三毛田
2026-03-25 22:23:57
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7 【07/輝く夢を追いかけて】

7日目
その隣にはいつも君が

 幼い頃憧れたものがあった気がする。けれど、今は思い出せなくて。
「夢、かぁ~」
「夢と進路はあまり関係ないだろう」
「丹恒ならそう言うと思った。まあ、俺はそこら辺の奴らと違って、それなりに現実が見えてるから」
 何人かに睨まれたけれど、事実だし。
「専門に進むにも、短大に進むにも、大学に進むにも。やりたいことがないと意味ないし」
「なら、就職するのか?」
「悪くないけど、それもそれで難しいなとは思ってる」
「そうか」
 俺はまだまだ未熟だ。
「丹恒こそ、どうなんだよ」
「まだまだ学びたいことがある。だから、大学へ行こうと考えてはいるんだが」
「が?」
……卒業後、一度実家に行かないといけないのが正直煩わしい」
『彼の家? ええ、知っているわ。一部を除きまともな人間は少ないわね』
 暗くなる表情と共を見て、この間一時帰宅した育ての親から聞いた言葉を思い出す。
「今だって金を出してくれないのに、そういう時だけ呼び出すのはおかしいだろ」
「お前、なぜそれを」
「この間、景元とお茶した時に聞いた」
「あの人は……
 眉間を揉みながら、俺を叱ろうかどうしようか悩んでいる声色。
「丹恒。お前はお前だ。他の人の代わりになんか、ならないから」
「お前は、どこまで聞いたんだ」
「いてっ」
 デコピンされた。でも、いつものちょっと呆れたような表情になったので一安心。
「景元からの伝言。お前がしたいことを、すればいいって。何で俺に言ったのかはわからないけどさ」
「そうか。それなら、そうさせてもらおう」
 優しく笑いながら、俺の赤くなったであろう額をそっと撫で。
「じゃあ、まずは今晩俺と一緒に寝てもらおうかな」
「それなら、簡単だな」
「やった! じゃあ、この紙出してくる!」
 進路の紙に大学進学と書き込み、担任に渡しに行く。
 何処にするのかと訊ねられたけれど、詳しいことはまだ決めていないと答えればなるべく早めに決めるようにとだけ言われた。
「丹恒先生、帰りましょう」
「そうだな」
 手を繋ぎながら、帰路につく。
 出会った頃も、時々こうして手を繋いで歩いていた。
 怖い夢を見た時も、俺じゃない俺の夢を見た時も。
 輝かしい夢を夢見るっていう、変な夢に魘された日。
 一面光輝く場所で、追いかけ合う夢を見た時だって。
 いつだって、丹恒が隣にいてくれた。だから、俺も前に進むことが出来たのだ。
「丹恒、好きだ」
「今更だな」
「今更だけど、伝えたかったんだ」
「お前らしい」
 いつものように彼は笑ってくれる。