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雨鶴
2026-03-19 21:42:06
679文字
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小話
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春の味
花を食べる長次と二次災害の五人。
因みに全部毒なので絶対真似しないでね!
花の盛り。
春になると長次との口付けは、花の味がする。
掠める様にして、その唇を舐めると甘い味の後に僅かな苦味が舌に移る。
「福寿草の苦味」
「沈丁花の甘さ」
「イヌサフランは少しばかり酸っぱい」
「水仙は痺れがある」
医務室で少しばかり物騒な会話をする六年生四人の元へもうひとり。
「伊作、居るか?
…
なんだお前たちも居たのか」
口元を押さえた仙蔵がやってきた。
「仙蔵、どうしたの」
「
…
ちょっと爛れた」
手を外してみせれば、仙蔵の唇は赤く腫れて口角に水疱も出来ている。
「あ~、ひどいね。長次、何食べたの?」
薬を準備しながら仙蔵に伊作は尋ねる。
「ミツマタ
…
分かってはいたんだが、つい」
放つ香りは甘く、まるで綿菓子の様な花。それを口にしていた長次の呼気は、やはり甘かった。
「仙蔵と留三郎は意外に毒の耐性低いよな」
「煩い、小平太。私はお前や文次郎と違って長次の実験に付き合わされていないからな」
昔日、長次の好奇心で小平太と文次郎は見るからに怪しげな果実や草花を食べさせられた経験から多少なりと毒に耐性がある。
「留三郎も舌、腫れて来たんだよ」
「ざまぁねえ」
「るっせ」
ある意味、今の自分がどれくらい毒に耐性があるのか分かってしまう。
春はまだ良いが、夏になるともっとひどい。
「附子なんて食べたら、ボク意外誰も太刀打ち出来ないよ」
それでも花蜜を求める蝶々の如く、あの唇を吸うのは止められないのだ。
…………………………
初期に書いた毒を食べる長次の話を広げてみました。オヤツ感覚で花を食べる長次を可愛いと思うのは私だけですかね。
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