続きをしたり、その部屋にも何回か試しに寝泊まりしてみたり。あとは車の免許を改めたりとか、とにかく警察としての新生活に向けて、いろいろし始めた頃だ。
 僕はまた、夢の中にシルバー先輩の気配を感じて。
 あ、またあのドキドキすることをされるのかな、って思ったりした、んだけど。……そろそろまた何か、変わる頃かもなって、少しだけ怖いような、でも楽しみなような期待も、していたんだけど。
 でも、この頃になると。シルバー先輩は、僕に優しく触れるキスだけをするようになって。
 それで。
 「もうすぐ、現実でも会えるな。……次に会えるときまで、今回はお預けにしておこうか?」
 って。そっと指先で唇を撫でるだけに留めて、また優しく笑った。
 笑顔だけはあの頃のままなのに、振る舞いが、なんていうか。僕の知らないシルバー先輩になっていっていた。
 夢で会う度、シルバー先輩が知らない人になってくって、僕は、少しだけ、感じ始めていた。

 そして、昨夜。僕がシルバー先輩へ会いに行く、直前。
 シルバー先輩は、また、夢の中で、僕に深いキスをした。それで、言うんだ。
「まだ現実ではしたことないから、よく分からないだろ? ……明日、また会えたときは、何もかも教えてやるからな」
 って。
 
 それで、シルバー先輩の卒業から、12か月が経った今日。
 僕のナイトレイブンカレッジ卒業祝いを兼ねて薔薇の王国へ訪ねて来てくれるというシルバー先輩を迎えに行こうと、港へ足を運んでいた。……今度会うシルバー先輩はどうなっているんだろうって、落ち着かない気持ちを必死で抑えながら。
 だって、夢の中では、あんなだったから。
 ……えっと。船がつく時間は夕方だから、その時間に間に合うようにって迎えに行って。今はちょうど、夕焼け空だ。
 車を降り、懐中時計を見て、手紙で教えてもらった時間からして、シルバー先輩はもう着いてる頃だろうなと港を探して歩く。
 すると、堤防から海を眺めている銀髪の青年が、僕や街の景色に背を向け、そこに立っているのを見つけた。
「シルバー先輩、ですか?」
 僕は、少し戸惑いながら声をかけた。だって、その銀髪は僕のよく知るあの色だったけど。
 あの頃よりも少し髪が伸びて、それを後ろでくくっていたから。
「デュース、か?」
 僕の名前を呼びながら振り向いたその人、その姿、その声に、僕は思わず、見惚れた。
 夢の中のシルバー先輩は、学園にいた頃のままだった。でも、現実の、今目の前にいる人は、それよりもずっと、大人びて。
 凛々しく精悍な顔立ちに、なっていたからだ。僕の名前を呼ぶ声も、夢の中よりも、少しだけ低くなっている。
 振り返ったシルバー先輩は余裕そうな笑みを浮かべて、僕に向けてふっと笑う。
「随分、美人に成長したな?」
 えっ、って僕が思って。そんなキザなこと言う人だったっけ、って思ってたら。
 あっという間に、指を絡められて。抱き寄せられて、ほっぺにキスされて。僕の手の甲を口元に持っていって、キスをしながら。
「会いたかったぞ? 俺の可愛い、恋人さん」
 って。知ってるはずなのに知らない人が、オレンジと藍色のふたつの空が混じる夕焼けの下で、僕の目の前に立って、僕のことを「恋人さん」ってからかって、そこに立っていた。
「ほあっ」
 僕の知らないシルバー先輩の態度に、僕の口からは、そんな変な声が漏れて。
「ふっ、お前は本当に変わらないな。素直で、照れ屋で、……頑張り屋で、可愛らしい」
 でも、とても綺麗になった。と、抱きしめたまま頭を優しく撫でて、次から次に褒めてくれて。
 嬉しそうに僕の髪を撫でながら、久々に僕を包むコーヒーと石鹸の香りに、あ、やっぱりこの人シルバー先輩だ、って、僕はそれが嬉しくて、でも、ドキドキして、ドギマギして、ワケがわからなくなって。
 ……でも、ただ。少しだけ、淋しくなって。黙っていると、シルバー先輩が優しくささやいた。
「ん、どうした? ……何かあったか?」
 俺はもしや、もうお前好みじゃなくなってしまったか? なんて冗談めかして茶化しながら、シルバー先輩は僕をそっと優しく抱きしめたままでいる。その暖かさと優しい手つきと、少しだけ強い力は、抱きしめ方のクセは、あの頃のまま、変わってなくて。
 だから、僕はそれにようやくほっとして、ああ、この人、ちゃんと僕の知ってる、同じ人だな、って安心して。それで、やっと文句が言えた。
「好みじゃなくは、ない、です。夢の中でのことも、確かに、ドキドキしたし、嬉しかったです、けど……。でも、その。ちょっと、ちょっとだけ、淋しいです。……僕の知らないとこで、ひとりで勝手に大人になってかないでくださいっ」
 そう言って片頬を膨らまかすと、シルバー先輩は、そうか、すまないと笑って、僕の頭を優しく撫でた。
「それじゃ、今日は一緒に大人になろうか? ……行こう、デュース」
 案内してくれるんだろ? 今のお前の暮らしの中に、とシルバー先輩は言う。
 僕は、その笑顔に。あ、これもう逃げられないな。僕、このあときっと捕まるし、食べられるな、って予感がしたけど。
 この後の僕の運命を、悟ってしまったけど。
 ……でも、まあ、いっか。知らない場所で勝手に大人になってかれるよりは、僕と一緒に、そのステップを踏んでほしいしな、と思いながら。今はただ、大人になってくシルバー先輩の手を、ぎゅっと握り返すのだった。

*おしまい