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望月 鏡翠
2026-03-25 03:01:19
900文字
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日課
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#2034 THE MEME! その4
#毎日最低800文字のSSを書く
ラダは、今の姿が誰であるのかについて語らない。
基本的に聴取の全てに協力的な彼女の口は、その件に言及されたときだけ重たくなった。結果、その肉体が誰なのかという情報だけ落ちたまま、ラダのファイルは一応閉じられることになった。
続きは、イライジャが埋めていかなくてはならない。
ダーリンの資料は常に完璧な状態であるわけではない。この世全ての人間を網羅した悪人アーカイブなど、この世には存在せず、一人一人調査して作成しているからだ。
実は女性だったなどという、歴史に隠れた驚異的な真実はそこには存在しない。彼女自身が、今はもともと違う体だったと明言していた。男性であり、肌の色も髪の色も違うと。
ダーリンが、別人の姿になるとしたら強く執着した人間だ。
彼が妻や子供を愛していたというのなら、執着した女性というのはつまり妻だったのではないだろうか。
簡単な推測だ。
推測を証明するために、妻の情報を調べてみたのだが、全く出てこなかった。記録が残っていないのだ。より正確に言えば、存在しないわけではなかったらしいのだが、消失してしまっていた。火事があったらしい。
世界は何回か戦争をしているが、そのうちの一つだ。
ディレイルボマーは、当時から有名な悪人だった。だから死後すぐに資料が集められて、記念館ができた。凶行を止めた当時の保安官を讃えるためだ。
政治的な諸々の理由があったのだろうが、そこについてイライジャに意見はない。
ともかく一箇所にまとめられてしまっていたせいで、火災に見舞われていたときに一気に消失した。
ディレイルボマーの写真自体は新聞などのメディアで、既にいろんな場所に広まってしまっていたから、今でも残っている。
どうやらそういう事情であるらしかった。
妻は、彼が世間から隔離されたあとに与えられたものだ。だから、公的記録しか残っていなかった。写真も名前も不明。どこの国籍のものかも、判然としない。
ラダ自身が語らねば、不明のままなのだろう。
ちなみに、ラダという名前の人間は、焼け残った当時の記録には存在しなかった。
息子の名前も、同様である。
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