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望月 鏡翠
2026-03-18 13:50:40
917文字
Public
日課
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#2029 ラダ6
#毎日最低800文字のSSを書く/ダーリンランデブー!
礼儀正しい異邦人。彼女の手触りはそれだ。
「それで本題なんだが」
「はい。ようやく俺に任務が与えられますか?」
待機中も外へ出ることを気にしている傾向があったのだったか。外に出たい理由があるのだろうか。
イライジャは頭の中に浮かんだ疑問を即座に否定した。それはあるだろうな。宿舎から出ることはできず、実質的に監禁されている状態では、退屈だろう。
「外に出たいのか?」
「この組織は人手不足で、それはダーリンを危険な現場に投入することで解決できると聞いています」
肩を竦める。
「全く正しいな。そこで、お前を外に出すために俺と契約をして欲しいんだが」
「契約は必須ですか?」
「あんたに関しては必須になる。信用されてないんだ。体制を破壊したがるアナーキストってだったらしいからな」
これは嘘だ。契約を結ばずとも、チームに入って行動することはある。ファタールはあくまで、ダーリンの苦痛を和らげてやるための存在でしかない。
苦痛から逃れるために契約を求めるダーリンはいたとして、契約をしたがる人間は稀だから、ファタールの数は全く足りていないのが現状だろう。
「この時代での理解を、否定するつもりはありません」
それでも渇望のわからないダーリンを制御するためには、ファタールが必要だ。その餌を目の前にちらつかせる必要がある。
「イライジャさんが、その相手になってくれるということでしょうか」
「そうしろと言われているが、どうするかまだ迷っている。あんたはファタールが欲しいか?」
「苦痛を和らげることが、俺に必要とは思えません」
その回答は意外だった。
ダーリンが抱く慢性的な苦しみや、ファタールを失ったあとに襲いくるさらなる苦しみは、いずれ狂い果てて死ぬほどに辛いのだと聞いている。
ファタールがいなければ耐えられないから、彼らは常に人生を埋めてくれる相手を求めるのだ。
「面白い答えだ。あんたに興味が湧いてきた」
救いが必要ないという。何か、理由があるのか。
「光栄です」
あまり光栄ではなさそうな温度感だ。駆け引きをしているのか、それとも本当に必要ないと思っているのか、イライジャには判断ができなかった。
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