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ユズリハ
2026-03-25 11:44:18
1368文字
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事情聴取記録
エグ遅参した綿ちょもに話を聞いた
まず、一振のみで向かう身軽なものと、座布団を持つものや数振で向かうものらに分かれた。
身軽なものが先んじて箱に飛び込み、主のもとへ向かったというわけだ。
その後が大変だったのだが、そうだな
……
。
小鳥、予約の際の一覧表を見ただろうか。では、座布団の色は確認したか?
……
そうだ、赤だけで4色ある。私はまだわかりやすい色だったが、それでも頻繁に厚藤四郎とぶつかった。
それだけではない。慌てた様子の日光一文字に声をかけられたりもした。そう、おそらく他の山鳥毛と間違えられてな。
「日光、行き先を違えるな」
「失礼致しました、お頭
……
いえ、山鳥毛殿」
1日に運び出せる箱の数は決まっている。だが、どの男士もいち早く主の元へ駆け付けたいのは同じだ。皆、気が早る。
さらに言うと、皆、主に既に連絡が行っているものだと思っていたから、誰も取り立ててその話はしなかった。
私の番が来た。あまり座布団を手荒に扱わないよう気を付けながら、箱に入る。隣の箱から「もう少し詰めて」とくぐもった声がした。
そうそう、小鳥の元で空き箱を見て気付いたのだが、割れ物扱いだったのだな。人間が我々の入った箱をそっと運び出し、トラックに載せた。ほとんど、音はしなかった。
陸の道を運ばれるものや北の方へ向かうものとは、ここで別れることとなった。
ざわめきが遠のき、薄暗い箱の中で供となる座布団の感触だけが確かなものとして残る。まだ触れたことのない君の温度を想像した。
……
真新しい綿の身体には、やや難しかった。
何度か関所のような場所で別れ、他の荷物と合流した。小鳥の元へ向かう貨物船に乗る頃には、もう同じ所から出発したものは随分と少なくなっていた。
我々は船へ乗せられた。小鳥が乗ることはないだろうが、あの部屋はあの部屋で、物同士のやり取りがあるものだ。
ほとんどの人間には聞こえない囁き声に満ちた部屋の中で、しばらく海を運ばれた。とはいっても窓のない部屋だ。海にいるという実感は、あまりなかったが。
貨物船から運び出された先は、空気が随分と違った。潮の香りがするものの、ひどく湿ったぬるい空気が箱の中までを満たした。まさか異国の地に着いたのではあるまいかと、座布団を抱いた。ざわめきの中、聞き慣れた言葉が多く聞こえてきた。
——
心配するまでもなかった。
出発先とはまるで違うが、どこか似た雰囲気のある倉庫へと辿り着いた。
夜が明け、白い電気の灯りが箱の隙間から差す。出発から今まで隣り合っていた箱が、別の人間の手によって運ばれていった。私の箱も持ち上げられた。がさりと梱包材が揺れたが、大きな揺れはそれきりだった。割れ物のラベルに気付いたのだろう。大切に扱われている。当然のことではあるが、君の物として誇らしくなった。
その後はあっという間だ。小鳥とは、一度すれ違ってしまったようだがな。
……
他のものは花や茶の話も持ち帰っているようだな。私にはこれしかない。
倉庫で目を覚ましてから、君のことしか考えていなかった。いつ、君の元へ辿り着くのか。そればかりだった。すまないな。
ところでこの干し芋は
……
?少し、中が凍っているようだが。うん?芋のおーなー制度?御前にもにたーの話?
……
君にも、私の知らない物語がありそうだ。今度は君の話を聞かせてもらうとしよう。
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