はなおぼろ
2026-03-26 00:01:25
2357文字
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縁巌覆面作家企画6:Hグループ感想

作品の雰囲気に引っ張られてテンションが上下左右しております。予めご了承ください。

H-1:とある影の一生

 所謂忌み子逆転ifですね。母君が出産時に亡くなっているのもあり、忌み子サイドへの当たりが一層強い感じがします。そんな状況下で弟を庇って張り倒される巌勝の兄心よ……。弟との差が痣と待遇だけは無かったと知り、その心が蝕まれていく姿が辛いです。唯一の良心だった侍女が心労から病み、最終的に亡くなってしまって更に辛い……
 巌勝が解放される手段が死であることが苦しい。最期の最後に縁壱が寄り添ってくれて、かつての兄心を取り戻して旅立てたのは不幸中の幸いだったのかな。もっと早くその言葉を口にできていたら結末は変わったのだろうかと考えてしまいます。悲しい。



H-2:その影を見ない

 巌勝は鬼を狩るための力を有していない縁壱に対し、もうそんな力は不要だと頭では解っていても、ずっと追いかけていた背中であったから、喪われて寂しかったんだろうな。弟のことは間違いなく大切で、でも折り合いをつけて寂しさと決別するのに時間が掛ったのだろうな。童磨の教祖力(?)が転生によりナーフされたお陰で、縁壱が剣の道に進むこともなさそうですし、今世での想いに満たされながら末永く二人で過ごしてほしいです。
 なお突き技は中学生以下の試合では使用が禁じられている技です。巌勝が言った通り危険行為なので、幼い子供に突きを教えようとした指南役は真面目に反省してください。



H-3:大概な兄弟

 ロミジュリのセリフをなぞりつつも、結局「弟として可愛がられることに俺の心が最高に浮き立つのだ……!」に落ち着くところに笑顔を貰いました。まだ付き合ってないはずなのに巌勝の寝言に「浮気ですか!?」ってなる縁壱に酔っ払いを感じて更に笑顔になりました。微妙にすれ違っている瞬間はありましたが、なんだかんだ流されて絆されている巌勝と、()書きのツッコミのテンポが良くて、穏やかな気持ちで読める作品でした。
 二十歳になるまではファミレスで、二十歳になってからは居酒屋でってのが、縁壱の炭吉との関係が年月経て続いていて且つ良好であることがうかがえて、個人的好きポイントです。



H-4:おもい、重なりて、遠き夏

 幼少期の縁壱が隠れていた籠の上の重石は、継国家にいた人々の縁壱に対する悪感情によるもの。では消滅したことで鬼では無くなった巌勝の上にあった大きな重石は何だったのだろうと考えると、才ある縁壱に対する嫉妬や、同じ双子であるのに同じ様に成れない自身への苦しみといった、巌勝自身が抱く悪感情の表れなのかな、と。
 重石が無くなり、蓋が取り払われたことで幼い頃の素直な気持ちを取り戻した巌勝が、縁壱と同じ気持ちで手を繋ぐ。笛の音は二人を繋ぐ道標だったのでしょう。きっとこの手が離れることは二度とないだろうと思わせてくれる素敵なラストでした。



H-5:衝撃登場!!半田天狗子ちゃん!!

 タイトルと冒頭の注意書きでもう既に笑っています。天狗子、実名なんだ……(恐らく読者はこの話を聞いた兄弟と似た表情をしている)
 糸目禿頭少女、今世も善良過ぎる。お奉行様、今世では高校教師なんですね。「ならばその足を切り落とせ!!!」の勢いあり過ぎる発言に思わず吹き出してしまいました。天狗子ちゃんの恋は、一種のつり橋効果なんですかね?
 今後の二人(とそれを見守る剃髪少女)はどうなるんだろうなぁ~。と思いながら読了しようとしたら、壺田ぎょっ子の名前が出てきて再度吹き出しました。それ実名なんですか……



H-6:RUGADA

 物語序盤は「海外旅行ってこんな感じなのかな~」と、思いながら読ませていただきました。出てくる小物などに異国情緒を感じられてとても良いですね。巌勝の旅の理由、患った病気について、動画活動についてなど、作家様の丁寧さがうかがえます。
 巌勝の片目が最終的に見えなくなったのは、前世で見えないものを見ようとし過ぎた代償だったりするのかな。例え多くが見えなくとも、求めた片割れがすぐ傍に見える距離で、縁壱と一緒にこれからを過ごしてほしいです。
(終盤のディオさんに吃驚しました。突然のJOJO! 舞台がエジプトだった理由って、そういうことなんですか!?)



H-7:はらぺこあねうえ

 昔話風だ! 女体化だ!! 姉上だ!!!
「それに、これからもっと熱くなりますもの」で、キャ~~となり、その後の「まっっっっっずい!」で大いに笑わせていただきました。まぁ明らかにカロリーのない生活をしているわ山の生活で筋繊維盛々で筋多くて歯ごたえ良い通り越して固そうだわで、美食家姉上が叫ぶのも致し方ない。最終的にラブラブ夫婦になって良かった良かった、めでたしめでたし!
(「ああもう分かるだろうが!察しろ!」のところで、食べられないのならセッッッってこと?! とか思った察しの悪い読者で本当にごめんなさい姉上)



H-8:ESCAPE

 前世の記憶がある者とない者、若さゆえの感情の起伏であったり、置かれた状況下による想いのすれ違いだったり、本当に色んなものが詰まっていました。鳥居の下りが終盤で回収されたり、お話の構成も凄い。これぞ覆面6オーラスの作品です。
 縁壱に対して当たりが強くなる炭吉の存在に救われました。すやこさんが沢山出てきたのも嬉しかったです。戦国転生組で縁壱と炭吉に記憶が無いのは、前世で時空を超えた代償だったりするのかな……タイムパラドックスを起こさないため的な。
 読後のこの想いを上手く言語化できないのが辛い。胸がギュッとなる素晴らしい作品でした。沢山泣きました。





 作家の皆様、素敵な縁巌作品を生み出して下さり、本当にありがとうございました!