あかまる
2026-03-25 23:19:55
1790文字
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マヒ主学パロ掌編3本再掲(制服と軌道のあいだ2)


■見せつけn回目■

 入学してからはや2か月。試験前の勉強期間でも、俺たちがするのは可愛い女子の話だ。

「同じクラスのあの子、いつも迎えに来るイケメンいるだろ」
「あー3年の先輩がお兄さんだっけ? あんなにガードが固いと全然近づけねー」
「でも血が繋がってないって噂聞いたぞ」
「そんなドラマみたいなことあるかよ」

 放課後、俺たち三人は他愛もないおしゃべりをしながら、ファストフード店へ場所を移した。ガラス張りの店内にあの子が居る。これお近づきのチャンスじゃね? なんて小声で盛り上がる。店員さんに店内で、と注文しながらチラチラと彼女を伺った。

 よく見ると向かいにいるのは、あの兄だ。げ、と思ったところで兄の方と目が合った。こちらをちらっと見てから、彼女の左手に指を絡める。え? あの子はちょっと邪魔くさそうに左手をぶらぶらさせているけど、兄は笑って恋人繋ぎに直し、彼女に顔を近づけてノートを指さして何かを教えていた。

 あの子と兄の恋人同士にしか見えない仕草に、俺たちは夢も希望も砕かれてしまった。

「すみませーん、テイクアウトに変更お願いします」
「やっぱり付き合ってるのか」
「なんだよー」

 俺たちは落胆しながら店を出る。勉強をちゃんとしろって神様から言われてんのかな。ちらりと店内を振り返ると、あのイケメンがにんまり笑って、勝ち誇ったような顔をしていた。



■見せつけn+1回目■

 私は男子バスケ部のマネージャー。
 「なんで女バスもあるのに」って? 実は昔は選手だったけど怪我で……なんて美談なわけないない。ちょっと雑用して応援してれば男子にちやほやされる、このポジションが美味しすぎるから! 狙うのは部で一番人気のマヒル先輩!

 そう決めて半年。マヒル先輩はまっっっったく私に興味なし。

 練習メニューを相談しても「部長に聞けばいい」。ドリンクを渡しても「自分のがある」。顔は爽やかなのに超塩対応。

 今日は全校集会で、我が男子バスケ部が表彰されている。壇上に立つマヒル先輩は堂々としていて、やっぱり恰好いい。

 降りてこちらに歩いてくる姿に釘付けになっていると、目が合った? ドキンと心臓が跳ねる。 やっぱり、絶対私を見てる!

 マヒル先輩が拳を上げた。反射的に手を出そうとした瞬間――別の子の手が出てきて、グータッチする。先輩は最高の笑顔を浮かべて自分のクラスに帰って行った。

 ……はは、わかってた。私じゃないよね。妹さんだよね。毎日部活が終わるの待ってるの見てたから知ってまーす。

 でもいいの。ぴっと背筋を伸ばして前を向く。女の子は姿勢良く、笑顔でいなきゃ。女の子の幸せは「愛してくれる人に愛されること」! 先週告白してきた二年の先輩に、前向きな返事をしてやるんだから! 私は私で幸せになりますからね!



■見せつけn+2回目■

 今日も兄さんと手を繋いで登校中。校門をくぐろうとしたその時、目の前に生活指導の先生が立ちはだかった。

「そこの二人、手を繋ぐのをやめなさい」

 その声に私たちはパッと手を離す。なんだまたお前たち兄妹か、と先生が呆れ声を出す。それに対して、兄さんは人懐こく冗談めかして返した。

「不純異性交遊にでも見えましたか?」
「うむ……。もう子供じゃないんだから、高校生らしく振舞いなさい」

 わざとらしく顎に手を当てて考えるふりをした後、私の手を取り自分の二の腕に絡めさせて、キリっとした顔で返す。

「高校生らしく……こうですか?」
「そういう問題じゃない」
「わかってますよ。ほんのジョークです」

 爽やかな優等生の笑顔を見せながら、降参です、と言わんばかりにわざとらしく手を挙げる。先生が小声でぶつぶつと「まったくふざけおって」と言ってる横を、さっと二人で通り抜けた。

 校門を通り過ぎてから兄さんは、しれっとまた手を繋いで自分のポケットに入れる。流石にまずいんじゃないかと横顔を伺うと、唇に指をあててしぃっとされた。私はドキドキしながら、せめて周りに見えないようにと彼に体を寄せる。

 もう、子供っぽいんだから……。でも満足げに微笑む兄さんの姿を見ていると、まあ、いいかっていつも許しちゃうんだよね。ため息交じりに私が笑うと、彼の手にきゅっと力が入った。