三毛田
2026-03-23 21:18:48
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5 【05/好きだけど、嫌い】

5日目
それは彼を傷つけた

 本当は告げるつもりはなかった。でも、それは言い訳にすぎず。
 俺の言葉、確実に彼を傷つけた。
「丹恒のそういうところ、好きだけど、嫌い」
……そうか」
 一瞬だけ作業する手が止まる。けれど、すぐに何事もなかったかのように再開して。
「ならば、出ていってくれ。そのほうが、お前のためになる」
「っ。わかった、よ」
 静かに、資料室を出ていく。
「わっ。びっくりした〜」
「ごめん」
 出てすぐに、なのとぶつかりそうになり。ふらつく彼女を慌てて支える。
「ううん。ウチも、部屋から飛び出しちゃったから。大丈夫? 顔色悪いけど」
「なの。話、聞いてくれるか?」
 俺の言葉に
「じゃあ、モクテル作ってもらおうかな〜。って思ったけど、今の状態だと美味しくないものが出てきそう」
「俺もそう思う」
「パーティー車両で、シャラップに何か作ってもらおうよ。もし、丹恒が来てもすぐわかるから」
……うん」
 なのの明るい声に、沈みかけていた心が浮上していく。
「それで?」
 パーティー車両へ移動し、シャラップにソーダフロートを作ってもらい、アイスクリームをスプーンでつつきながら問いかけてきて。
「丹恒って、集中してると食事も睡眠もおろそかになるだろ?」
「うん」
「だから、その……好きだけど、嫌いって言っちゃってさ」
「あー……
 呆れたような、憐れむような表情。
 俺だって、自分が口にしたことが間違っているというのは気づいてる。
 だけど、一度口に出してしまった言葉は取り消せない。
「うう……丹恒に嫌われたくない」
「ちゃんと謝りなよ」
「わかってるけどさぁ」
 分かっているけれど、彼方が俺とか思合わせたくないと言ったら、それもかなわない。
「穹」
「なに」
 スラーダをメインに作ってもらったモクテルを、ちびちび飲んでいたら声をかけられ。
 振り返ったら、丹恒。
「悪かった」
「お、俺も。傷つけるようなこと言ってごめんっ」
 丹恒が頭を下げたので、俺も立ってから頭を下げる。
「丹恒さん、飲み物はいかがですか?」
「熱浮羊乳でいい」
「氷たっぷりで?」
「ああ」
 シャラップに促され、彼は俺の隣の席に腰を下ろし。
 ふと視線を感じてそちらを見れば、なのが微笑ましそうな表情で俺を見ており。
「な、なに」
「ううん。なんでもなーい。シャラップ、パフェ食べたい!」
「そちらは車掌に頼んでください」
「はーい」
「穹。お前はいらないのか」
「食べたいけどさ。丹恒と一緒に居たいなって」
 そっと置かれた手に自分の手を重ね。指を絡め。