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流れザメ
2026-03-21 10:47:37
1999文字
Public
ビマヨダ
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幸せな休日の過ごし方
同棲パロの甘めのビマヨダ。
目を開けたビーマの視界に最初に飛び込んできたのは、寝室の白い天井だった。
部屋の明るさから察するに、どうやら寝過ごしてしまったらしい。
幸い今日は休日だ。目を覚ますのがいつもより遅かったからといって、慌てて飛び起きる必要は無い。
ビーマはまだ眠気の残る目を擦ろうとして、自分の右腕が動かない事に気が付いた。
顔を横へと向ければ、ドゥリーヨダナがビーマの腕を枕にして眠っている。
いわゆる腕枕の状態だ。
今の状況だけ見れば、漫画やドラマでよく見る恋人達の朝そのものだが、ドゥリーヨダナの性格的に甘い意図を持ってこうなっている訳では無いだろう。
昨夜、急遽舞い込んできた仕事を片付ける為にドゥリーヨダナが夜遅くまで書斎に籠もっていたので、ビーマは一足先に寝床に就いていた。
ビーマ自身、自分の寝相はそう悪い方では無いという自負があったが、如何せん意識が無い時のことだ。自分が昨夜どんな体勢で寝ていたかなんて正確には分からない。
恐らくだが、今の体勢から察するに、ドゥリーヨダナがベッドに入ろうとした時、自分は右腕を横に伸ばすようにして眠っていたのだろう。
腕を退けるのが面倒くさかったのか、はたまたいくら動かしても元の位置に戻ってしまったのかは不明だが、ドゥリーヨダナは自分の眠るスペースを侵害している右腕を退かすのを諦め、そのまま枕と共に頭の下敷きにする事にしたらしい。
(ここの所ずっと忙しそうだったし、よっぽど疲れてたんだろうな)
僅かな申し訳無さを感じながら、ビーマはドゥリーヨダナの寝顔を眺めた。
微かに目の下に隈が出来きてしまっているが、寝苦しそうな顔はしていない。
薄っすらと開かれた唇から漏れる寝息は緩やかで、ドゥリーヨダナが深い眠りに入っているのが伺えた。
久しぶりに二人揃っての休みだったが、これといって何か予定を入れていた訳でもない。
ドゥリーヨダナを起こす理由もこれと言って無いし、自然と目を覚ますまでこの状態で待つのも良いだろう。
痺れるどころか最早感覚も無い右手の指を軽く動かしながらそんな事を考えていると、カチャリと寝室のドアが一人でに開く音がした。
次いで聞こえてきたのは、軽く硬い何かがフローリングに擦れる音。
何の音だと、ビーマはドゥリーヨダナを起こさない範囲で軽く上体を起こした。
それと同じタイミングで、一匹の猫がベッドに飛び乗ってくる。
「お前か、スヨーダナ」
安堵の息を吐いたビーマを、不機嫌そうに伏せられた半月形の瞳が睨み付けてくる。
愛猫の唸り声を聞いて、ビーマはある事に気が付いた。
「飯の時間か
……
」
ビーマの呟きにスヨーダナが一鳴き返事を返す。
彼の苛立ちを表すように、長い尻尾が掛け布団を三度叩いた。
「もうちょっと待ってくれねぇか?まだドゥリーヨダナのやつが起きてなくてよ」
ビーマがそう話かけると、先程よりも低い声でスヨーダナが唸る。
スヨーダナは未だ眠りの中にいるドゥリーヨダナに近付き、胸に前足を乗せてスンスンと鼻を動かした。しばらくの間ドゥリーヨダナの顔をじっと凝視していたが、突然興味が失せたように顔を横へと反らした。
伏せ気味だった三角の耳がピンと立っている。
どうやらもうしばらくの猶予を貰えたようだ。
スヨーダナはベッドから降りると
――
その際にビーマのみぞおちをわざわざ踏んでいったのは、おそらく朝ごはんのお預けをくらった仕返しだろう
――
そのままカーテンの裏へと潜っていった。
スヨーダナと入れ替わるようにして、また別の猫がベッドに登ってくる。
もう一匹の愛猫、バッラヴァだ。
バッラヴァはモフモフの巨体を器用に動かして音も立てずにベッドの上を歩くと、ドゥリーヨダナの顔の横へと移動した。そしてその場でくるりと一回りし、ドゥリーヨダナの頭に身体をくっつけて丸くなる。
しんとした寝室にゴロゴロと喉を鳴らす音が響く。
離れているビーマの耳にすら届くのだから、至近距離で喉を鳴らされているドゥリーヨダナには爆音で聞こえている事だろう。
こころなしかドゥリーヨダナの眉間に皺が寄っているような気がする。
(これじゃあ、すぐに起きちまうかもな)
苦笑を浮かべ、ビーマは窓の方を見た。
スヨーダナが裏側に潜り込んでしまった所為で、カーテンが押し退けられて僅かに開いている。
その隙間からは薄灰色の雲に覆われた空が見えた。
ところどころ雲が途切れ、日の光が差し込んでいる。
昨日の天気予報では一日中曇りだと言われていたが、この様子だと昼頃には雲が晴れて青空が広がっているかもしれない。
バッラヴァのゴロゴロ音に混じって時折聞こえてくるドゥリーヨダナの小さな唸り声に口元を緩めながら、ビーマは頭の中で今日の予定を組み立て始めた。
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